22/06/19(日)23:59:07 小さい... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1655650747500.jpg 22/06/19(日)23:59:07 No.940509351
小さい頃、親と引き離された。 それ以来、長い間親のいない生活をしていた。 親と再会を果たして、幸せな家庭が出来た。 優しい親のいる、温かな家。 生きる為とはいえ悪事に手を染めた自分でも、受け入れてくれた立派な親。 だけど、自分はそうなれるだろうか。 親と過ごした時間に空白がある自分に、 あの人たちみたいになれる力はあるだろうか。 いたいけな子供の命を預かることができるだろうか。
1 22/06/19(日)23:59:21 No.940509422
身体がだるい。 熱がある気がする。 少し吐き気もしていた。 「だからごめん。今日のデートは行けないわ」 「なら、仕方ないな」 ブルーは電話でレッドに謝罪した。 朝起きてからずっとこうだ。 我慢して行こうという考えも頭に浮かんだが、それもいずれ耐えられなくなると想像がつく。 「辛いなら病院行こうか?オレ付き添いでついていくよ」 「…やめておくわ。病気だったらレッドにうつると悪いもの」
2 22/06/19(日)23:59:38 No.940509522
交際している彼氏にまで体調を崩してほしくない。 心細いのは本音だが、迷惑はかけたくない。 「身体、大丈夫か?」 「大丈夫よ。それよりレッドの方こそ体調に気をつけてね」 「…ああ」 不満はあるようだがレッドは了承してくれた。 「…じゃ、また明日ね」 「ああ、おやすみ」 通話を切ってベッドに倒れ込む。 身体が重い。 改めて自分の体調の悪さを認識する。
3 22/06/20(月)00:00:08 No.940509733
「まあ、病院に行くくらいなら大丈夫よね」 このまま眠りたい欲求に逆らって身を起こす。 と、傍らに置いていたボールの一つが動いた。 中にいるリリリがボールを揺らして自己主張してるようだ。 ボールを開くとリリリがこちらに近づいてくる。 「乗せてくれるのね。ありがとう」 リリリの上に腰を下ろして頭を撫でる。 顔は見えないがリリリが嬉しそうにしている気がした。
4 22/06/20(月)00:00:47 No.940509968
病院の空気は慣れない。 真っ白な部屋。 音の少ない静かな空間。 幸運にも自分が重い病気にかかった時はないから訪れた経験が薄いのもある。 それ以上に、自分がどうなったのか。 体調を崩した病気を宣告されるのが怖い。 身体の不調を治したいのも事実なので、逃げるわけにもいかない。 「ブルーさん、診察室にどうぞ」 「あ、はい」 名前を呼ばれたので立ち上がる。 怖いけど知らなくてはいけない。 自分の身に何が起こったのかを。
5 22/06/20(月)00:01:06 No.940510096
「妊娠…?」 「ええ。2か月ですね」 予想もしていなかった単語。 ブルーはそれを耳にした。 目の前にいるのが女医でよかった。 こういったことは男性からよりは女性からの方が聞かされるのが楽だ。 頭のどこかでブルーはそう思っていた。 「そうなんですか」 口から出たセリフは自分で思ってたよりも機械的な口調だった。 現実味がわかない。 自分がそうなるとは考えもしなかった。 今、ここで宣告されたのが自分だと理解が追いついていない。
6 22/06/20(月)00:01:21 No.940510181
「突然こう言われて混乱しているでしょう」 「はい」 医者の呼びかけに、素直に頷く。 「大丈夫です。そんな反応になるのはあなた以外にもたくさんいます。 自然な反応なんですよ」 「…そうですか」 少しホッとした。 自分の反応がおかしいのではという不安は言われてみればあったのかもしれない。 それを自覚すると、少しずつだが実感が湧いてきた。
7 22/06/20(月)00:01:36 No.940510283
「こういった質問は、失礼なのかもしれませんが」 「大丈夫。心当たりならあります」 何を聞きたいのかを推測して、先に言う。 どう考えてもレッドだ。 彼にしかそういうことをした記憶は無い。 「ちゃんと産みます。中絶はしません」 きっぱりと言い切った。 不安はある。 だけど中絶する気はなかった。 「わかりました。お薬は出しておきますね」 「はい」 女医が少し安堵したように微笑んでいた。 おそらく中絶を希望する患者もいたのだろう。 個人の事情だから仕方ないとはいえ、することになって心を痛めるのは患者側だけでなく病院側も同じなはずだ。
8 22/06/20(月)00:01:52 No.940510378
「定期的に診断を受けてもらうことになりますが、よろしいでしょうか」 「はい。お願いします」 「まだ若いのにお母さんになって、これから大変だとは思います。 何かあれば気軽に相談に来てください。 ご家族ともお話ししていただければと」 「そうですね…。ありがとうございます」 こちらを落ち着かせようとして、女医から気遣いの声をかけられる。 実際、そう言われて気が楽になった。 どうしていいかわからない状況で、寄り添ってくれる人がいる。 それがどれだけありがたいか。 ブルーは今更ながらそのことを感じていた。
9 22/06/20(月)00:02:07 No.940510454
「あ」 「おっ」 病院を出ると、レッドがいた。 「待っててくれたの?」 「心配になってさ。 ごめん、付き添いいらないって言ってたのに」 「ううん。来てくれてありがとう」 ボールからリリリを出してまた上に乗る。 「辛いのか?」 「ちょっと怠いだけよ。 お薬もらったからそれ飲んだら楽になると思うわ」 「そっか」 胸を撫で下ろすレッド。
10 22/06/20(月)00:02:27 No.940510569
彼に妊娠のことを言おうか。 少しだけ、迷った。 こんなに自分のことを心配してくれる彼氏。 これを言えばその人をさらに不安にさせてしまうかもしれない。 「ねえ、レッド」 「ん?」 「聞いてほしいことがあるの」 でも、言おう。 秘密になんてできないことなのだから。 ブルーはそう決意した。
11 22/06/20(月)00:03:04 No.940510785
喫茶店で軽食を済ませて、薬を飲むと楽になった。 そうして落ち着いた後、例の件を伝えた。 「…妊娠!?」 予想通り、レッドが驚いた。 「2か月だって。正直あんまり実感湧かないんだけど」 「…うん。オレも」 レッドが意味もなくそわそわしだす。 何故か周りをキョロキョロと見回し、 「オレ、いや、オレたち、親になるのか?」 「そうね。そうなっちゃうわ。 中絶はしないって病院で言ったけど、大丈夫よね?」 「うん。ちゃんと責任とるから」 ほっと、ブルーは息を吐いた。
12 22/06/20(月)00:03:44 No.940511013
受け入れてくれるとは思っていた。 だけど、もし反対されたらどうしよう。 そんな不安はあったのでそれを否定されて安心した。 「ありがとう。急にこんな話になったのに」 「いいさ。ブルーだって不安なんだろうし、オレが支えないと」 「…うん」 支える。 レッドの言葉に、甘えたくなる。 そんな欲求からか、自然と口から言葉が出た。 「ねぇ、レッド」 「ん?」 「アタシ、ちゃんとした親になれるかな?」 「なれるよ」 即答だった。
13 22/06/20(月)00:04:06 No.940511150
「アタシ、いろんな悪いことしてきたのよ? 両親とも過ごした記憶なんてそんなに無い。 そんなアタシが?」 「だからだよ」 レッドは揺るがなかった。 確信していて、迷わない。 そんな口調だった。 「ブルーがそんな経験したから、子供にそんな経験させないようにする。 絶対に子供を守ろうと必死になる。 そんな親になるって、オレは思うよ」 「…そうね。そうすると思う」
14 22/06/20(月)00:05:02 No.940511464
自分はきっとそうする。 そうあろうとして頑張るだろう。 「アタシのこと、よくわかってるのね」 「これでもブルーの彼氏だからな。 あ、でもこうなったら結婚しなきゃ!」 「そうね。責任とってもらわないと」 オホホと笑うと、レッドも笑う。 「オレは親いないからさ。親のことよくわからないから力不足かもしれない。 けど、ちょっとでもブルーを助けるから」 「…うん」
15 22/06/20(月)00:06:49 No.940512061
彼の手に自分の手を乗せる。 固いが温かい。 心が安らぐ。 最悪の人の手。 自分の不安ごと包み込んでくれる。 不思議とそんな気分になっていった。 「レッドも、いい親になれるわ。 こんなアタシを支えてくれる人なら、子供にとっても支えになる親になると思う」 「そうありたいなぁ」 苦笑しつつも、レッドは否定しなかった。
16 22/06/20(月)00:07:12 No.940512181
「ブルー、こんなタイミングで言って悪いけどさ」 「うん」 「結婚してくれ。幸せにする」 「うん…。お願い」
17 22/06/20(月)00:07:54 No.940512426
「で、アタシのパパとママにも報告しないとね♡」 「気が重いなぁ…。 できちゃった婚だし怒られるかな」 「パパとママなら多分大丈夫よ。 むしろ孫の顔早く見たいって言ってくれるかも」 「だったらいいな」 手を繋いで自宅に向かう。
18 22/06/20(月)00:08:09 No.940512519
自分の遅くなった歩く速度にレッドが合わせてくれる。 そのせいか1人で歩くよりも歩きやすい。 これからも、自分たちはこうやって歩いていくのだろう。 相手に合わせて、助けあって、2人で。 そう思うとブルーの心に不安などはもうなかった。
19 22/06/20(月)00:08:21 No.940512571
以上です 閲覧ありがとうございました
20 22/06/20(月)00:13:42 No.940514360
ヤることヤりやがって…!
21 22/06/20(月)00:16:29 No.940515325
実際に妊娠した方がお医者様にどんな話されるか知識がないので想像ですが書かせていただきました 全然違うかもしれませんがご了承ください
22 22/06/20(月)00:23:17 No.940517701
あとレッドに親がいないというのも今回限りの独自設定です
23 22/06/20(月)00:40:22 No.940523619
>ヤることヤりやがって…! あのおっぱいを前にしてやらないわけがないよ… レブルだとなんとなくレッドさんおっぱい星人になりそうだし