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2021-03-18のスレッド一覧 4965件

夕暮れの中、川原沿いの土手を歩く二人。一人は肩からバッグを下げた女、もう一人の男の方が手にした袋には食料品がぎっしり詰まっている。 「シンジく~ん‥‥顔がにやけてるよ」 「え?ほんと?」 何かにふけっていたせいなのか、シンジは隣の女性がずっと自分の方に向いていたことすら気づかなかったようだ。 「なんかさ・・・・自分でも笑えてきちゃって。こういう風に誰かと生活したりする日が来るのかって」 「違和感があると。確かにこんないい女と一緒にいるっていうのはね」 「そうだけどそうじゃなくて。父さんと離れて暮らしてからずっと‥‥ってほどじゃないけど、どうしてこんなに苦しいんだろう、どうしてこんなにいきなり戦ったりしてるのかなって。普通の暮らしってどんなのだろうなって思ってたんだ」 夕時の風が、やや強く二人の髪をなでる。遠く地平線のむこう、夕陽の沈む場所を眺めながらシンジは続ける。 「だから、いざこうやって穏やかっていう感じに過ごしてるの、すごい不思議なんだ」 遠くで響くチャイム、土手下の原っぱで遊ぶ子供たちの声、帰り道を歩く二人の足音。そんなありふれた音をかみしめるようにシンジは目を閉じた。

21/03/18(木)04:12:37

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