22/08/25(木)00:24:35 ファル... のスレッド詳細
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22/08/25(木)00:24:35 No.964433326
ファル子ちょっと横になるね★ もうどこもかしこも春が来て、あったかーい陽射しが学校を包んでいるというのに、ファル子には春は来ない! 永久凍土または一生土の中にいるセミさん! 「ファルコンさん、いい加減元気を出してベッドから顔を上げてください。もう33分32秒もそのままです。トレーナーさんの初恋が年上だったからって、そこまで落ち込むこともないでしょう」 同室のフラッシュさんが呆れたようにパッパッと、お布団の皺を伸ばしてくれる。といってもホントは布団をはぎ取ろうとしていて、ファル子がそれを抑えてるから伸びているだけだけれど。 「でも、初恋って結構そのあとの恋愛観に尾を引くものだって、雑誌に書いてあったし……」 「ファルコンさんの初恋はどうだったのですか?」 「うーん……年上? 幼稚園のころだったから」 「ではお似合いではありませんか」 「そういうのはお似合いって言わないー!」
1 22/08/25(木)00:25:08 No.964433492
いくら雑誌に書いてあったからって、素直に聞いたのが全ての間違い。聞かれてたトレーナーさんも、なんてことはなく「年上」と答えて、なんだか遠くを見ながらため息を吐き始めちゃった。これは絶対、いろいろあったパターンで、いろいろ引きずっているパターン。あぁ、なんであんなことを聞いちゃったんだろう……。年下といわれて舞い上がりたかったのかな……もしかしてファル子★って。 また何回か布団が伸びたり縮んだりしたあと、諦めたようにフラッシュさんはファル子の隣に座ってくれた。 「ファルコンさん、別に初恋が年上だろうが、年下だろうが、いざ恋をするとなるとそういうものは関係ないと思います。それに今の好みが年上だとは限らないでしょう?」 「でも年上だったら? 問題にならないー!」 「問題にするんです。クッキー生地を焼いたらクッキーにしかならないというわけでもないんですから、相手の好みを変えてしまいましょう。それに、ファルコンさんはウマドルでしょう。恋以前のことにかまけていては、それこそトレーナーさんは振り向いてくれませんよ」 「ウマドル……」
2 22/08/25(木)00:25:34 No.964433606
フラッシュさんの言葉が胸にしみこんで、飛び出さんばかりにベッドから起き上がった。そうだ、ファル子はウマドルなんだ。もっともっとキラキラしてキラキラさせて、落ち込む前にもっとやることがある! 「そうだね! 恋なんてあと後、今は目の前の目標を全力で走らなきゃ! ありがとうフラッシュさん!そうと決まったら早速練習、フラッシュさんも良かったら……」 やる気を漲らせながらフラッシュさんを見てみると、フラッシュさんはバッチリオシャレをしていた。まるで今から親しい男の人とお出かけに行きます。みたいな。 「トレーナーさんとお出かけです」 フラッシュさんは言った。 〇
3 22/08/25(木)00:26:02 No.964433759
だけど、良いこともあった。一人でファル子が練習していると、たまたまトレーナーさんが見つけてくれてダンスを見てくれるようになっちゃった★ こういうのをなんていうんだったっけ、山あれば谷あり? ごじゅっぽひゃっぽ? ダンストレーニングルームの鏡の前でダンスのチェックをしながら、少しだけ後ろで見ているトレーナーさんの顔を見る。ちょっとだけ目が合って、すぐに鏡の向こうの自分と目を合わせて、スマイル。少し笑顔の形がふにゃっとなる。 一しきり練習して、音楽を止めると広い部屋の中はしんと静かになって、トレーナーさんのアドバイスやおしゃべりだけが壁をくすぐるような響きになって伝わっていった。 「今度、ファル子何やら凄いプロジェクトに挑戦するんだろ? グランドライブだったか」 ファル子にペットボトルを渡してくれながら、トレーナーさんはそう言った。 「うんっ★ みんながファンのみんなに感謝を伝えるための、みんながみんなのためのライブ! やることがいっぱいで大変だけど、絶対成功させたいの!」
4 22/08/25(木)00:26:47 No.964433984
「スケジュール調整とか、できることなら何でも手伝うよ。この前は仕事でファル子の近くに入れなかったから、騒ぎの時も何もできなかったし」 「そんなことない! お仕事だから仕方ないよっ! それにファル子のために色々やってくれてて、忙しくなっちゃってるし……」 「いや、俺はファル子のトレーナーで、ファン第一号だからな。今回はそのどっちも失格だった、担当が危ない時にいないなんて。だから今度は離れない」 「トレーナーさん……」 なんというか、違うって分かっていても、最後のセリフがファル子の頬を赤くしちゃって、ぱたぱたと手で仰ぎながら、練習でかいた汗のせいにする。こういう言葉を平気で言うんだもん、ファン一号さんは。乙女心っていうのを分かってないっ★ ほんとに。 「あ、それでね! グランドライブを教えてくれた人がいて、その人と一緒に企画していくことになったんだよっ★」 「あぁ、少しだけ噂になってるな。有名プロデューサーとか……ウマ娘なんだって?」 「うん、ライトハローさんって言って……トレーナーさん?」
5 22/08/25(木)00:27:09 No.964434094
ぴたっとトレーナーさんの動きが止まって、じっとファル子の方を見てくる。困っているような、驚いているようなそんな顔。 「ごめん、今なんて……」 そのトレーナーさんの声は、ドアの開く音でまた止まった。二人で、一緒にそちらを見てみると、噂をすればなんとかかんとか、ライトハローさんがそこにいて、ファル子を探したと資料を持って入ってくる。ふと横目でトレーナーさんの顔を見てみると、じっと入ってきた初対面のはずのウマ娘さんの方を見ていた。 「すいません、此処にいらっしゃると聞いて! 告知ライブのことで……」 ライトハローさんもファル子に声をかけて、そしてその隣の男の人を見つけて、その足を止めた。 しばらく、ファル子が何がなんだか分からないまま目を行ったり来たりさせている間、二人は無言で見つめ合っていた。 「ライトハロー……姉さん」 何かとんでもない単語を後ろに付けながらトレーナーさんがそんな言葉をつぶやいた。すると、ライトハローさんの方も、会ったばかりのはずのトレーナーさんの名前を返した、君付けで。確かトレーナーさん一人っ子だったような……。
6 22/08/25(木)00:27:52 No.964434310
そして、同時に笑い合った。綺麗に、朗らかに。ライトハローさんはあったばかりだから初めて見る笑顔だったけど、トレーナーさんの方はファル子も見たことがない顔だった。なんだろう、すごーい、すごーい……嬉しそう。 なんだろう、すごーい、すごーい、胸が。もやってする。
7 <a href="mailto:s">22/08/25(木)00:28:16</a> [s] No.964434435
思いついてしまったが悔いはない許して
8 22/08/25(木)00:28:30 No.964434500
面識あったifもいいよね
9 22/08/25(木)00:28:56 No.964434617
注意もないから読んで後悔したよありがとう
10 22/08/25(木)00:38:18 No.964437627
ここから始まる物語とても美しいですね
11 22/08/25(木)01:27:25 No.964451514
ライブの最前列で2人してファル子にペンライト振ってるトレーナーさんとライトハローさんいいよね
12 22/08/25(木)01:51:21 No.964456126
危険察知できてて偉いぞファル子
13 22/08/25(木)02:00:17 No.964457819
笑顔から表情が動かなくなったファル子さん美しいべ…
14 22/08/25(木)02:12:21 No.964459986
担当が妙齢のウマ娘と知り合いだったからなんだというのか。 自分は初恋に間に合わなかったのだと思いアプローチを続ければ済むこと 恋は突然ハリケーンだと思え 何も難しく考えることはない トレーナーがどれだけ恋愛を重ねていようとも元カノに復讐しようという者はいない 時間が戻ることはないのだ いつまでもそんなことに拘っていないで最後には自分の隣に居させれば良いだろう 殆どのウマ娘はそうしている。何故お前はそうしない?
15 22/08/25(木)02:13:05 No.964460106
ファル子には過酷すぎる試練では?3兆人のファンはいぶかしんだ
16 22/08/25(木)02:15:21 No.964460457
ファン1号とライトハローさんのルートはそのままも出ししてもファル子が地獄を見るがなんか地獄度上がっている…