ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
22/04/19(火)22:07:16 No.918687131
ふと、担当愛バ、スズカへと目を向けると彼女はグラウンドの土をつま先でいじり、地面に大量の「の」の字のミステリーサークルを量産していた。 「スズカ、どうかした?」 「別に。トレーニング終わりました」 僕が声をかけるとスズカは顔をあげてミステリーサークルの生産を止め、近づいてきて僕のジャージの裾を掴んだ。 「そうか、じゃあ今日はもうあがろうか」 すっかりグラウンドが紅くなった夕暮れ。僕はスズカの手を引いて控室に戻る。 スズカはまだ走りたそうな、物足りなさそうな顔をしているが、大事なレースを前に体を冷やしてはいけない。 僕とスズカの契約期間も残りわずかで、最後まで彼女をケガも病気もなく走らせてやりたいから。
1 22/04/19(火)22:07:26 No.918687185
トレーナーさんが他の子にアドバイスをしている。私は彼に指示されたコースを走り終えて、クールダウンの小走りをしているところだった。 確かに、クールダウンまでは見なくてもいいけど。彼は優しい人だから、聞かれたら契約を結んでない子でも教えるけど。 息を整えながらグラウンドで彼が話し終えるのを待つ。ニコニコ笑顔で喋っている。私はもうクールダウンも終わったのに気がついてない。 しばらく待っていたら、彼がようやく私に気がついた。 「スズカ、どうかした?」 「別に」 嘘。心にもないこと言ってる。言葉に出せない分、手が勝手に彼の服の裾をつまんだ。 「そうか、じゃあ今日はもうあがろうか」 私との会話はそこで終わっちゃう。もっと話したいことあるのに、何も出て来ない。彼との契約期間も後少しなのに。
2 22/04/19(火)22:07:38 No.918687281
「トレーナーさん、私のことどう思っていますか。正直に」 ある日、我が愛バが真剣な顔をして問い詰めてきた。いや真剣な顔というか真面目な顔というか、内心を掴みかねるいつもの顔だったが。 「君は今でも十分速いが、まだまだ伸びしろはある。これからも君の速さを求める道に、一緒についていきたいと思っているよ」 表情は何も変わらないが、耳がぴょこぴょこと動いたのを僕は見逃さなかった。長い付き合いだからね。 嘘偽りなく話してみたが、よかったのだろうか。スズカはそのままウォームアップに行った。 一緒についていきたいとは思っているが、君はこれから世界に羽ばたいていくウマ娘になるだろう。 その時君を後押しするのは、きっと僕じゃないと思うと、残念だ。
3 22/04/19(火)22:07:48 No.918687342
思い切ってトレーナーさんに、私のことをどう思っているか訪ねてみた。至って平静を装って、冷静な口調で。 トレーナーさんは何か難しいことを言っていたけど、最後に「一生ついていきたい」と答えてくれた。 私たちは口下手で、お互いの気持ちを伝えることはないまま一緒に走ってきたけど、想いは同じだったとわかった。 口元の緩みを抑えて、一切浮かれているのを表に出さないよう、ウォームアップへと向かう。 今、私が走っているのは、スピードの向こう側を見るためでもあるけど、もう一つ目標が出来た。 誰かが話していた噂話、トレーナーとの永久専属契約のためだ。
4 22/04/19(火)22:08:13 No.918687520
「トレーナーさん、あの噂のことですけど」 控室で私の髪を手入れする彼に、あのことを話してみた。それは生徒の間で噂になっている、永久専属契約のことだ。 トレセン所属トレーナーはすべて理事長に権利を帰属されていて、ウマ娘が望めば理事長がトレーナーとの契約期間を永久的なものに約束してくれるそう。 でもそのためには、大きなレースで結果を残す。それも一つや二つじゃなく、理事長がこのウマ娘になら人一人を預けてもいいって思うくらい。 だから私は、絶対に一着を取り続ける。あなたと一生一緒にいるために。 「ああ。理事長に見せてあげよう。僕たちの成果を」 彼から後押しをもらうと、私は立ち上がり、パドックに向かう。 「トレーナーさん私、先頭の景色は誰にも譲りませんから」 一世一代の告白。高鳴る胸を抑えて控室を後にする。頑張るから、見てて。
5 22/04/19(火)22:08:26 [オワリ] No.918687625
「トレーナーさん、あの噂のことですけど」 噂というのは理事長が近々開くと言われている、新しいレース。曰く、全距離を走ることになるそうだ。前例のない大きなレースになるだろう。 そしてスズカも、その新レースに意気込んでいるのだ。最速を求める彼女にとって、きっと僕たちの日々の最後の成果としてふさわしい場所になる。 「ああ。理事長に見せてあげよう。僕たちの成果を」 僕が背中を押すと、スズカは立ち上がってパドックに向かう。 「トレーナーさん私、先頭の景色は誰にも譲りませんから」 そう言って彼女は控室を後にする。頑張れスズカ。いつか僕たちが離れる日が来ても、見ているから。
6 22/04/19(火)22:10:16 No.918688378
コンパクトに纏まった良いアンジャッシュだ…
7 22/04/19(火)22:10:39 No.918688546
>地面に大量の「の」の字のミステリーサークルを量産していた。 かわいい…
8 22/04/19(火)22:15:04 No.918690486
これどうなるんです…?
9 22/04/19(火)22:15:04 No.918690488
お互い分かってるつもりで分かってないのよくあるよね…
10 22/04/19(火)22:15:22 No.918690613
ハッピーエンドじゃないとやだー!
11 22/04/19(火)22:18:45 No.918692095
スズカさんが望めばいくらでも契約は続けられるでしょう多分
12 22/04/19(火)22:19:40 No.918692509
スズカさんは最後ゴリ押しするから安心感がある
13 22/04/19(火)22:20:20 No.918692825
トレーナーさん言いましたよね 一生付いていくって
14 22/04/19(火)22:21:51 No.918693516
なんでそんなトレーナーは捨てられること前提なの…
15 22/04/19(火)22:22:07 No.918693625
>トレセン所属トレーナーはすべて理事長に権利を帰属されていて、ウマ娘が望めば理事長がトレーナーとの契約期間を永久的なものに約束してくれるそう。 それはそれとしてただの噂ですよね理事長…?
16 22/04/19(火)22:25:08 No.918695030
仮に理事長がそんなことしてくれなくともスズカさんが押せ押せになったら実質永久専属になると思う
17 22/04/19(火)22:27:30 No.918696102
スズカさんの告白回りくどいよ…
18 22/04/19(火)22:28:48 No.918696663
>トレーナーさんが他の子にアドバイスをしている。私は彼に指示されたコースを走り終えて、クールダウンの小走りをしているところだった。 >確かに、クールダウンまでは見なくてもいいけど。彼は優しい人だから、聞かれたら契約を結んでない子でも教えるけど。 >息を整えながらグラウンドで彼が話し終えるのを待つ。ニコニコ笑顔で喋っている。私はもうクールダウンも終わったのに気がついてない。 >ふと、担当愛バ、スズカへと目を向けると彼女はグラウンドの土をつま先でいじり、地面に大量の「の」の字のミステリーサークルを量産していた。 かわいい
19 22/04/19(火)22:30:22 No.918697392
アンジャッシュしてるけど離れることはなさそう
20 22/04/19(火)22:32:40 No.918698411
スズカ…お前の告白伝わりにくいし愛が重たいよ…
21 22/04/19(火)22:33:37 No.918698788
スズカさん本人は色々無意識だし表に出してないと思っててもバレバレなのがかわいいよね
22 22/04/19(火)22:37:42 No.918700492
ちょっとクソボケじゃない?
23 22/04/19(火)22:38:08 No.918700681
>スズカさん本人は色々無意識だし表に出してないと思っててもバレバレなのがかわいいよね でも肝心要のトレーナーに伝わってないよ…
24 22/04/19(火)22:39:17 No.918701183
>>スズカさん本人は色々無意識だし表に出してないと思っててもバレバレなのがかわいいよね >でも肝心要のトレーナーに伝わってないよ… トレーナーは長い付き合いだからスズカさんが耳動くくらい喜んでるのわかってるぞ! だから契約切れてからも応援するぞ…
25 22/04/19(火)22:39:54 No.918701437
クソボケがーっ!
26 22/04/19(火)22:40:19 No.918701597
クソボケとマイペースなスズカさん お似合いじゃねえの
27 22/04/19(火)22:49:51 No.918705573
>トレーナーさんは何か難しいことを言っていたけど、最後に「一生ついていきたい」と答えてくれた。 そういうとこだぞ