虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

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2019-11-24のスレッド一覧 6431件

ノックをせず扉を開く。 部屋中に隙間なく散乱する古書の上で、ぴるす君は仰向けになって死んでいた。彼の血は時に革の背表紙に嫌悪するように弾かれ、時に古い紙の中に染み込みながらも進む。蛇が古来水神とされてきた理由がわかる。水とはまさに地球の表皮を這いずり回る蛇ではないか。 ぴるす君を蹴り飛ばし、本をいくつか拾い上げてみる。英雄譚、流離譚、人々は生き生きと綴られている。英雄が神を諌め、神父が悪魔をうち祓う。虚構の中で我々は、常に人の似姿を欲してきた。 そう、似姿だ。それは時に傲慢なる神、時に空虚なる人形、そして時にぴるす君、君だ。 だがそれらは所詮人の鏡像に過ぎず。人に喝破され人に諭され人に導かれるためにこそ彼らはあった。なんたる傲慢。なんたる悪逆。我らただ在りて霊長足らんとする醜悪さ、その集大成こそが君の墓標。 だがぴるす君、そこには希望もあったのだ、正しき祈りも、正当なる憤怒も、光輝なる憎悪も、そして守り抜くべき狂気もまた。 ならば私は行かねばならぬ。君が快楽に焚べられた薪となるのなら、私は森羅に戯れ霊峰に踊り大地に言祝ぐ雷鎚となろう。 ノックの音がした。 スイと見得を切り、扉を開けた。

19/11/24(日)18:27:06

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