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18/02/26(月)23:43:04  彼女... のスレッド詳細

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18/02/26(月)23:43:04 No.487645126

 彼女のその吸血癖についてわたしが気づいたのは、割と最近のことだ。  それまでわたしが彼女に持っていた印象というのは、わりかしいいものだったと思う。  聖グロリアーナの戦車隊長。  あくまで優雅で余裕のある物腰。しかし打つ戦術は優雅ながらも型破り。聖グロリアーナの伝統という誇りと枷をその両肩に軽々と乗せて、風を切って颯爽としている。  自分に自身があって、皮肉めいた格言で知識をひけらかして相手を煙に巻くその姿は、見方を変えれば鼻持ちならない嫌な女だけど、少なくともそれまでのわたしには、カッコよく見えた。  わたしにないものをいっぱい持ってる。そう思っていた。  ダージリンという女にわたしが抱いていた印象というのは、ざっくりそんな感じだったのだ。  ◇◆◇ 「わたし、ダージリンの優雅な戦いが好きなの。フェアプレイで行きましょうね!」  練習試合の前、わたしは腹の中を隠して、ダージリンにそう言った。  我がサンダース大附属と聖グロリアーナの練習試合のカードを組んだのは、わたしだ。

1 18/02/26(月)23:43:21 No.487645182

 秋の朝は涼しく、きん、と冷えた空気が、演習場を渡っている。遠くでアイドリングするコンチネンタルガソリンエンジンの音が聞こえていた。チャーチルやマチルダの音は聞こえない。試合開始までエンジンを切っているのだろう。ずっとアイドリングしているのは、ウチがガソリンに余裕があるからで、わざわざ音を聞かせているのはつまり、嫌味だ。  試合は8両同士のフラッグ戦。今回のフラッグ車はアリサじゃなくわたし。聖グロがどれをフラッグ車にしているかは分からない。 「あら、ありがとう。では騎士道精神で」  ダージリンは涼しい顔でそう答えて、お人形みたいに可愛らしい女の子を何人も取り巻きに引き連れて去っていった。 「初耳ですよ」  見送っていたわたしに、副隊長のナオミが苦笑する。 「優雅なのがいいなんて」 「釘を差したのよ」 「釘を?」 「そう。彼女、汚い真似もするもの……それで、何か言われた?」 「いえ。何も」 「ならいいわ……」  わたしはそう言うと、愛車のシャーマンに向かった。  戦車道を志すものとして許されないことだが、今日の試合はわたしにとって、口実だった。  あのダージリンという女に会うための。

2 18/02/26(月)23:43:36 No.487645232

 きっかけは、大学選抜戦の少し後だ。  あの選抜戦において、彼女はめざましい活躍を見せた。もちろんわたしもそれに協力した。信頼し合える仲間だと思えたし、あのダージリンと肩を並べて戦えたということは、わたしにとって誇りだった。  大学選抜のメンバーを知っていたら、参加しなかったかもしれないけれど。 「はぁ?」  試合の後、爽やかに別れた帰りのスーパーギャラクシィの中で、わたしは思わず声を上げた。  アリサは寝てしまっていて、むちゃむちゃと口を鳴らしている。オートパイロットに任せているのでうっかり眠くなる中、何か面白い話はあったか、と、ナオミにねだっていた時のことだ。 「まぁ、冗談でしょうけど」 「冗談でそんなこと言わないでしょ」 「いやぁ……アタシみたいな無愛想でうすらでっかいの……」 「あなたは魅力的よ。できればそれは、意中の人だけに向けてあげてね」  わたしはそう言いながら、腕を組んでどかっと席に座り直した。  ナオミが誘われたという。  あのダージリンという女に。

3 18/02/26(月)23:43:59 No.487645317

 17ポンド砲さん、なんて呼び方をして、馴れ馴れしく彼女に近寄ってきたダージリンは、その優雅な指先と微笑みで、ナオミを誘ったというのだ。  聖グロのチームに砲手として欲しい、なんて言い方をしたというけど、そんなのは口実だって、わたしにはわかる。  つまりあの女は、ナオミをベッドに誘ったのだ。  幸いナオミには意中の人がいたから、スーパーギャラクシィのレンタル時間を口実にさっさと退散して来たのだが……。 「なにそれ」  わたしは口の中でうなった。  あの優雅な微笑みと物腰に、わたしは憧れてさえいた。  わたしの頭の中の彼女の声がねっとりと女を誘う声に変わり、わたしはそれがとにかく不快だった。 「冗談ですよ」  ナオミが苦笑する。 「そんなわけないじゃないですか」 「そんなわけあるのよ」 「なんでそんな……」 「……」  それから、わたしはサンダースに戻ると、戦車隊長の権限を利用して聖グロリアーナに諜報をかけた。

4 18/02/26(月)23:44:15 No.487645380

 そして疑惑を確信に変えて、わたしはこの練習試合を申込んだのだ。  試合は、我がサンダース大附属の勝利に終わった。 「お見事でしたこと」  ダージリンは相変わらず優雅な涼しい顔で言ったが、その口調には悔しさが滲んでいた。多勢で囲むしか芸のないサンダースに、って感じ。 「どうしてこちらの戦術がわかったのかしら?」 「わたし、優雅なあなたの戦いが好きって言ったじゃない? だからフェアにいこうって」 「えぇ」 「そう言えばあなたは、きっとその……わるいことをするって思ったの」 「まぁ……」  我がサンダース大附属の戦術は、ことごとくダージリンの裏をかいた。  優勢火力ドクトリンは好きだけど、数が等しい戦車道では難しい。局地的に多勢を作り出すことはできるが、その段取りがきちんとできれば苦労はないのだ。  だからわたしはダージリンを心理的に誘導した。好きなやり方ではなかったけれど、わたしの戦いはこの後。 「もし、あなたがわたしの好きな優雅なダージリンだったら、今回の作戦はぜんぶ外れて、負けてたのはこっちだったわね」 「あら」

5 18/02/26(月)23:44:32 No.487645443

 わたしの言葉にダージリンがぴくりと反応する。 「あなたの好きなわたくしなんて、この世に存在するのかしら?」 「いるって思ってた」 「過去形?」  ダージリンの少しだけ吊り上がった猫みたいな目が挑発的に輝く。この不遜な自信たっぷりな姿が好きだった。自信を持てないわたしには、まぶしかった。でもそれは自信かしら? 「17ポンド砲さん。お元気かしら?」  わたしをそのままに、彼女はわたしの後ろに立っているナオミに微笑んで話しかけた。 「あのお話、考えてくれたかしら?」 「はは。冗談だと」 「こんな格言を知ってる? 真実はこの世の中でいちばん面白い冗談である」 「ナオミは聖グロなんか行きませんよっ!」  アリサがその二人に割って入る。 「ナオミはわたしの相棒なんですからっ!」 「まぁこわい。でもそれなら、阻塞気球さんも一緒でもいいのよ?」 「……ご遠慮します」と、これはナオミ。

6 18/02/26(月)23:44:49 No.487645509

「ヘイ」  わたしは腰に手を当てて言った。 「アリサもナオミも、先に戻ってて。わたしが戻らなかったら出港しちゃっていいわ。追いつくから」 「は?」 「わたし、ちょっと聖グロリアーナの隊長さんに話があるの。アンダスタン?」 「イエス・マム」 「オレンジペコ」  ダージリンは、ひょっとしたらくれるつもりだったのかもしれない紅茶セットのバスケットを持って控えていたかわいらしい少女に、振り向かずに呼びかけた。 「悪いけど、先に戻っていてちょうだいな。どうもサンダースの隊長さんがわたくしに話があるそうだから」  それから振り返る。どんな顔かは、わたしからは見えない。 「すぐに済むわ。帰ったら、かわいがってあげるから」 「はいっ」  オレンジペコと呼ばれたかわいそうな女の子は、かあっと頬を赤く染めてそのまま一歩下がり、くるりと踵を返して去っていった。言われたとおりに。きっとベッドメイクも済ませておくんだろう。わたしの胸はげっとむかつく。 「それで? お話って何かしら? サンダースの隊長さん」 「わたし、知ってるのよ」

7 18/02/26(月)23:45:04 No.487645572

「何を?」 「聖グロの隊長が」 「聖グロリアーナ」 「聖グロの隊長が、女の子をとっかえひっかえ抱き捨てにしてるのを」 「強い言葉を使うのね」  ダージリンはくっと目を細める。 「品がないわ」 「否定しないの?」 「どうせ先回りしているでしょう?」  その通りだ。  聖グロリアーナ女学院はその名の通り女子校だ。特殊な文化が出来上がることもあるだろう。  女の子同士の恋愛だって珍しいことじゃない。それはサンダース大附属の戦車周りでもそうだし、そこを否定するつもりはない。  その中で、ダージリンという女は頂点に立っていた。  彼女は後輩を誘惑し、かしずかせ、愛の言葉をささやいて夢中にさせ、彼女たちからその幼い愛を搾取している。

8 18/02/26(月)23:45:55 No.487645761

ちょっと長いので以下てきすとー su2268274.txt メグミにビビるケイちゃんがかわいかったので…

9 18/02/26(月)23:47:18 No.487646051

いい…

10 18/02/26(月)23:51:38 No.487647015

ロクでなしのアールグレイとメグミ

11 18/02/27(火)00:01:02 No.487649063

ゴミみたいな内容だなぁ…… ところでおにきって何?そういう表現があるの?

12 18/02/27(火)00:02:00 No.487649290

>おにき 誤字だわ! ありがとう!

13 18/02/27(火)00:13:13 No.487651708

>コンチネンタルガソリンエンジン 私こういうのさらっとお出しできるようになりたい!バァァァァァン

14 18/02/27(火)00:13:30 No.487651756

こっち側は久々に見た いいなぁやっぱりケイダジはいいなぁ

15 18/02/27(火)00:18:02 No.487652669

大学にはドえらいもんが少なくとも2匹解き放たれてるんだな…

16 18/02/27(火)00:25:15 No.487654241

アズミもきっと似たようなことやってる ルミは多分やってない

17 18/02/27(火)00:26:10 No.487654431

ぬぁあぁぁぁぁぁ! いい…

18 18/02/27(火)00:27:27 No.487654705

>ルミは多分やってない 色恋より良い感じの草を求めるタイプ!

19 18/02/27(火)00:28:03 No.487654847

>>ルミは多分やってない >色恋より良い感じの草を求めるタイプ! 色気より食い気!

20 18/02/27(火)00:28:28 No.487654965

道具はともかく薬ってどういうことだよ! >下剤

21 18/02/27(火)00:29:02 No.487655077

>>>ルミは多分やってない >>色恋より良い感じの草を求めるタイプ! >色気より食い気! それが継続魂!

22 18/02/27(火)00:30:18 No.487655352

メグミは妖怪っスか

23 18/02/27(火)00:30:27 No.487655392

いきなりバイブとローターの二穴責めをくらうダージリン様 「え、普通でしょ…」

24 18/02/27(火)00:32:50 No.487655994

>メグミにビビるケイちゃんがかわいかったので… DTMのサンダースいいよね…

25 18/02/27(火)00:33:34 No.487656164

真相はこうよケイ… 「先にシャワー浴びて来てエリちゃ…ダージリン」

26 18/02/27(火)00:34:38 No.487656398

私これ好き!

27 18/02/27(火)00:35:42 No.487656640

>メグミは妖怪っスか su2268371.jpg 実際は私情を挟まないってだけの台詞だけど ちょっと某マスタークを連想しちゃった

28 18/02/27(火)00:35:44 No.487656654

くそくらえだから下剤なのねリンちゃん

29 18/02/27(火)00:36:24 No.487656811

>私これ好き! 俺も!

30 18/02/27(火)00:37:56 No.487657240

>くそくらえだから下剤なのねリンちゃん くらえって…アブノーマルすぎる…

31 18/02/27(火)00:37:59 No.487657261

>いきなりバイブとローターの二穴責めをくらうダージリン様 あおむしくんじゃないんだからさあ いい…

32 18/02/27(火)00:38:35 No.487657413

お定まりなんて表現初めて知ったよ俺は… 語彙増やしたい!

33 18/02/27(火)00:39:05 No.487657550

義姉さんには失望しました!私みほと同居します

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