技術の発展により成田から佐賀まで飛行機で僅か二日半となった昨今では有名な話であるが、佐賀県にはご当地アイドルというやつがある。
フランシュシュという名前のユニットで、最近初めてチェキ会をやったらぶち壊しになった。その事を苦にしたメンバーが一人逐電したので、大変なことになっている。
「というわけで私、探しに行ってきます!」
「ええけど、どこ行ったかの見当ついとっか?」
サキに答える代わりにさくらは指笛を吹いた。天井裏がドタドタと騒がしくなってガタガタと天井板が一枚ズレて、埃まみれのたえが落ちてきた。口角からはネズミの尻尾のように見えるものがはみ出しているが、多分イカゲソかなんかだろう。
「いっつも純子ちゃんを噛んでたたえちゃんなら、きっと分かると思うんです」
「なるほどなぁ」
サキはすぐに納得した。レディースでゾンビなので難しいことは考えない。
「じゃ、晩までには帰ってこいよー」
「はい!たえちゃん、行くよ!」
失われた純子を見つけ出し、己が手中に取り戻す。崇高なる目的を胸に秘め、二人は洋館を後にした。
「あちょー!」
夕方の曇り空にたえの鬨の声が響いた。
19/05/22(水)22:21:26
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