ふと、自分の理想の相手とは何なのかが気になった。
妻の話ではない。
人にはそれぞれ理想上の完全な美初年なり美少女なりが存在するものかと思ったのだ。
それがそして仮に実在するなら?70億人も人間が地に満ちていれば、それぞれ一人くらいはいるかもしれない。
美しいの反対は醜い。人類を一人一人並べて醜いものから消し去ってゆけば最も美しい人が見つかるだろうか?
並の人なら難しかろうが歌舞伎役者なら容易いこと。だが私は思いとどまった
美と醜とは紙一重、どちらも人の注意を引くことは同じではないか!
そこで私の関心を引かぬものから無くしていった。
残ったのは家族、友人たち。子供らは自分によく似ていた。そして私はナルシシストではない。
そして妻も明らかに順位の最上ではなかった。私はとても悲しくなった。どうしてこんな事を始めてしまったのだろう。
やがて判明した理想の人、それは私の友人の一人であった。
彼の部屋へ入るとまき散らされた血のように赤いバラの花が匂った。彼は寝台に横たわっていた。
おお、我が理想の人よ。探し求めた君よ。
仰ぐように両手を差し出せど、ナイフを突き立てられた彼の喉は何の声も発しなかった。
17/10/01(日)23:55:15
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