照り付ける日差しもいつしか沈み、トップリ暮れた夏の夜。とはいえ暑い、まだ暑い。そんな中、俺は屋敷を汗だくで行ったり来たり。何故ならゾンビィ共が見当たらん。レッスンを終え、夕食、水浴びも済ませた頃だろう。だというのにいつもの寝室にも談話室にもおらん。何処行ったんだ全く……仕方無いから一先ずクーラー利いた部屋に戻ろう。
自室のノブを回し扉を開ける。
すると、真っ暗な部屋にボウッと浮き上がる青白い顔、顔、顔。そしてゆらゆらと揺れるいくつかのろうそく。扉を開けて目に入ってきた光景に思わず「うひょおおああああ!?」とヘンテコな情けない悲鳴を上げて腰を抜かした。
「あっ、幸太郎さーん!待っとったとですよー!」
「ウヴァーイ!」
「なななな何がじゃい!?脅かしよってからに!」
「何って怪談だよタツミ~。夏の夜といったらこれだよね!」
どうやら俺はゾンビィ達のお遊びに勝手に組み込まれてしまったらしい。せめて参加の否応は聞いてほしいんだが……
斯くして、フランシュシュ百物語(も語れないので七、八物語?)が始まった。
19/08/10(土)23:33:22
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