虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

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2021-10-08のスレッド一覧 6261件

ひとつ、ふたつ、みっつ。懐かしい階段を登る 「……ですので、只今確認中でございまして御回答致しかねます、誠に申し訳ございません」 よっつ、いつつ、むっつ。ひどく疲れた声が耳に届く 動かない左腕をぎゅっと握って、少しでも早く、早く。息を切らせて扉を開く 事務所の中はあの頃のまま。けれど、今はもうなにもかもが重く澱んでいて 「霧子……?」 5日ぶりに見るスーツは随分よれてしまったいた。幽霊みたいな顔で、幽霊を見るような目付きのあなたへ右手を伸ばす 「もう、帰ろう……?」 これ以上の心配なんか掛けたくなくて、せいいっぱい笑ったつもりだった。けれど視界は滲んでしまって、あなたの顔もぼやけていたから、弱い私はきっとまた泣いてしまっていたんだろう 帰り道はひどい雨が降っていて、路線バスの二人がけ席で私達は震える肩を寄せ合った 家に帰り着いても言葉は何一つ出てこなかったけれど、その日私達は同じベッドで目を閉じた 夢の中で、私はアイドルだった。お医者さんだった。アンティーカだった 結局深夜に目が覚めてしまったから、あなたの肌を伝う涙を指でそっと拭って過ごす 神さま。どうか、私達に明日が来ませんように

21/10/08(金)20:34:04

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