虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

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    21/03/15(月)02:32:59 No.783566229

    タキオンに、一緒に暮らす事を提案したのは、URA決勝からしばらく経っての事だった 「フゥン、どうせ私の世話で付きっきりだから、一緒に暮らした方が手っ取り早い、そう言うんだね?」 タキオンなら、そう言った方が納得してくれるかなと思った、私にとっても、タキオンにとっても、共生できる相手はもはや1人しかいないと思って、そう持ちかけたのだった 「参ったな、正直断る理由がないんだ、合理的に考えれば君と共同生活を営む事のメリットは多いし、どうせメディアには変人奇人と扱われてる私達、同棲したぐらいで世間様から悪く言われるとも思えない」 何より、タキオンの世話をできるのは私しかいないと、その時は確信していたのだ、他の奴にタキオンの世話をされたら悔しいとかではなく、私がいなければタキオンは何もできないし、タキオンがいなければ私は何の目標も抱けない、そんな気がしていたのだ 「前向きに検討させて欲しい、でも、その前にひとつ実験、いや、データ解析を行なっておきたいんだ」

    1 21/03/15(月)02:33:36 No.783566295

    タキオンはラップトップPCを立ち上げて、エクセル?のデータを表示した 「これはcsvで、関数を色々使えるxlmsとはちょっとだけ違う…どこから説明すればいいか、まぁ今は関係ない、これを見てくれたまえ」 菊花賞後130、クレーンゲーム112、ティータイム48、発光(緑)(全身)(2回目)197……何だろうこれは 「……心拍数?」

    2 21/03/15(月)02:33:48 No.783566315

    「その通り、それ以外にも色々パラメータはあるんだけどね、君に分かりやすいように整形したデータなんだ」 「左端のが…その時のシチュエーション…全部記録を?」 「はは、君が私を管理しているんだから、私が君を管理しても何もおかしくないじゃないか、日記と照らし合わせれば1日10分で済む作業だよ」 「私としたこと、全部日記に書いてるのか?」 「……日記なんてのはただの建前で、観察ノートだよ、モルモットくん、私は君を昆虫のように観察しているんだ」 「一緒にデータを取られてる、タキオンも昆虫なんじゃないか?」 「うるさいな、本題はそんな話じゃないんだ」 スクリーンにグラフが並んでいる、どれもぐちゃぐちゃで、右肩上がりとか二次曲線とか、そういう綺麗な形は見て取れなかった 「なーーーーーんの相関も見当たらないんだ、心拍数以外のデータもね、君が私に好意を抱いたのが、いつだかサッパリわからない」

    3 21/03/15(月)02:34:05 No.783566357

    私がタキオンを特別だと思ったのは、それこそパドックでタキオンの走りを見た時だ、何かの衝動、これを逃したら私は何にもなれないという焦り、守りたいという予感、言語化というフィルターを通す事で、何かがボロボロとドロップアウトするような 「タキオンは、私の目を見て、狂ってるって思ったんだよな?」 「ああ、うん、あれは確かに普通じゃなかった、速いにしても、なんでそんなに執着するか、わからなかったんだ、脚のことも、君に教えたのはずっと後だしね」

    4 21/03/15(月)02:34:21 No.783566389

    「一度だって、私の目から狂気が消えた事はあるのか?」 タキオンと目線を合わせ、再度確認した 「……ないよ、モルモットくん、君は私に出会ってからずっと、今の私を見ているのに、私の先にいる私を見つめて」 「いつからかは分からないけど、タキオンじゃないとダメだって、確信してるんだ」 「わかってる、わかってるんだ、君が私をほんとに特別に思ってることなんて、私は、常識的な恋とか愛を信じきれなくて、何か理由を付けたがって」 「じゃあ、何が不安なんだ」 「私の好意が、そして君の好意が、全部説明できちゃうことが、不安で仕方がないんだ、説明できることなんて、人間にたどり着ける理論なんて、簡単に打ち消されてしまうんだ、君がいつでも先を見据えているから、私が何にでも理由をつけたがるから」 何かの衝動が身体を駆け巡った、ああこれは、いつかと同じ、ソファにかけて、ゆるりと始めた会話だったけど、いつの間にか互いに姿勢を正して、向き合っていた。

    5 21/03/15(月)02:34:37 No.783566420

    タキオンの膝に置かれた左掌を、デッサン人形のポージングのように私の左掌に添わせた 「これからどうなるか、わかる?」 「怖いよ、君を信頼してなければセクシュアルハラスメントで君を訴える事だって出来るかもね、勿論そんな気は」 タキオンの後頭部を右手で支えながら、ソファの肘掛けに押し倒した、目をまんまるにしたタキオンはいつもの甘え散らかした態度よりずっと幼く見えて、少し抵抗があったが、私は彼女にキスをした、キスと呼ぶのも恥ずかしい、漸近した唇がすれ違っただけの 「これは?予想できた?」 タキオンは乱れた髪を必死で直して、でも抵抗しようとしない 「……ずるいよ、私が必死に理由を考えてるのに」 「私だって、何も考えずに身体が動くことだってあるよ、きっとパドックでタキオンを見て、タキオンしかないって思ったのも、そう言うことなんだ、理由なんて後から付くものなんだよ」 「私はそういうのが1番嫌だって、君はわかってるんだろ?そういうのはアレだ、カオスだよ、パラメータが多すぎて予想できる範囲を超えちゃうんだ、シンギュラリティを越えて、いつか全部分かっちゃうんだな、これが」

    6 21/03/15(月)02:34:54 No.783566462

    「ずっと先だよ、私達には関係ない、光速でも追いつけないところにその世界はあるんだ、だから、心配しなくていい、君が全力で走ってもそんな世界は、輪郭すら見せてくれないんだ」 「……研究者には残酷な言葉だね、モルモットくんのこと、モルモットくんが300年生きた場合のことまでシミュレーションしようと思ってたのに」 「ずっとずっと先だよ、いちおくまんねんとかそこらへんの」 「それで……」 「何?」 「『続き』は、するのかい?ここで?返答次第で私も覚悟を決めなきゃいけないんだな」

    7 21/03/15(月)02:35:51 [s] No.783566574

    以上です

    8 21/03/15(月)02:36:14 No.783566610

    スレッドを立てた人によって削除されました つまんね