「みんなー!ちょっと来てー!」
さくらがけたたましく鳴らす銅鑼の音で、洋館に散らばっていたフランシュシュの五人が談話室に集まってきた。
「うるちゃーい!」
集まってもなお無心に銅鑼をぶっ叩くさくらの頭を愛がはたいた。そしてさくらの手からバチを取り上げ、銅鑼と一緒に窓の外にぶん投げた。
「そもそもなんで銅鑼なんかあるのよ。ここ洋館でしょ?」
「なんでもええよそげなこと。純子ちゃんの様子がおかしいんよ」
さくらは床にへたり込んでいる純子を指した。首はゆらゆら左右に揺れて、目の焦点は落ち着かず、かくんと開いた口から溢れるヨダレは絨毯を溶かして白い煙を吹いている。
明らかにいつも通りではない。そもそも鳴り響く銅鑼の隣で平然とこんな痴態を晒せるのも、尋常の反応とは思えない。
純子は固唾を飲んで見守る五人を見回して言った。
「ほげー」
「いつもの純子やんか。何もおかしくなかばい」
サキが断言してみんなから離れて寝っ転がった。
「絶対おかしいってー!」
さくらが絨毯をドンと踏むと出来たシワで生まれた波がサキを跳ね上げて転がり戻してきた。サキは改めて皆に加わった。
19/06/08(土)23:13:15
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