虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

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2021-03-15のスレッド一覧 5068件

「結局一度も模擬レースに参加できないまま本番を迎えてしまった…」 「ん。大丈夫です」 こちらの心配を他所にディープインパクトは落ち着いた様子で膝に手を付き中腰で股関節を伸ばしている。 デビューを目指すウマ娘たちの登竜門。トレーナーの前で実力を示す機会である『選抜レース』。 普通はそれへ向けてレースのイロハを学んでから臨むものだが、彼女は急なエントリーだったために何一つ準備がない。 「大丈夫って…例えばスタートの練習さえ君は満足にしていないんだぞ?」 「ん…始まればなんとかなると思います」 出走のための集合がかかる前の最後の時間だというのにディープインパクトはずっとこの調子だった。 まるで平常心のようだが緊張していないのとは何処か違った。それはしばらく彼女のことを見てきたから分かった。 言葉にするなら、きっとディープインパクトは待ち切れなくてそわそわしている。 「そうか。君はもう早くレースが始まって欲しくて仕方ないんだね」 「ん。…はい。待ち遠しいです。やっと走れる。思い切り走れる。早く、早く…」 淡々と呟きながら入念に柔軟体操をするディープインパクトの姿に思わず背筋がぞくりと粟だった。

21/03/15(月)22:17:16

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聞いてくれカフェ!!私は心底憤慨してる。 まさかモルモット君があんな薄情で冷たいやつだなんて思わなかったよ!何があったか聞きたそうだね!?うんうん…教えてあげよう。 今日のおやつの時間の事だモルモットがいつも通り紅茶を淹れていたんだが私はついうっかり愛用のペアカップを落とし割ってしまったんだ。 モルモット君は優しいから直ぐに大丈夫か?火傷はしてないかと私の身を案じてくれた。 それから床を拭き、割れたカップを回収した。私は大切な思い出のカップが割れて悲しかったのにあの駄モルモットは「古くなってたしそろそろ買い替え時だった割れたのは残念だったね」とか言ったんだ!きっと今頃カップは燃えないゴミ置き場に新聞紙で包んで捨ててるに違いない!!あのカップは初デートで買った思い出の品なんぞ!! もっと何かう~ん…なにか言う事あるだろう!?(プルルルッ… んっ?ちょっと待ってくれモルモット君から電話だ…今更何のつもりだい君…えっ…うん…うん…うんうん!わかった♡(ピッ モルモットが割れたカップを金継ぎして直してくれたらしい…流石私のモルモット君だよ 何だいカフェその怖い顔は…いつも数倍怖いぞ?

21/03/15(月)16:50:34

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まるで紅葉が湖の上へ浮いているかのようにコースは茜色で美しく染まっていた。 「はっ、はっ、はっ…!」 夕暮れの光に燃える芝の上をディープインパクトが颯爽と駆けている。 水面の上を滑るように飛ぶ水鳥のような、宙に浮いているのではと錯覚させる艶やかな走り方だった。 彼女のトレーナーでも無いのにようやくここまで来たという奇妙な感慨が胸にある。 それくらいディープインパクトにとってこれまではひたすら我慢の日々だった。 彼女の本能めいた走ることへの執着とそれを押さえつけて肉体改良に取り組む姿の慎重さはまるで爆弾解体でもしているかのようだった。 ともすれば破裂しそうになる彼女が壊れてしまわないように、本数を定めて適度に疾走させるガス抜きの全てに付き合ってきた。 苦だなんてまるで思わなかった。暗闇の中を全力で駆けるディープインパクトの姿は何よりも凄烈に映った。 気高く、美しく、澄み切ったものと向き合っている。トレーナー冥利に尽きる。まだ新人だけれど。 だがそんな日々もきっと残り僅かだ。 積み上げ続けた努力は彼女を裏切らなかった。 前はすぐ怪我していたのに、今はもうあんなに全力で走っても揺るがない。

21/03/15(月)00:51:11

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