22/09/25(日)02:25:08 大丈夫 ... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1664040308221.jpg 22/09/25(日)02:25:08 No.975296503
大丈夫 夏芽と航祐、二人一緒なら大丈夫。大丈夫なんだ。 けど大丈夫ってなんだろうね?根拠は?証拠は?二人一緒に行きていた証拠はどこにあるの? あの団地のように残っていた訳じゃないし、団地のようにいとも簡単に崩れ落ちてしまうかも知れない. とっても、とっても不安定な物。「大丈夫」である定理って何? まだ小学校しか通ってない二人には難しい話だけど、今日はそれを見つけに、見つけにいくために一歩前に二人同時に右足を出さないといけないんだ
1 22/09/25(日)02:25:24 No.975296562
いつも通りに二人は喧嘩して いつも通りに熊谷家、昨日は兎内家の食器をぶつけあって、二人暮らしの食器じゃお互い傷つけ足りないから挙げ句の果てに夏芽ちゃんの部屋の物まで取り出して カッターナイフで航祐が流血沙汰になったけど、そこでお互い我に帰って「ごめんね…」って謝りながら慰めックスに興じるんだ。当然航祐の傷ついた二の腕を丹念に夏芽ちゃんは舐めるし航祐も割れた皿の破片が刺さった背中の傷を愛おしそうに舐める。 「夏芽・・・夏芽キレイだ…すごいキレイだ」ってすごい恥ずかしいセリフも吐くよ そうやって二人はわかり合っていく、わかり合っていくんだ。 そして「きて…航祐」って迎え入れる準備万端の夏芽ちゃんの首元を夏芽に必要とされて嬉しい反面、どこかつらそうな表情を浮かべながら航祐はその首を締め上げる 首絞めックスのしすぎでもう赤黒く染め上がってとれない痣が二人の愛の証。 でも本当にそれで大丈夫なのかなぁ?
2 22/09/25(日)02:25:40 No.975296627
そして次の日の朝、当然のように兎内家から登校する二人、家に帰ってこない事に熊谷一回は見て見ぬふりする優しさがあった。 航祐は包帯を巻いて傷を隠す中、夏芽ちゃんは見せつけるかのように傷跡を顕わにして学校の門をくぐる 授業中以外ずっと手をつないで過ごす航祐と夏芽。 何かあったと察するが何もできない担任、明らかにその重たい雰囲気に気づいているが触れる事ができないタイシとユズル、全てを察するジュリちゃん。 そしてもうひとり、全てを察するのが令依菜ちゃん。その人であった 「あんた…航祐に何したのよ!」って航祐の右腕に中休みの昼日に光る赤いグラデーションが残る白い包帯を指差して夏芽ちゃんを問い詰める
3 22/09/25(日)02:25:58 No.975296710
「何も…令依菜には関係ないよ…きっと転んで怪我したんだよね?ね?航祐?」といつもの繕った笑顔で取り繕う夏芽ちゃんに 「あんたが刺したんでしょ!知ってるんだから…ねぇアンタ航祐をどうするつもりなの!?」と半分泣きそうな令依菜ちゃんの瞳にはこれまた鈍く光る赤黒い首絞め後が残る夏芽ちゃんの首元が映る 「どうするもこうするもないよ…航祐と私の問題だから」とヒロインレースに参加すらできてない敗北者を一蹴する夏芽ちゃん 「ねぇ!なんでこんな事になったのよ!返してよ!航祐を返してよ!航祐から離れなさいよ!」 ってほぼギャン泣き状態の令依菜に声をあまりに複雑な事情すぎて声もかけられないタイシ そんな中航祐が口を開く 「なんでもないよ令依菜、心配するなよ。ちょっと夏芽と喧嘩しただけだから。傷口だってもう痛くねぇし、なんでもねぇよ」 って笑って言うけどその瞳は漂流団地の沼底のように黒く淀んでいる 「おかしい!こんなの絶対におかしい」と「令依菜ちゃんそれくらいにして」とたしなめるジュリに泣きつく令依菜ちゃんをよそに冷酷に中休み終了のチャイムは鳴り響く
4 22/09/25(日)02:28:12 No.975297193
昼休み、チェーンカッターでこじ開けた誰もいない屋上で二人秋を迎えようとしている二学期の空をみあげる。二人だけの時間。 お互い身体を寄せ合って屋上に寝転ぶ。その風景はまるであの日の漂流団地のように澄んでいた。 「ねぇ航祐」「なんだよ」 「私達…このままで『大丈夫』なのかなぁ」そうつぶやく夏芽ちゃんの瞳もまたあのやす爺が死んだ時みたいにくすんでいた 「大丈夫にきまってんだろ!俺とお前、二人が一緒ならなんでも大丈夫だって!あの時わかったんだ」 「そうだね、うん…そうだね航祐、私達大丈夫だよね!?」 不安そうに聞く夏芽ちゃん。その両手は傷ついた航祐の二の腕をがっしり掴んでいる
5 22/09/25(日)02:28:29 No.975297254
広がる痛み、まだ未熟な性の花弁を感じてしまう航祐 「ああ、俺にもわかんねー事もあるよ…夏芽の事ももっと知りたいしわからない事だってある。けどこうやって二人一緒にいるとあったかい、あったかくてきもちいい。一緒にサッカーして俺のパスで夏芽がシュート決めた時と同じ感覚なんだ、だからそのきもちいい事が大丈夫、大丈夫なんじゃないかなって俺は思ってる」 そう言って航祐も負けじと雑に絆創膏で止血しただけだからすごいショーツに血が染み込んでる夏芽の背中の傷跡を撫でる 「そっか、航祐。ありがとうこれからもよろくね」 「ああ、夏芽。ずっと、ずっと一緒だ」 そう二人互いの名前を呼び合いながらお互いの傷口をさすり痛みに悦びを感じる こうして二人は大丈夫、大丈夫である証左を得るんだ