空の架け橋、それを境に天気模様。西は僕で東はベンガーラ。陽光に影落とす雲は地上の人々の隠れ宿。風の日に流れる雲は人々の目にも早足で、それを操る僕はさながら暴れ馬の騎手といった所か。それとの違いは、誰も見てはくれないことだが。
風というのは僕らの制御の範囲外である。まさしく自然に吹くものなので、雲を描く僕は特に大打撃である。天気模様を維持するのが非常に難しい。
「すいません、ベンガーラ。雲がそちらに流れていってしまいそうです」
「構わんよ。それよりスレット、もう少し厚雲を描いた方が良いのでは?」
厚雲は風に千切れてしまう。ベンガーラがいうのは恐らく、雲を散らせば良いのだろうということだ。なるほど確かにそちらの方が効率も良いかもしれない。曇りの天気予報は諦めた、というわけだ。
「あ、スレットー。アルシエル様がね。……というか、今大丈夫?」
伝言を頼まれたのか、雪天使が雲から顔を覗かせた。
「うん、大丈夫」
17/09/19(火)23:48:01
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