彼女のその吸血癖についてわたしが気づいたのは、割と最近のことだ。
それまでわたしが彼女に持っていた印象というのは、わりかしいいものだったと思う。
聖グロリアーナの戦車隊長。
あくまで優雅で余裕のある物腰。しかし打つ戦術は優雅ながらも型破り。聖グロリアーナの伝統という誇りと枷をその両肩に軽々と乗せて、風を切って颯爽としている。
自分に自身があって、皮肉めいた格言で知識をひけらかして相手を煙に巻くその姿は、見方を変えれば鼻持ちならない嫌な女だけど、少なくともそれまでのわたしには、カッコよく見えた。
わたしにないものをいっぱい持ってる。そう思っていた。
ダージリンという女にわたしが抱いていた印象というのは、ざっくりそんな感じだったのだ。
◇◆◇
「わたし、ダージリンの優雅な戦いが好きなの。フェアプレイで行きましょうね!」
練習試合の前、わたしは腹の中を隠して、ダージリンにそう言った。
我がサンダース大附属と聖グロリアーナの練習試合のカードを組んだのは、わたしだ。
18/02/26(月)23:43:04
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