虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

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2017-12-22のスレッド一覧 5377件

アウグスト・シュライヒャーは言語とは発展の末崩壊すると予言した。 言葉とは全てである。私も常々そう思ってはいたが、この度それが疑い様の無い現実となった。 歌舞伎が全人類に普及した事で、近頃では脳内にカブキチップ(歌舞伎揚げともいう)を埋め込まれていない者は全人口の1%もいない。 この事実はカブキチップスによる相互通信、それに用いられる完全言語の話者として人類ほぼ全てが統一された事を意味する。 その影響によって急激に発展した完全言語は世界のあらゆる音を分解し、要素として取り込み、それと同化した。 つまり音こそは言語であり、全ては言語に還元される。 死もまた言葉である。 既に言葉は現実を書き変える力を持っていたから、「死」という単語は仕事や葬儀で死に関わった幾億の人々を死に至らしめた。 このような類の問題はカブキチップスのアップデートですぐに修正された。 だが実験動物としてチップスを埋め込まれたぴるすは経費削減の為対象外とされた。 彼らは常に死やけつまんこいと隣合わせである。飼育施設は阿鼻叫喚の地獄と化した。 更に「ぴるす」は完全言語に絶対的な言葉として含まれているから、その苦しみは永遠である。

17/12/22(金)23:41:19

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我慢の日々が続いていた。冥界に下ってはバニヤンをしばく繰り返し 忙しさに追われ酒場の営業もままならない日々とそれを言い訳にする自分自身に、私は間違いなく苛立っていた 「なぁ、また面白いもん拾うたさかい、これあんさんのとこで適当に見繕ってくれへんやろか?」 そんな時に限って、酒呑さんはふわりと現れる。それも大抵、難しい手土産を伴って どうやら今日の課題は血の滴る新鮮なモツのようだ 面倒な下拵えは門の向こうに丸投げ。綺麗になって帰ってきたモツを小さく刻み、素材庫から拝借した鉄杭に差し込んで丹念に焼いていく 「最近あんまりお店開けれてへんみたいやねぇ。ウチ寂しいわぁ」 塩をまぶした肉の焼ける香ばしい匂いが鼻をくすぐる最中、早速痛いところを突かれた私はしばらく言葉を返せなかった 刻々と変性するモツの最適な焼き加減を見極めながら、サーヴァントとバーデンを両立できない己の不出来を恥じる 「ほんの軽口やのに。真面目やねぇ……あんな、無理に粋がらんでええんよ。ただあんさんがやりたいようにやってくれれば、皆それでええの」 張詰めた肩の力がスッと抜ける。それはなんとも形無しな、酒呑さんらしい励まし方だった

17/12/22(金)22:58:43

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野生のぴるすにはしばしば見かけ上は何の異変も無いままに突如死亡する個体がある。 私はその謎を解く為、大量のぴるすを捕獲しては頭蓋に望遠鏡を刺して覗き込んだ。 驚くべき事実が判明した。 ぴるすは頭蓋内に住むクワガタにより操縦されている事は常識であるが、一匹のぴるすに住むクワガタの数が問題だったのである。 通常のぴるすに住むクワガタの数は一匹であり、そういった個体に突然死は起こらない。 だがぴるす内に複数がいて繁殖した場合は別だ。 彼らはぴるすの中で恐ろしい速度で世代を重ねその数を増やしてゆく。 元より人間未満とはいえクソコテを操縦する知能がある為、次第に知恵や技術を生み、文化を発展させる。 彼らはやがてぴるすの頭蓋にひとつの、或いはいくつもの国家を形成するのだ。 だがそこはぴるすの主の事、頭蓋内に鉄で出来た大都市を建設して蒸気機関車など走らせていようと所詮はクワガタなのである。 例えばこの個体、適当に傷めつけてから頭蓋内を覗いてみると、私への対応でクワガタ議会は真っ二つに割れていた。 危機の時代、混迷に陥る民主制、次々暴かれる体制の腐敗、独裁者の発生、内戦の勃発。 そしてぴるすは死んだ。

17/12/22(金)22:03:29

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空戦理論などは既に机上の空論である。 何故なら飛ばした六方は時空を越えて即座に相手に届くからだ。 それまでは弾頭としてぴるすが大気圏内を亜光速で飛び交っていたが、これが開発された途端全てが威力を失った。 応用として反響六方が登場する。要は歌舞伎版のソナーであり、離れた相手の情報が六方により瞬時に読み取れるのだ。 本来は軍用に開発されたが、現在では民間の通信用途での利用が盛んである。 こうも歌舞伎が普及すれば悪用が目立つ様になるのも当然の事、クソコテによるレスポンチ六方が六方掲示板の各地で勃発した。 レスポンチ六方、すなわち大量にありながら何の役にも立たない情報の、六方による投げ合いである。 世界はどうしようもなく下らない情報であふれかえってしまった。 人間は情報を喰らう生物である。しかしここまで駄情報ばかりではQOL(ケオリティー・オヴ・ライフ)がMAXに達しそう達した。 人類は駄六方の喧騒凄まじい世界に呆れ果て、遂に六方を捨て去る事を決意した。 世界はやっと静寂を取り戻したのだ。 だがすぐに六方に代わる通信技術が開発された。見得である。 何と切った見得は時空を越えて即座に相手に届くのだ……。

17/12/22(金)21:22:45

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崩壊する歌舞伎座から無座標飛び六方で脱出し、異界へ転移した私を待っていたのは相撲と魔法のファンタジー世界。 誰もが相撲に精進する……はずが相撲は弾圧され、梨園が圧制を敷いていた。 歌舞伎兵を率いる圧制者の王、彼もまた転移者であり、しかも弟、吉右衛門なのだった。 梨園の者と知れたらどんな目に合うか。そこで私は歌舞伎役者の正体を隠し、魔導力士に身をやつす。 肉襦袢を着てカツラを被れば十分に人の目を騙せた。 マジカルセキトリといえばマジカル四十八手、歌舞伎とは別体系の技術であるが見得で代用が可能だった。 私は密かに仲間を集めた。幕内騎士を率いて王城に攻め込む。 やがて吉右衛門との対決の時、取組の内に次第に虚飾は剥げ、そこには純粋な歌舞伎と歌舞伎のぶつけ合いしか存在しない。 勝利、だが長い闘いで幸四力を使い果たした私は最早くたびれた一歌舞伎役者でしかなかった。 共に戦った騎士から叫びが上がる。偽りの糾弾?だが不安と裏腹に歓迎の色があった。 我が新たな王、我が大横綱よ! そして私は第八百九十代横綱白鸚を襲名したのだ。 吟遊詩人の歌声に云う、我らが横綱白鸚よ、角力ブキ界に永遠の安寧をもたらせ……。

17/12/22(金)20:05:30

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普段はのどかな図書館 だが今日は張り詰めた空気が漂っていた 「助手…大事な話があるのです」「なんですか博士…いつになく真剣ですが」 「もういっそリカオンの子供になってしまおうかと思うのです…」「ああそうで…はぁ!?何バカな事言ってるんですか!頭がアライグマにでもなったのですか!?」博士の突飛もない話に思わず毒を吐く助手 「助手…リカオンは子供を求めるあまり凶行に及んでいます」「そのせいで我々がどれだけ!」「ですがそれは愛情と母性本能が暴走した結果…つまり我々が子になることで抑えられると思うのです」 「だとしても我々は長ですよ!?他の者の面倒をどうするつもりなのです!?」「それに…もう私は疲れたのです、リカオンに襲われ抗うのも長として頼られるのも…それに育てて貰えるならいいじゃないですか」「博士…」「もう私は博士じゃないのです…リカオンママの娘のコノハちゃんなのです」「…本気なのですね?」「助手…ううんミミちゃん…今までありがとうなのです」「…っ!ああもう!」「どうしたのです?」「こうなれば私も付き合うですよ!私の方が姉なので!!」 えっ何この子達…まぁ受け入れるけど リカオンは困惑した

17/12/22(金)19:46:12

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宇宙の真理――ダルマ――からは何物も逃れる術を持たない……。 21世紀の終わり、超光速銀河旅行を可能にさせたのは宇宙歌舞伎理論であった。 この理論はぴるすの苦痛をエネルギーにする航空技術を生み出した。 だが、そこにはただ一点誰も気づかぬ問題があった。コズミックぴるすである。 四肢を切断されたぴるすは種子島の航空歌舞伎センターから外宇宙へ向け射出、投棄されていた。 ぴるすとは常に義務的な虐待や殺戮の対象であるが、それ以上追ってゆく事が出来ない為に彼らは放置されていたのだった。 だが一度宇宙へ飛び出した人類は殲滅すべき敵、ぴるすを追って外宇宙へ突進してゆく定めを負ったのだ。 打ち捨てられたぴるすは宇宙の膨張に従って尚も止まることなく遠ざかる。 細胞の様に増殖と自壊を繰り返しながら宇宙地図の外縁を押し広げてゆくぴるす達、そして彼らがファーストコンタクトの切掛けだった。 星系の狭間に放浪する異種知的生命体。 彼らは高度な知性を備えていたが、自分達に余りにもよく似たぴるすを発見した事、そもその存在こそ不幸であろう。 同胞を殺戮するが如く見える人類に対し彼らは攻撃を開始、遂に戦争が勃発したのだ……。

17/12/22(金)18:04:59

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