鋼のボディ、鉄の嘶き。それはたぬきのものであっても変わりなく。
一人のウマ娘が専用レーンを駆けている時、横からスルリと並んできたものに目を奪われた。
「ウオッ……かっけぇー!」
「ぶろろろろろし……」ヴロロロロロ……
全体的にたぬきサイズ、小さくまとまったものの、それはバイクだった。しかもウマ娘専用レーン(制限時速50km)に並ぶ力がある。
見た目だけのおもちゃではないという事だ。震えるエンジンが、ギラリと輝くマフラーが、視線を釘付けにする。
それに跨るションボリたぬきもまたカッコイイ。体躯の割にデカい頭をフルフェイスヘルメットで覆い、身体はライダースーツに包まれている。肩肘膝にはパッドも入り、完全武装。
ライダーよかくあるべし。信号で停まったのを良い事に、しげしげと見つめずにはいられない。
信号が青になると、たぬきは右を見て左を見て、また右を見てから発進した。真のカッコよさはルールの遵守にこそ宿る……
「ウオーッ! 俺もバイク乗りてえーっ!」
「ウオーッ! ウオーッ!」
ウマ娘ウオッカと、何時の間にか横に湧いて一緒にバイクを見ていたウオッカたぬきは、興奮をそのまま叫びに変えた……
21/09/10(金)00:42:12 ID:LV9QLnCI
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