虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

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2018-05-18のスレッド一覧 5777件

こんな雨の日に余程の急用が有ったのでしょう、ゆりちゃんは出かける前に靴を逆さまに履いて行きました、怒っているような笑っているような可愛い顔をしたゆりちゃんは、何故かお母さんとは違って長く伸ばした髪を横にして玄関を走る、産まれた時と同じ笑い方をする二の腕ばかりのゆりちゃんを果物籠の中に詰め込み抱えながら、一階二階三階四階と階段を下りて行くのを見送ったお母さんは、果物籠をキッチンの戸棚にしまい、雨の降る前に画鋲が一つ二つ入った靴を逆さまにしたお母さんが悪かったわ、と唯一割れていないコーヒーカップに向かって言いました、隣に座って我関せずとお醤油も無い納豆の糸を立てていたお父さんは笑っていて、あの子に限ってお母さんをいたぶりなどしない、帰りは中華レストランにでも寄ろう、これもお父さんの仕事なんだ、なによゆりちゃんばっかりかまって、おとうさんははるなちゃんのこときらいなんでしょ、そんな事はない、お父さんが嘘をついた事があるかい、ううん春菜幸せよ、だったらゆりちゃんを信じてやれ、あの子はいい子だから、そう言ってお母さんの頭を撫でてくれた、雨が次第に強くなり戸棚の中が酷く煩い、どうやれば止むのかしら

18/05/18(金)22:45:44

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私は作家のタイリクオオカミ そしてここはロッジ『アリツカ』 穏やかで平和なロッジさ 「せんせー!あそぼー!」「きょうはなにをするのだー?」 ああ、言い忘れてたね…実は私は保母でもあるんだ 母乳は出ないけど立派に子育てをしているよ そしてここは宿泊施設でもあり保育園でもあるんだ、そして孤児院にも収容所にも…つまり私達の家って事さ 「こらー!髪を引っ張らないのー!あなた達ヤギなの!?」こっちはアミメキリン 自称私のファンで私の手伝いをしてくれている はは…だいぶなつかれてるみたいで何よりだ「先生!見てないで助けて下さい!あと新作を早く!!」はいはい…今行くから急かさないでくれ 「ほら皆キリンから離れて!今日は皆でお絵描きをしよう!」「はーい!」「ぼく何を描こうかな…」「こんなのちょいちょいなのです」ふふっ、皆のいい顔頂きました♪ おっと…そろそろか 原稿用紙に哺乳瓶を書き上げサンドスターをスイと込めると…出来上がり!新鮮ミルク!作家だからこのくらいは朝飯前さ 「さぁ!ご飯の時間だよ!」『はーい!』 ロッジアリツカ保育園は今日も平和な一日を過ごしていた 「何してんだろ…私」アリツ園長以外は…

18/05/18(金)21:17:12

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東京ですっかり虹を見なくなったのは、ホタルたちが自分の命を陽炎に変えたからなのだろうか。行く先々で美しく萌える新緑が血液で汚れるのはひどく悲しい。ぴるす君の命は細く短く、立ち現れてはまばたきの合間に消えてゆく。孫に捕まえてとせがまれて、一時期はずいぶん追い回したものだ。久々に捕えたくなってバンと引き金を引いたが、手が届かないほど遠く声が聞こえないほど遥かで、その命はテリンと消え失せた。 陽炎の残骸を拾い上げてみると、タスケテクダチと鳴いていた。「死にたいかね」と聞くと僅かに「嫌ですけお」と応えた。私は首を横に振ると、彼の指をスイと切り落とし、懐から木綿針を取り出して一本々々飲み込ませてゆく。900本を超えたあたりで静かになったが、イヨォと襟を締め上げてやると、まだ約束を守る隙間はあるようだった。ぴるす君はクルシインデスケオシナセテクダチと言った。やはり嫌だというのは嘘だったのか。私は針の残りを、まとめて彼にゆっくりと押し込んだ。  陽炎が立ち昇る熱に溶け空に帰ったのを見届けると、彼の流した涙が飛沫となって空に橋を架けた。ああ、虹はあったのだ。ただ、私が空を見上げなくなっていただけで──

18/05/18(金)20:17:54

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