柔らかな風が、優しい、花の香りを運んでくる
ふわりと揺れる髪を手で押さえながら、リコは、どこまでも澄み渡る真っ青な大空を、仰ぎ見た
「…もうすっかり、春ね」
3月
長かった冬もようやく終わりを見せ、季節は、春を迎えようとしている
「…ん~、気持ちいい」
リコは両手を大きく広げ、降り注ぐ太陽の光を、その全身で受け止める
肌にじんわりと沁み込む温もりはとても心地よく、まるで、光のシャワーを浴びているかのような錯覚にとらわれる
リコの口から、思わず、恍惚の吐息が漏れた
リコは、春が好きだった
年中春の魔法学校で毎日を過ごすリコにとって、春は季節の一つというより、それは、そこにあって当然のもの
日常と言ってしまってもいいだろう
春、夏、秋、冬と、移ろう季節を楽しめる、ナシマホウ界の季節も嫌いではなかったが
やはり自分の体には、暖かな春の温もりが一番よく馴染むと、リコは改めて実感していた
18/03/11(日)23:56:29
102レス