虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

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    21/10/08(金)00:40:42 No.853883564

    ひぐらしのなく夏が終わって、次は鈴虫たちが秋の訪れを告げていた。 僕と梨花が待ち望んだ夏の盛りは本当に楽しくて。そして、去り際に見せてくれたあの夢の余韻に…僕は今も浸っていた。 そう、幼き日の梨花…惨劇も死も知らない梨花が、僕たちの世界に紛れ込んだあの出来事のこと。 別れに少し悲しくなったけれど、それでも彼女は自らの意思で元の世界へ帰って行った。 僕はあのとき、待ち受ける悲惨な運命から彼女を遠ざけようとした。でも、彼女が…〝りかちゃん〟が…戻ることを選んだ。梨花も彼女の決意を理解した。僕だってそうだ。りかちゃんの意思を尊重した。だけれども。 「…梨花…りかちゃん…。どうしているのでしょうか」 僕の膝で眠っていたあの幼子が、いつか僕の梨花になるとしても。いや、違う子だったとしても…僕はあの子が恋しい。 だからときどきこうしてこの社(やしろ)の前で時間を過ごしてしまう。もちろん、この社が再び開くことは無い。…いつものように、もう彼女と会えないのだという寂しさに胸が締め付けられそうになったとき、足音が聞こえてきた。

    1 21/10/08(金)00:41:32 No.853883827

    こんな山奥に人が来るなんて。ここは誰の山だっけ?と考えていると、それがずいぶんと聞きなれた足音だと気が付いた。そしてだんだん近づいてきて、彼が姿を見せた。 「…圭一?」 「お…羽入か!驚いたな。まさか誰かいるとは思わなかったぜ。それも知り合いがいるなんてな」 「この村は知り合いしかいないのですよ?」 違いない、と笑う彼はそのまま近づいて来て、僕の隣に座った。 「…羽入も思い出してたのか?あの娘のこと…」 圭一も僕と同じだった。彼女のことが懐かしくてここに来たのだ。…同じ想いを持った人がいてくれて、僕はとても嬉しかった。 「………元気にしているといいのですが」 「…もちろん元気でやってるさ。りかちゃんは。大丈夫だよ」 「え…?」 自信に満ちたその口ぶりに僕は驚く。 「今になってだけどさ。あのりかちゃんは別の世界から来た俺たちの知ってる梨花ちゃんなんだと思ってる。ってことは、向こうには仲間たちがいるんだよ。俺はまだ来ていないかもしれないけど…他の皆はいるし、俺だっていつか合流する。こっちみたいに馬鹿騒ぎして楽しむさ。…だから羽入も、そんなに寂しそうにするなって」

    2 21/10/08(金)00:42:18 No.853884054

    …同じ気持ちだと思っていた。でも彼は僕とは違った。りかちゃんが好きでまた会いたいと思っているけれど。でも、彼女の幸せを心の底から確信しているようだった。 梨花もあのとき言っていた。あの娘には羽入がついているから、と。…僕は僕自身の無力さを知っている。だから心配をしていたのだ。でも圭一の言うとおりだ。彼女には僕だけじゃなく…僕よりももっともっと頼りになる仲間たちがついている。 僕は恥ずかしい。信じることが大切だとわかっている筈なのに、それでも…りかちゃんが心配で、悪い想像すらしてしまっていた。 そしてその不心得な僕の考えを祓ってくれた圭一に感謝した。 「…ごめんなさい。ありがとう圭一。僕もそう思いますです」 「仕方ないさ。あのりかちゃんは羽入に懐いてたしな。あのときは羽入もお母さんみたいになってたし!」 「そういう圭一はお父さんみたいだったのです。りかちゃんが歩くのを後ろから見守ってたのを僕は知ってるのですよ?」 気持ちを切り替えるつもりで、圭一に言葉を返すが……あ、言ってからこれはまずいのでは?と思い至る。

    3 21/10/08(金)00:43:01 No.853884257

    「ははっ!面白いな!羽入がお母さんで俺がお父さんか!ははは…はは……?……は…。」 ほら!やっぱり…なんてことを言ってしまったのだろう!ちょっと本当にどうかしてしまったのだろうか。僕がお母さんで、圭一がお父さんだなんて…! 「あう…それは…あうあうあう……」 少し前まで母心に悩んでいたのに!変な空気にしてしまって…今はもう恥ずかしくて呻くことしか出来ない…!あうあうあうあう…! でも、想像するとなんだか…。ちょっといいなと思えてしまって。そうすると自然に頬が緩んでしまった。 僕と圭一に娘がいて、僕はその娘のお世話をしていると、圭一がそれを見て微笑んでいる。それは暖かい家庭そのもの。…そんな少女みたいな妄想をしてしまった。駄目だ…一度考えると止まらない。どうしてしまったんだろう、僕は…! ヨコシマな気持ちを振り払うつもりで圭一をちらりと見る。きっと圭一は少しは照れくさそうにしているだろうが、すぐに笑い飛ばすだろう。 でも…そんな気持ちで見た圭一は、僕と同じ顔をしていたから。 僕たちは夕焼け染まるよりも先に、二人で真っ赤になった。

    4 21/10/08(金)01:30:20 No.853895506

    セックス!!!