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春。出... のスレッド詳細

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22/10/25(火)23:14:36 No.986236151

春。出会い、別れ、誓い、敗れ、芽吹き、散る 悲喜交々とした雰囲気が漂うのは中央トレセン学園でも例外ではない 基本的に編入転入が当たり前にある学園だが、通常の学校のようにこの時期が最も多く新入生を迎える時期である 入学前から注目を集めている者から入試でなんとか校門をくぐることを認められた者まで、その表情は様々だ 「うちのチームならお野菜食べ放題プボ~」 「チームしあわせ会、短歌同好会も兼ねてるので興味のある方は是非歌会へ―――」 「今年の葦毛の新入生は前年度比減ですね……ふーむ……」 そんな新進気鋭の彼女たちを待ち構えるのは学園に点在する各チームとトレーナー達の勧誘 引退した者の穴埋めやチームの増強のため、在校生にとってもこの時期は逃すことのできない書き入れ時、ではあるのだが 「おはよーッス」 「オルフェか、おはよう」

1 22/10/25(火)23:15:09 No.986236367

「やっぱこの時期になるとどこも気合い入ってるッスね」 「どのチームも有力なウマ娘は引き入れたいに決まっている、そうしない我々のほうが少数派だろう」 「まぁ他にやることもあるから余裕あっていいんスけど」 ご覧の通りチームメイトであるオルフェーヴル共々我々のチームはなんの準備もしていない チームの成り立ち自体トレーナーが問題児を拾い上げてなし崩し的に出来上がったため、これまでチームによる春の勧誘はしたことがないし、恐らく今後もすることがないだろう なにせ入学式前の入寮の段階でどのチームに入るかというお馴染みの話題になると、我々のチームは恐怖の都市伝説の如く扱われる 悲しいことにその噂のほとんどが誇張を含んではいるが全否定できるほど逸脱していないのだからなおさらである(トレーナーを半殺しにした、部室から異音がする、部室内に危険物が転がっている、猛獣を飼っている等) 例外としては入学前から名が知れており現在も悪い評判がないカレンと、メイケイエールを拾い上げたら何故か付いてくるように自らブレハブの戸を叩いたソングラインくらいか

2 22/10/25(火)23:15:39 No.986236538

「おかげで聖剣先輩の快復祝いも出来るし今年はちょうどいいッスよ」 「別に大した病気でもなかったのだからしなくていいと言ったんだがな」 「みんなでワイワイやる口実があればワイワイやるのがうちッスから、口実に拒否権はないッス」 クックックとマスクの奥で笑いながら企むような目線を向けられる この度晴れて医師から頻度の高い通院の不要と現役復帰の許可が下り、チームへ合流できることとなった それをチームメンバーに伝えた際、誰が言ったか「じゃあお祝い」の一言で私そっちのけで私の快復祝いが進められている……らしい 一応主賓ということもあって内容は分からないままにされ、準備を進める皆の為すがままと言ったところだ 本当に……皆お人好しだな 「そんじゃま、また放課後に。ちゃんと来るんスよ~」 「ああ、わかったよ」

3 22/10/25(火)23:15:59 No.986236679

別れの言葉を交わすと彼女は身を翻して昇降口まで駆けていく 足を止めたままその背中を見届けているとひゅんと柔らかな風が頬を撫でた 刹那首筋に冷たいものを感じて、手でその辺りを探ると指には散った桜の花びらが 春。祝い、雪解けの季節 凍てついた心身が解けていき、私の足もまた雪解けを迎えていた

4 22/10/25(火)23:16:21 No.986236822

―――――――― 「少し遅くなったか……」 窓の外は既に陽が落ちて暗く、私の帰寮は最後から数えた方が早いだろうか 快復祝いで出された料理で満たされた腹を擦りながら、所々から談笑が聞こえる栗東寮内を歩く 都合が合わずああいった祝いの席への参加頻度はそれほど多くないが、毎度のことながら静かに終わることはない 私もプレゼントにもらった刀型靴べらで危うくトレーナーを殺めそうになったから人のことは言えないが……そもそも私は両刃の西洋剣のほうが好みで……まぁいいか 考えるべくは祝いの途中、追い込み三冠ウマ娘に言われた用件のほうをどうするかだな 「ただいま」 「おーお帰り、遅かったじゃん」 「チームのほうでちょっとな」

5 22/10/25(火)23:16:38 No.986236925

部屋の真ん中に置かれたテーブルに片肘をつき、退屈そうに本を読んでいたのは同室のカルストンライトオ 厚みと表面積から見てなにかの教科書か参考書のようにも見えるがカバーが掛けられているので中身は読み取れない 「あ゛ぁ゛ぁぁーー全然わかんない……シャワーで頭冷やしてくる……」 「あ、あぁ……」 そこそこ長い時間の読書の末に我慢の限界に達したようで、パンと本を閉じるとタオルとシャンプー等を持ってフラフラと部屋を出て行ってしまった カルストンライトオ、短距離を専門とするウマ娘であり私も何度かレースでやり合ったライバルだ 脚質は私とは真逆の逃げ、スタートからトップスピードに乗るまでの加速とそれをゴールまで維持する粘り強さが持ち味 ……だがいかんせんスタミナがない。以前彼女のトレーナーが「彼女には1000mでも長すぎる」と記者に答えていたのを耳にしたことがある それでもスプリンターズSで私を負かしたのは彼女の持つ根気に他ならない、間違いなく実力のあるウマ娘だ

6 22/10/25(火)23:17:18 No.986237172

ここまでは調べれば分かるようなことで、同居人という視点で彼女を語るのなら……色々と早いし、速い ライトオは私より1年早く学園に入学しており、後輩であり人付き合いの苦手な私は敬いと距離を取る意味で敬語で話そうとしたのだが 『敬語なんて全然いいよー!1歳違いならほぼタメみたいなもんだって!』 『いえ、一応後輩ですからっ……あの、背中を叩かないでください』 『あーゴメンゴメン!前の同室だった先輩が引退していなくなってから一人部屋状態で寂しくてさー』 『はぁ』 『まー仲良くやろうよ、長い付き合いになるかもしれないし』 といった感じで距離を素早く詰められてしまい今に至る それに寝るのも起きるのも早く、なにか悩むようなことがあっても「時間がもったいない」と言って即断即決 本は速読、ノートは速記で板書、おかげで予習のために1年前の彼女のノートを借りたのだが読めなかった

7 22/10/25(火)23:17:45 No.986237344

なので部屋に帰ってきたときは少し驚いた。いつでもどこでもせかせかとしているライトオが腰を据えて本を読んでいたのだから 真剣な眼差しを向けていた本の内容が気になってきてしまい、恐る恐るテーブルに手を伸ばすも 「ただいまー!はーすっきりした」 「っ!?お、おかえり……」 まだ5分程しか経っていないというのに持ち主が帰って来た。そういえば烏の行水、風呂も早いんだった 仰天している私に目もくれず、乱雑に髪を拭きながら私の向かいに座ってまた本に噛り付き始めた 驚いたままその様子を凝視していると流石に気になったのかこちらに目を向ける

8 22/10/25(火)23:18:13 No.986237538

「気になる?」 「随分熱心に読んでいるものだから、少しな」 「別に大したものじゃないよ、資格用の参考書みたいなやつ」 「資格……?どういう風の吹き回しだ」 「んー……もうちょっと後に話そうと思ってたけどいいか。今年いっぱいでトゥインクルシリーズから引退しようかなって」 引退という言葉が聞こえた瞬間、全身の毛が逆立ったような感覚に見舞われた 唖然とした私を置いてけぼりにしてライトオが言葉を続ける 「去年あたりから身体が気持ちについてこない感じがしててさ、こりゃまずいかなーってところにさ」 「トレーナーさんが来年異動するって話も重なってなんとなく潮時かなーって」 「そんで引退した後、中央に残るにしろ出ていくにしろ走りとは別のものが必要になるだろうからって思って今に至るわけ」

9 22/10/25(火)23:18:31 No.986237654

「なんで言ってくれなかったんだ」 「デュランダルはデュランダルで年末大変だったんだから聞いてもらうわけにはいかないでしょ!」 「それにその時はまだなんとかなるか?って感じだったし」 飄々と語る彼女の口調は柔らかいものだが、今どうにか説得しようとしても意思を覆すことは出来ないだろう そういう頑固なほどの意志の強さで彼女は勝利をものにしてきたのだから 「まあそういう感じだから、今年のスプリンターズステークスはいいものにしよ!」 「……はぁ、わかったよ」 「ん!病み上がりでも容赦しないからねー?」 春。別れ、惜しむ季節 日常に帰って来たと感じた瞬間、世界は常に動き常に変わり続けていると思い知った

10 22/10/25(火)23:18:50 No.986237784

―――――――――――――――― 「プイ彼女!彼氏と待ち合わせプイ?」 「いきなりなんだそのノリは……」 まだ木々が葉も付けていない頃に中華まんを分けてもらった公園のベンチでデュランダルと待ち合わせ いつだったかのプレハブでの協定……同盟だったっけ……?を果たすため、快気祝いの席で相談して今日のこの場所に決まった 休日ってわけじゃないけど直近で一番時間が取れるのが今日だったのでちょっとだけ面倒を方々に押し付けてきた、元々こっちが押し付けられてるようなものだしいいよね 「いや~待たせちゃって悪いプイ」 「いいさ、天気がいいからくつろいでいたよ」 「プイこれ、お約束の靴プイ」 やたら煌びやかな装飾のされた紙袋をプレゼント、中身はデュランダル用にオーダーメイドした特注シューズ 受け渡しの時に素材がどうたらメンテナンスはこうたらと詳しく説明されたけど笑顔で受け流した

11 22/10/25(火)23:19:12 No.986237944

どれだけ知識を持ったとしても結局走ることは感覚ひとつだし、お手入れも学生が出来る範囲のもので十分なのは分かっていたから選んだわけで 友人へのプレゼントってだけなのにそういう扱いが付きまとうのだから、有名になるのも考えものプイねぇ 「まさか本当に作ってくれるとはな」 「プイは有言実行のウマ娘だから言ったことはちゃんと守るプイ」 「……これ、結構ハイブランドなメーカーのじゃないか?いくらした?」 「わかんないプイ、注文したときにお財布出そうとしたら『お代は結構です』って止められたプイ」 振り込みとか口座引き落としが面倒だから両親に言ってせっかく現金で結構な額用意したのに、使う暇もないんだから使わせてほしかったな いっそ何食わぬ顔でコンビニの募金箱にでも入れてしまおうか……いや無理か、流石に悪目立ちしそう 「もらうのが少し怖くなってきたが……もうこうして出来上がっているんだ、ありがたく使わせてもらうよ」 「そう簡単にお釈迦になるものじゃないからみっちり汚してあげたほうが靴も喜ぶプイ」

12 22/10/25(火)23:19:32 No.986238077

「……ここ来てからずっと気になってたけど、その箱なにプイ?」 「フッ、いいところに目を付けたな。これは私のとっておきだよ、ほら座れ」 ベンチに置かれていたケーキ箱らしきものを膝上にどかせてそこに誘導される 着席してデュランダルが箱を開ける様子をまじまじと見ていると、箱から現れたのはバウムクーヘン お茶請けに出る様な小さいサイズではなくホールケーキほどの縦横の厚みがあり、上からかけられた糖衣に桜の花が6つほど埋め込まれている 「お~……おいしそうだけどなんか意外なチョイスプイ、甘いの苦手じゃなかったプイ?」 「甘い菓子を好んで食べることはあまりないがこれは特別だ」 「昔親戚からの頂き物で送られてきたんだがとても口に合ってな、春に地元に帰れるときは必ず食べている」 既にデュランダルがカットしたであろう一切れをほいと渡される ずっしりとした生地の香ばしい香りの中にほのかに桜の香りがして、たまらずごくりと喉が鳴る

13 22/10/25(火)23:19:50 No.986238204

「いただきますプイ!むぐむぐ……ん、思ったより甘くないプイ。それにかなりあっさりで油っぽい感じしないプイ」 「だろう?生地は米粉で作られていて桜の葉が混ぜ込んであるそうだ、だからかかった砂糖でちょうどいい塩梅に……うん、うまい」 口にした感覚は手に持った感覚よりも油分を感じずかなりもちもちした食感、噛めば噛むほど桜の葉のどこか懐かしくなる香りが溢れてくる そこにほんのりと桜の花の香りがする砂糖が口の熱で溶けて染み渡っていく……これは確かに特別だ 「これはおいしいプイねぇ、今まで食べたのとは全然違うプイ」 「口に合ってよかった、ほら紅茶だ」 用意周到にどこからか取り出した水筒と紙コップ、口の中の水分が奪われていたところにこれは…… 合わないわけがない、温かい紅茶で口を潤すとまたバウムクーヘンを口にしたくなる 「んく……んく……プキュ~ゥ……これは反則コンボプイ……」 「ハッハッハ、食べさせ甲斐のある食べっぷりだな。ここにある分は好きなだけ食べていいぞ」

14 22/10/25(火)23:20:15 No.986238371

中身をほぼ飲み干したコップに再び温もりが戻り、ずずいと残り4切れになったバウムクーヘンを差し出される 嗚呼、ただでさえ今月は会食が多いというのにこれでは太り気味になってしまう、けど……この誘惑にはとても勝てない 今度プレハブにお邪魔したときツンデレマスクに併走を頼んで目いっぱい走ろう。消費すればゼロカロリーだよ、うん 「もごもご……いひゃあ、ふぉんなのひってたなんへズウいフイ」 「悪いが飲み込んでから喋ってくれ、何を言ってるか分からん」 「んっ……ごくん、こんなの知ってたなんてズルいプイ。もっと早く教えてほしかったプイ」 「まぁ期間限定数量限定だからな、チームの皆にもトレーナーにも教えていないし学園まで持ち帰ったのは初めてだよ」 「ほーーぉ……また秘密を共有しちゃったプイねぇ……」 「特別な贈り物に特別なもので返したかったんでな、他言は無用だぞ?」 自分の分の紅茶を嗜みながらデュランダルは軽く念を押してくる 独り占めはちょっとだけ寂しいけど、二人占めはちょっとだけ楽しい。協定万歳

15 22/10/25(火)23:20:44 No.986238566

「お前のチーム、勧誘のほうはどうだった?」 「ん~~~~……2人くらいトレーナーがスカウトしてあとは選抜試験してたプイ」 私はその現場に立ち会っていないので後でチームメイトから聞いただけに過ぎないが、今年も成果は上々だったらしい 先輩として顔くらいは出したかったけど暇もなかったし、多分顔を出しても後輩達を委縮させるだけだろう それに求められてるのは3冠ウマ娘の私だろうしね、全く3冠ウマ娘は品行方正だなんて誰が決めたんだか 「もぐもぐ……デュランダルのところはいつも通りなにもしてなかったプイねぇ」 「そうだな」 「サブトレーナーがいるわけじゃないし今の人数でちょうどよさそうプイ」 「いや、分からんぞ?トレーナーは突然スカウトして連れてくるからな」 言われてみれば、他のトレーナー達が扱いきれないと匙を投げた気性難ばかり集まったチーム そういう子を集める趣味でもあるのかなあのトレーナー

16 22/10/25(火)23:21:02 No.986238683

「本当に突然だから、困ってしまう……」 話す顔を見ていたら、何か思い出したように瞳が揺れて溜息をつく彼女 またなにか悩みでも抱えているのか 「なんかあったプイ?」 「……同室の奴が突然今年いっぱいで引退すると言ってな、困惑してる」 「幾度も戦ったライバルなんだが、快復してこの先も戦えると思った矢先にこれだ」 なるほど、今度はそういう類の悩みか 同期やライバルが辞めていくというのは確かにモチベーションが下がる 怪我の時は想像する以上のことは出来なかったがこれは私にも分かる気持ちだ 「まだ辞めたわけではないがなんともこう……胸に穴が開いた気分でな」 「分かるプイ、何度もレースで勝負を挑まれてたのにいなくなっちゃうと調子が狂うプイ」

17 22/10/25(火)23:21:22 No.986238807

「そういう気持ちの時お前はどうしてた」 「ただ走ってたプイ、ウマ娘にはこれが一番効く薬だと思うプイ」 「それもそうか……ん……ふぅ」 話し終えてデュランダルは紅茶を呷る 表情から病院通いの頃のような苛立ちや鬱屈した感じはしないが、ブルーな気分が伝わってくる 青い春ってこういう状態のことを言うのかな、いや関係ないか、青春は春限定ってわけじゃないし 「デールのやつも現役を退くかもしれないと言っていたし、マイルでライバルを見つけるしかないか……」 マイル、と聞いてふと昔のことを思い出し、妙案が頭の中に浮かんだ

18 22/10/25(火)23:21:47 No.986238954

「じゃあプイがライバルになってあげるプイ」 「お前は中長距離じゃないか、私はそんな距離走れないぞ」 「いやいやプイがマイルを走るプイ。ふっふっふ~、実はプイはマイル適性ちゃんとあるんだプイ~」 一応デビューの前後ではマイルか中距離が適性って言われてたけど菊花賞を走れたことで周囲の認識が一変 そこからはトレーナーやURAがビッグタイトルを狙うことを望んでたからマイルのレースに出る機会は失われた マイルのトレーニングはあまりしたことがないけど、他のウマ娘がやっているのを見ているし多分ちょっと練習すればいけるはず。物覚えはいい方だからね 「私が言うことじゃないが……マイルで追い込みはキツいぞ?」 「それは大外回ってるからだと思うプイ」 「プイも試してみないか?直々に私の抜刀術をおし「あ、遠慮しますプイ」……」 食い気味にお断りすると耳が垂れて露骨に落ち込んでいる。だってあんな体力消費激しい走り方真似したくないもの

19 22/10/25(火)23:22:15 No.986239128

「え、ええと……とにかく復帰して調子が戻って来たら挑戦どんと来いだプイ!」 「……フフフ、威勢がいいじゃないか……然るべき時が来たら挑ませてもらおう。だがその前に」 「プギュッ」 唐突に口の中に4個目のバウムクーヘンを押し込まれる。え、3:3で分けるんじゃないの……? 「バウムクーヘンはまだある、たんと食え」 「プイヤーー!太っちゃうプイー!!」 桜が乱れ咲く穏やかな公園に私の叫びが響き渡る 春。青春、実りの季節 心もお腹も満たされ、ウマ娘肥ゆる季節は秋だけじゃないらしい

20 22/10/25(火)23:22:38 [おわり] No.986239268

「初めましてデュランダル先輩、フラガラッハと申します。親しいものはフランと呼びます」 「おぉ……フラガラッハ、良い名だ。噂は聞いているよ、君も短い距離での追い込みを得意としていると」 「はい。貴方の走りに憧れて真似をしてみたら適性があったようで、晴れて中央に来ることが出来ました」 「素晴らしい……どうだろうかフラン、ぜひとも私の所属するチームに来て私の技を」 「申し訳ありません、既に他のトレーナーからスカウトを受けておりまして。今日伺ったのは一度お目通しが必要かと思い来たまでですので、ご指導はレースにて……それでは私はこれで」 「あ、あぁ……そうか、うん…………」 「なぜ現れないんだ……聖剣を継ぐものよ……!」 その日私は枕を濡らした

21 22/10/25(火)23:24:48 [s] No.986240092

リスペクト聖剣した 幻覚が希薄な子にキャラ付けするのって難しいね

22 22/10/25(火)23:45:15 No.986246602

いいですね… プレハブは美味しそうな描写が多くて腹が減る

23 22/10/25(火)23:49:30 No.986247861

プイ聖剣いいね