それは、グラスと天皇賞春の出走前に、勝利の時には少し長めに予定を取って京都市内の茶道関連の美術館を回ろうかと予定を立てていた時のことだった。
バタン。ジタバタジタバタジタバタジタバタ…
「おのれ左近将監…無念ですし…!」
基本的に落ち着き払っていたグラスたぬきが、彼女にも似合わず寝転び、それはもう美事なジタバタを見せていた。腕と脚を振るう風切り音まで聞こえるほどの大立ち回りで床を転げ回る様は、いっそ古流柔術の鍛錬をすら思わせるものがある。
「あの動きはスタミナとパワーのトレーニングに使えるかも知れないが、まずはグラスたぬきを落ち着かせよう」
またぞろ素っ頓狂な閃きを見せたトレーナーではあるが、ひとまずグラスたぬきを宥め、落ち着かせる事に成功した。
21/08/31(火)21:43:02 ID:1YNYUl7Q
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