山田たえという女がいる。ゾンビで構成された佐賀のご当地ユニット、フランシュシュに所属している。ゾンビなので大層頭が悪い。
「ウ…?」
そのたえがふと窓の外に目をやると、丁度丸々太った猫が横切った。ゾンビの食欲が俄かに騒ぎ、頭突きで窓をぶち破って飛び出した。
「ウー!」
走行中のバンから飛び降りたのでバラバラになった。いつもの事なので元に戻るだろうと高を括るフランシュシュの面々であったが、今度ばかりはそうはいかない。
包帯、湿布、ネジ、木工ボンド、ケツの穴への電気ショック。如何なる蘇生手段も山田たえを復活させられない。
不死のゾンビに限界がある!たえの骸が突きつける揺るがぬ事実が、生き残りのゾンビ達を震撼させた。
ひとまず一纏めにして布団に寝かせてみたものの、やはり状況は好転しない。かくしてオロオロするばかりの役立たずゾンビィの群れを救うべく、遂に巽幸太郎が動き出した。
「こういう時は、こうじゃー!」
幸太郎の背負う火炎放射器から炎が噴き出した。燃え盛る地獄の火焔がたえを焼き尽くした。
19/05/12(日)23:18:37
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