赤ら顔でむにゃむにゃと唸りながらソファに伸びているトレーナーを前にしてアタシは溜息を付いてしまった。
「も~、しょーがないんだから~トレーナーちゃんは~」
見るからに泥酔していた。お祝いの日のパパみたい。
ご機嫌になっていつもより陽気になって、そして最後にはぐっすり眠っちゃう。
ちょっとお酒を飲みすぎると大人はこうなっちゃうんだって。
アタシの知っている例に漏れず、トレーナーは気分良さそうにすやすや眠っていた。
そんなに飲んでしまうくらい良いことがあったかといえば、もちろん思い当たることはあった。アタシがシニアの三冠を取ったのだ。
トレーナーはいつもみたいに、実際に走ったアタシよりも喜んでいた。その場でぴょんぴょん飛び跳ねちゃいそうになるくらい。
アタシもトレーナーがそんなに喜んでくれることがすごくすごく嬉しくて、ふたりで抱きしめあってはしゃいだっけ。
だから、ついつい飲みすぎちゃったんだろう。でも…。
「今晩のトレーナーちゃん、全然大人っぽくな~い」
屈んで頬をぷにぷにと指で突いてみても全然起きる気配がない。
21/03/28(日)23:35:26
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