「ねぇダージリン、こういうのってあなた、興味ある?」
と、同居人であるケイが差し出したチラシを受け取って、わたくしこと“大”ダージリンは眠い目をこすった。
キッチンからは今淹れたばかりの紅茶(ティンダーリアのダージリン)のいい香りが、湯気に乗って漂ってくる。スコーンは昨日安斎さん立ちが来た時に焼いたものを温め直したもので、オレンジピールの入ったマーマレードとケイの好きなピーナッツクリームが準備してある。いつもの朝食だ。これに新鮮なきゅうりでもあれば最高だが、今は少し時期外れだし、そもそも買いに行っていない。
「ケイ。リビングの空き瓶も片付けてくれればよかったのに」
「わたしゴミ捨て行ってきたのよ? あなたがベッドでぐーすか寝てる間にね。あなたのだっこちゃんがぬいぐるみに変わっていたの気付いた? なんで文句言われるの?」
「だって今日は回収ごみじゃない。あなたの開けたバドワイザーの缶は来週までこのわたくしの優雅なお城を占有するってわけ? あなたと一緒に」
「あなたのスコッチの瓶もね」
「夢を捨てるとき、この世は存在しなくなる」
18/05/22(火)23:22:43
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