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2021-03-19のスレッド一覧 5442件

思えば、彼女に対する第一印象は良好なものとはとても呼べないものだった。 そのウマ娘と出会ったのはある曇天の日のことだ。 スカウトが担当するウマ娘を決めるのは選抜レースの結果を主とした上で模擬レースの様子… そして日々の練習に対する姿勢といった要素が理由となる。 自分もそのご多分に漏れず、トレセン学園の広い練習場を駆け回るデビュー前のウマ娘たちの視察に訪れていた。 (なんだかどの子にも魅力があるように見えて悩ましいなぁ) 一生懸命頑張る彼女たちの姿に心のなかで声援を送りながら練習用コースの外周を歩いていた時のことだ。 「…余所見しながら歩かないで貰えます?」 「え?うわっ」 声は足元から聞こえてきた。視線を前に戻すと思わず驚いてしまった。 あと1歩でも踏み出せば爪先で蹴ってしまいそうな距離に、芝の上に座り込んでいるウマ娘がいたのだ。 背格好は中肉中背といったところ。栗毛の髪を無造作に長く伸ばし、だらしなく脚を投げっぱなしにしていた。 いかにも無気力そうな倦怠を眼に浮かべ、胡乱げな視線でこちらを見上げている。 風邪でも引いているのか口元を覆うマスクのせいで表情を伺い知ることは出来なかった。

21/03/19(金)16:27:15

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