天丼だった。
「うっしっし……いただきますし……」
でかい海老天が二尾デン! と乗った海老天丼だった。衣と飯がタレ色に染まった海老天丼だった。
それをたぬきが食おうとするから、自分が食うでもないのに足を止めて、思わず唾を飲み込んでいた。
プラじゃない丼に入ったそれは店屋物なのか、箸もなんか高そうに見えるとか、後から色々考えはしたが、何より海老天が美味そうだった!
それをこちらに見せつけるように持ち上げると、小さな口を思い切り広げてガブリ!
ああっと己の口から声が出たかもしれなかったが、たぬきは気にした様子もなく。追って飯をかきこむと、神聖な瞬間が訪れた。
「ん~~~~っまし……! 正解だし……!」
顎の動き数える事三十。健康に良い咀嚼回数の後、嚥下したたぬきの口から感動が漏れた。完璧な正解。
そうだろう、そうだろう。今、お前の顔はションボリしていない。
21/08/24(火)20:41:05 ID:4ermsYIo
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