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2018-07-16のスレッド一覧 6666件

「また終電過ぎまで残業か…」 連日の日をまたぐ残業にうんざりしながら家路を急ぐ途中、ふとシャッターの降りた店に背中を預けて眠る女の姿が目に入った。 またか、とひとりごちる。繁華街から少し外れたこの道は駅までの近道となっている。その途中で力尽き酔いつぶれた人間がいることは珍しくもない見慣れた光景だった。 そんな酔っぱらいに声をかけるのもまた男にとってはいつものことである。この道は街灯が少ないこともあり、男のように近くに家がある者でもなければ滅多に通ることはない。 時間が時間なこともあり、通り過ぎた後に親切な誰かが女を介抱してくれる可能性は低かった。放置して何か事件に巻き込まれても寝覚めが悪い。それに見てしまった以上は自分に無関係と切って捨てることも出来なかった。 また面倒なことに巻き込まれたと思いながらも女の元へと歩いてく。酔っぱらいに声をかけ、肩を叩き、一人で歩けないようであれば駅まで送り届ける。いつものことだ。 とんだ貧乏くじだが、劣悪な環境下での労働で日々摩耗していく中で、人助けをしてちっぽけな良心を満たすことは、自分はまだ捨てたものではないと再確認するには十分だった。

18/07/16(月)22:54:43

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