「フゥン」
わたくしは片眉を上げて、目の前で得意げな顔そして佇む優雅な美女を頭のてっぺんから爪先まで観察した。
ケイと一緒に暮らすこのアパルトマンでこんな光景を見るとは思わなかった。それは想像よりもずっと様になっていて、それがなんだか悔しい。
「まぁまぁね」
「それだけぇ?」
ケイは暖炉の前でもう一度くるりと一回転すると、不満げに首を振った。
いつもは無造作に流されている金髪は、今は後ろのやや高い位置で三つ編みを作り、それをぐるりと巻いて三つ編み団子を作っている。きれいな細かい編み込みは、わたくしが手伝ったこともあってなかなかいい出来だ。前髪はいつもとおなじで、サイドを流して垂らしている。
清楚なアイボリーのワンピースは、Vネックが結構広く開いていて、シルク生地の優美なフリルが大きく流れを作っている。豊かなバストを下品にならない程度に整えて一度ウエストでシルエットを絞った後、膝上までのスカートにはあくまで自然なドレープ。脇の所に小さな虫のマークがさり気なく入っているが、これがジャケットを着ると隠れてしまうだろう。
17/06/03(土)23:56:51
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