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    22/01/29(土)22:29:14 No.891842717

    「強敵だったッス………」 「衝撃のシーン連発だったプイ。まさか生で拝む日が来るなんて思わなかったプイ」 「こっちだって、こんなもん自分で捌く日が来るなんて思わなかったッスよ」 プレハブの中、コタツに置かれたクーラーボックス 蓋は開かれ、中に入った強敵の姿が自分とプイ先輩の眼前に映る 食べたことはまぁ、ある。だが、捌いたことなどありはしなかったし、そもそも生きている状態で触るのだって初めてだったのだ その上でここまでやれた。褒めろ、少し褒めろ 「ウナギって近場でも釣れるプイねぇ」 「穴場だとは言ってましたけどね。実際、あんまり人にポイントを喋らないようにって釘刺されたッス。ただ探せば意外と街中でも見つかったりはするらしいッスね」

    1 22/01/29(土)22:29:27 No.891842801

    開かれた状態で、要するに蒲焼き一歩手前ですよと言うところまで捌かれた状態のウナギ それは、信じてもらえるか怪しいとまで思ったが、なんとこの自分とプイ先輩が協力して釣り上げ、そして捌いたものなのだ。そう、国産ウナギだ いや捌いたのは自分だけど。日本刀みたいに包丁を構えたプイ先輩を見た瞬間に、自分と自分たちの協力者はその作業に参加させることを断念したのだから 「おい、もう火起こしていいのか愚妹」 「ガスバーナーのガスは…大丈夫そうです。いつでも点火できますよ」 「一応教えて貰った通りの分量でタレもできたよー」

    2 22/01/29(土)22:29:39 No.891842881

    外では、倉庫から引っ張り出してきたバーベキューコンロに炭を詰め込んでいく姉貴の姿と、ガスバーナーの点検を行っているソングラインちゃん 流しの方から顔を出すエプロン姿の姐御の姿 聖剣先輩と魔女っ娘も頼んであった器その他を取りに向かっている 久方ぶりの、チーム勢揃いプラス一名による総出でのゴタゴタというわけだ その目的は、その総出の中に含まれていない『あの子』のため。だからこそ、こうしてみんな文句も無く動き回っているのだ 「もう点火してもらって大丈夫ッスよ。姐御、米は大丈夫ッスか?」 「ちゃーんと準備してあるよ☆いいお米が手に入ったし、きっと満足してもらえると思うなー」 「じゃあ、串打って焼いていきますか」 「にしてもよ愚妹、オメーらマジでそれ釣ってきたのか?買ったんじゃなくて?」 「めっちゃ頑張ったプイ。正直、寒すぎてカチンコチンの冷凍ウマ娘になりかけたプイ」

    3 22/01/29(土)22:29:53 No.891842971

    事の起こりは、しばし前 とある地域の名物料理を作ろうと画策した自分達は、その材料が思った以上に手に入らないことに難儀していた。そう、それがウナギだ ただでさえ高級食材。それもここ最近は個体数の減少が叫ばれて久しく、無理に買おうとすればそれこそ予算オーバーになってしまう そうして悩んでいたときに、姐御があちこちに話を聞いてくれたおかげでその手の事に詳しい人物の協力を得ることができたのだ …てっきり、仕入れルートを教えてもらえるとか思ってたらまさか釣り竿を用意してこられるとは思ってもみなかったが 「黄金世代って個性的な面々プイねー」 「お、全日本ブーメラン大会ッスか?」 「でもおかげで貴重な体験ができたプイ。夜の川とか行ったのも初めてだったプイ」

    4 22/01/29(土)22:30:05 No.891843057

    買うのではなく釣る、という選択肢を出されたときには面食らったが。成功したなら貴重な国産ウナギを手に入れられるということ、そして自分達で頑張って用意してあげられるということ。それらを考え、おっかなびっくりではあるが承諾したのだ 初めての川の夜釣りは過酷だった。夕暮れ時からスタートして、全身モコモコに防寒して普段は出したままの耳も完全防備。それでも寒い 道具を借りて釣り方を教わり、プイ先輩がエサの巨大ミミズに悲鳴を上げて半泣きになったりすることもあったがなんとか開始 冬は夏場よりも釣れにくい、とその土壇場で言われたときは白目剝きそうになったが… 「ウナギって夏のイメージだったプイ」 「実際脂がのってて美味しい旬は冬らしいッスね。夏のイメージは昔のうなぎ屋のPRの結果とかなんとか」

    5 22/01/29(土)22:30:36 No.891843262

    旬の身の太いウナギが釣れる、それを聞いて途中でやめることはできなかった かなり待つタイプの釣りだったので間の持たせ方に難儀したりもしたが、なんとか一匹目を釣り上げたのは自分。なかなかに太い、本当にテレビでしか見たことが無いようなものだった どや顔してやったら悔しそうにほっぺた膨らませたプイ先輩がさっきまで怖がってたミミズに果敢に挑んでやる気アップ、その後時合い…だったか?要するに魚の食い気が立つ頃合いに当たったらしく、ポツポツ釣ることができてノルマクリア 運がいいと言われた。ここは水温も高く獲物もいるが、冬でこの数が釣れることは滅多にないと 今回お世話になった黄金世代の釣り好きウマ娘に分け前を渡して、後日またお礼をすると言って別れた。そこまでが釣りのハイライト

    6 22/01/29(土)22:30:58 No.891843408

    「でも、本当によく捌けましたね…そういうのって、かなり修行しないとできないんじゃなかったでしたっけ」 「やろうと思ったらカッターナイフでやる方法とかもあるらしいッスけどね。運が…よくは、ないかな…丁度、その手の妙なことに長けてる変なのがいたから聞いてみたらビンゴだったんスよ」 「へ、変なのですか?」 「聞きに行くときに凄い顔してたプイね…」 「アタシも聞いてからそのスゲー顔になったよ。お、そろそろ火ぃ着くぞ」

    7 22/01/29(土)22:31:33 No.891843635

    …ほんと、なんでこう妙な技術を習得しているのだろうか。あの黄金の不沈艦、もしくは例の白いの、もしくはイチゴ大福、もしくはハジケリスト。今回はそのおかげで助かったが まず手本見せてやると言って鮮やかな手つきで開いて見せたのは流石に絶句した。何処で学んできたんだあんなスキル その後、正眼の構えを披露したプイ先輩を後方に下げて、教わりつつなんとか捌いていった。中骨を綺麗に取れるとあんなに気持ちよかったとは… 分け前のウナギを渡して礼を言ったら、それぞれの処理の仕方と調理法のポイントが書かれたメモを渡された。流石にそこまでしてくれるとは思ってなかったので驚いたが、どこぞから今回の趣旨を聞いていたらしい 「しっかりウメーもん作ってやんな」とケラケラ笑って…普段の奇行控えめだったのはそういうことか。素直に感謝を伝えておいた ただ。板前装束で現われて、まさか自分もそれを着せられるとは思ってなかったが。どっから持ってきたんだ

    8 22/01/29(土)22:31:49 No.891843753

    「じゃ、焼いていくッスよ。串打ちよし、タレの準備よし。火も丁度いい感じッスね」 「後はオメーの仕事だ愚妹。焦がすんじゃねーぞ」 「手伝えるかどうか、見てもいいですか?」 「もちろんッス。あ、プイ先輩。そこの皿置いておいてくださいッス」 「これでいいプイ?」 しっかりと火が起きたバーベキューコンロにウナギを持って行き、串を持ってとうとう焼きに入る 団扇でパタパタ扇ぎつつ強めで焼く、とのことらしい。また難度の高そうなことをさらりと… いい音が立ち、その場の全員がそれに見入ったところでソングラインちゃんが不思議そうな声をあげた 「あれ?ウナギって、焼く前に一度蒸すって聞いたことがあるんですけど」 「ああ、間違ってないッスけどね。それは関東のやり方で、今回は関西流なんで蒸さないんスよ」 「地域によって違うんですね」

    9 22/01/29(土)22:31:59 No.891843826

    ああ、多分聞かれるとは思ってた。なので下調べは済んでる 「関西は蒸さずに焼いて、ついでに本来なら開き方も腹開きッス。なんで、関東の真逆なんスよね。香ばしくてしっかりした食感の味が濃い仕上がりになるッスよ」 「カレンはどっちも好きだなー。関東流もフワフワしてて美味しいし♪」 理由はまぁ俗説の飛び交うものでなかなか真相なんてわからないが。味わいが変わるのは確かだ ただ、腹開きは背開きより難易度が高いとのことと、今回に関してはそこはあまり重要ではなかったので開き方は背開きでやらせてもらった それと関西は長い串に纏めて何尾も刺して焼いたりするらしいが流石に自信がないので一匹ずつやっていく そして、より正確に言えば。関西流、とも少し違うのだが 「おおお…この時点でいい匂いプイ」 「お腹すいてきますね…」 「えーっと、金船メモだとこのくらい焼いたら一回タレッスね」

    10 22/01/29(土)22:32:09 No.891843876

    姐御がメモの通りに作ってくれたタレに香ばしく焼けてきたウナギをつけて、余計なタレを落としもう一度火へ その瞬間、今まで以上の音と共に爆発的な香気がその場を満たした 「お、おお…これはクるッスね…」 「おなかすいたプイおなかすいたプイおなかすいたプイおなかすいたプイおなかすいたプイおなかすいたおなかすいた」 「なんでタレとかお醤油とかが焦げる時の匂いってお腹すくんだろうね…」 「あーもうこれ飯に乗っけてかっこみてぇ。駄目だ限界だ適当に菓子つまんでくる」 「うわぁ、うわぁ…これ室内でやってたら1週間はウナギの匂いに室内が包まれてそうですね…」 「これもう香りがすでに美味しいプイ」

    11 22/01/29(土)22:32:19 No.891843955

    全員もう涎を垂らすのを我慢するのに必死といった感じだ。いやプイ先輩が耐えられてない 炭の火に落ちたタレが焦げて甘辛い味を思い起こさせる香ばしい香りが立ち上り、身の脂からは旨味をそのまま乗せたかのような香り 今極上の食事が生まれているとアナウンスするかのようなタレと脂の焦げる音 全てが混ざり合って漂い、今この場の全員の食欲を頬を張ってたたき起こしてくる 「で、またタレ付けて焼いて…と」 「ねえねえ、他のチームの子達からね。『今度は何やってるんだ』ってメッセージが沢山届いてるんだけど」 「めっちゃ匂い流れてるプイ」 「今回は正当な理由ありきッスよ。適当な欺瞞情報流して暴食組遠ざけておいてくださいッス」 「あ、そろそろご飯できそうですね」 「でもまだ二人が戻ってきてないプイ」 そういえばそうだ、頼んでいたものを受取に行った二人が焼けに遅…いや、ちょうどか ウマ娘の耳が、遠くから走ってくる二つの足音と聞き慣れた声を捕らえる。どうやら間に合ってくれたらしい 足音だけじゃない。ガチャガチャと何かが揺れる音。しっかり持ってきてくれたか

    12 22/01/29(土)22:32:33 No.891844060

    「すまない、遅れてしまったか」 「もーーー!!!用意してあった数が足りなくて時間かかっちゃったじゃない!!!ていうかめっちゃいい匂い!!もう終わってるんじゃないでしょーね!?」 「大丈夫ッス、タイミングはベストッスよ」 風呂敷に包まれた大荷物を抱えて戻ってきた聖剣先輩と魔女っ娘。何やら手違いがあったらしいが無事手に入れてくれたようで何よりだ そう。今回のこのウナギは確かに主役なのだが、それだけでは駄目なのだ。お重でも駄目なのだ 今回必要となったものは今日日一般家庭になんてなかなかない。学園の辺境の部室なんて言わずもがな。なので事前にお願いして用意してもらっておいたものだ 「途中で『匂いでテロするのはやめろ』と何度もクレームを受けたよ」 「相当遠くまで漂ったんですね…」 「ウマ娘の嗅覚舐めちゃ駄目プイ」 「さ、まず最初が焼き上がったんでそれじゃ残りもどんどん焼いていくッスよ。姐御、みんなとご飯その他の方頼んでいいッスか?」 「まっかせてー☆」 「飲物とか確認しておくプイ」

    13 22/01/29(土)22:32:44 No.891844147

    串を打ってあるウナギを新たに手に取り、焼き台に立つと… 「あれ?こっちやるッスか?」 「はい。焼き方は、なんとか見て覚えたと思いますので。少しずつ教えていただければ」 エプロンを付けたソングラインちゃんが、焼き台の隣に立ってウナギを手に取る …♪マークのエプロンかわいいッスね 「…しっかり力付けてもらわないと、困りますから」 視線を逸らしてはいるが、本音は…まぁ、突っつかないでおこう 確かに、ソングラインちゃんにとっても絶対に負けて欲しくないだろう。だからこそ、これを食べて全力でやってこい、ということか

    14 22/01/29(土)22:32:58 No.891844253

    「そういうことなら、そっちから順にお願いするッス」 「はい。っと、結構火が強いですね…」 「焦がさないように、の前にまず火傷しないようにッスよ」 「わかりました。……うわ、すごい煙……!!」 「しっかり団扇で煽げば大丈夫ッスよ。火力強めつつ匂いを他のチームにお届けしてやるッス」 「また怒られますよ……?」 構うものか。たまには悪戯する側に回ったってバチは当たらないはずだ そうしてしばし。自分たちはなんとか、一つも焦がしたりして無駄にすることなくウナギを焼き終えることができた

    15 22/01/29(土)22:33:10 No.891844326

    ● 「お疲れさまでええええええええええええええええええええええええええええええす!!!!!!お呼びですかああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」 相変わらず、ギャグマンガか何かなら炎のレールでも発生しそうな勢いでブレーキをかけて到着した我らが暴走特急娘メイケイエールちゃん 今日は別件でしばらく校舎の方にいるとわかっていたので、終わった頃合いを見計らってメッセージを送ってこっちに来てもらうように頼んだのだ 「お疲れ様ッス。用事は終わったッスか?」 「はい!!!!!!!!!!手続きその他諸々大変でしたああああああああああああああああ!!!!!!」 「ま、その辺は繰り返しでの慣れッスよ。本当に必要な部分以外はトレーナーに投げちゃえますし」 別にサボるってわけじゃなくて本来のレースの準備なんかに支障になりかねないことをトレーナーが代行するのはよくあることというだけだ。それを上手く行えるのが熟練のウマ娘の技能の一つでもあるし、トレーナーとの関係性の表出でもあるわけだし

    16 22/01/29(土)22:33:22 No.891844396

    「さて、今日はちょっとした集まりがあってッスね。トレーナーはちょい遅れるから先に始めててくれとのこと何で」 「なんでしょうか!!!?今から各チーム対抗での総力戦とかやっちゃいますか!!!!!!????」 「明日全滅するッスよ。というか、そんなことやって一番困るのエールちゃんじゃないッスか」 「そうですね!!!!!!!!!!あ、なんだかいい匂いすると思ったらうちのプレハブだったんですね!!!!!」 そうして、プレハブのドアを開けると……… 「あー、来た来た!!エールちゃんほら、ここ座って!!」 「おい愚妹、コップこれでいいのか?」 「ええ、それでいいッス。エールちゃん、とりあえずそこへどうぞッス」 「え!!!!!???私が一番真ん中の席ですか!!!!!!???というかやけに大きいテーブルですね!!!!!!」 「今日は全員勢ぞろいだからな。借りてきたんだ」 「ほら通るわよ!!道あけなさいって!!!!」

    17 22/01/29(土)22:33:32 No.891844464

    小屋の中はすでにチームメンバー総結集で、飲み物を用意する者や皿を運ぶ者、とかくすでに賑やかな盛りだ エールちゃんを真ん中に座らせて飲み物を用意したところで、流しの方に声をかける 「もういいッスよー。おねがいするッス」 「了解プーイ。さー、メインの登場プイ」 「すみません、道あけてくださーい!!」 プイ先輩とソングラインちゃんが持ってきたのは、大きな櫃。そう、お櫃だ あれだ、木製の、炊いたご飯を入れておくための伝統的な入れ物。保温だけじゃなく余計な水分を吸ってくれることでべたつきも防止できるとか ただ、今回そこに入っているのは白米でもなければちらし寿司でもない さぁ、苦労の結晶ご覧あれ

    18 22/01/29(土)22:33:49 No.891844567

    「さあ、開けてみるッスよエールちゃん」 「私ですか!!!!!!?????大役ですね!!!!!!!!よーし、せーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーの!!!!!!!!!!!!!!!!!」 ガバッとあけられた、一つのお櫃 その瞬間、湯気と共に凄まじい香りが室内を満たした。白米の香りに香ばしさと芳醇さを兼ね備えたタレとウナギの香気 普段であれば、お重に入ったウナギ、そううな重が鉄板だろう しかし今回は違うのだ 『名古屋の名物を作ろう』というコンセプトこそが。今回のこの騒動の発端だったんだから 「え!!??ひ、ひつまぶしですか!!!???」

    19 22/01/29(土)22:34:10 No.891844713

    ひつまぶし。暇つぶし、じゃない。ひつまぶし、だ うな重などのようにそのままウナギを乗せるのではなく、細かく刻んだウナギをまぶし乗せたもの それをそれぞれが食べる分を皿によそって食べるという、『名古屋めし』の一つとしても知られる贅沢な料理 まずはそのまま食べて。次に思い思いの薬味を乗せて食べて 最後に一杯、お茶やだし汁などをかけて茶漬けにして食べるという三段構え。材料も贅沢なら食べ方だって贅沢な逸品だ 「ウナギはウチとプイ先輩で釣ってきて、捌いてさっき外で炭火焼にしたッス」 「釣ったんですか!!!?ウナギを!!!???え、捌いた!!!?」 「焼き方も関西風、というか名古屋流にしてあるッスよ。お口に合えばいいんスけど」 「他のみんなでご飯だけじゃなくてだし汁とか肝吸いとかも用意してあるからね☆」 みんな、それぞれ言葉を重ねていく。驚いてくれたのが、やっぱりうれしくて仕方ないんだろう

    20 22/01/29(土)22:34:23 No.891844813

    「スイープも頑張って盛り付けてくれたな」 「こ、こういうときくらいしっかりやるってば!!!」 「ほれ、タレ足りなきゃ言えよ」 「いやぁ、自分で言うのもなんだかププイだけど相当いいウナギ釣れたから食べてほしいプイ」 大声での驚愕の後、それを通り越してしまったかぽかーんと口を開けて固まってしまったエールちゃん あ、これアレだな。誕生日じゃないのにとか考えてる そりゃそうだ。理由も無くこんなことはしない つまり、今回のこれには………ちゃんとした、理由が存在するのだ 「………ほら、メイケイエール」 一杯目をよそって、エールちゃんに差し出したのは♪エプロン姿のままのソングラインちゃん 目つきを必死にキッとさせてるけど、照れが隠せないのか若干視線が泳いでる

    21 22/01/29(土)22:35:47 No.891845354

    「………次のレース。大事な一戦だろう」 「………あ」 「これ食べて負けないようにって、全力出しきれるようにって、先輩方がだな………」 「ちなみにソングラインちゃんも一緒になって焼いてくれたッスよ。凄く丁寧にやってくれたッス」 「ちょっとぉ!!!?」 みんな慌てふためくソングラインちゃんを見て笑ってしまってる そう。今回の集いは、大一番を控えたエールちゃんへの激励 後輩の勝利と活躍を願った、我々なりのささやかな、しかし全力の『エール』のため 手に乗せた器をじっと見ていたエールちゃんだったが、ようやく顔を上げて 「ソングラインちゃん」 「な、なんだメイケイエール!!何か………」 「ありがとうね」 「んなぁ!!!」

    22 22/01/29(土)22:36:11 No.891845498

    いつもの爆裂ボンバー娘のテンションではなく。静かに、しかしはっきりとした声での感謝の言葉 「先輩方。みなさん、本当に、ありがとうございます」 誰もが、言葉を発さない すっと下げられた視線は、何かを必死に耐えようと隠そうとしているのが誰にだってわかってしまったから 「………勝ちますから」 その言葉に、みんなが返した笑顔。そして 『がんばれ』 揃った声 一瞬、何かをぐっとこらえたように肩をすくめたエールちゃんは………一度、鼻を小さくすすって

    23 22/01/29(土)22:36:26 No.891845594

    「はい!!!!!!!!!!!がんばります!!!!!!!!」 そして箸を取った 「いただきまああああああああああああああああああああああああああああああああす!!!!!!!!!」 タレのよく絡んだ香ばしい刻みウナギをそのタレが染みたご飯と一緒にかきこんでいく 一度箸を止めて、飲み込んで。次に出たのは、素直な感情の大爆発 「………美味しいでえええええええええええす!!!!!!!!!!!!!」 ああ、よかった。これでミッションコンプリートだ みんなを見回せば一様に頷き、そして席に着き直す

    24 22/01/29(土)22:36:38 No.891845677

    「さ、みんなも食べましょ。プイ先輩、自分で釣った魚食べる初体験ッスもんね」 「んっふっふー!!!!楽しみすぎてもう待ちきれなかったプイ!!」 「お吸い物あるからねー。お漬物も、お茶も、欲しいなら言ってねー☆」 「おい愚妹、これ薬味って何乗せりゃいいんだ」 「好きな奴でいいんスよ」 「ちょっと、あいつ来てないけどいいの?」 「トレーナーは遅れるから先に始めてくれとさ。大丈夫、しっかり残しておくさ」 「あ、ほらメイケイエール。薬味はここから好きなのを………」 「ありがとうございます!!!!!!!!!!!!!」 「みみがいたい!!!!」 故郷の味を噛みしめて 応援してる仲間の風景を今一度焼き付けて

    25 22/01/29(土)22:36:51 No.891845768

    頑張れ、ウチらの………可愛い後輩 頑張れ、メイケイエール 頑張れ、エールちゃん。

    26 22/01/29(土)22:37:29 No.891846045

    以上。酒をガッツリ飲んだので舎弟した。あとエールちゃんした 頑張れ。メイケイエール

    27 22/01/29(土)22:37:39 No.891846131

    エールちゃんがんばえー

    28 22/01/29(土)22:38:01 No.891846289

    エールちゃんがんばえー!

    29 22/01/29(土)22:38:16 No.891846381

    お腹が空いたんだが?

    30 22/01/29(土)22:38:25 No.891846458

    がんばえ!!無事に帰ってきてね!!

    31 22/01/29(土)22:39:12 No.891846767

    >今回お世話になった黄金世代の釣り好きウマ娘に分け前を渡して、後日またお礼をすると言って別れた。そこまでが釣りのハイライト 大丈夫? セイちゃんはウナギもらって色々考えてミ゜とか横にならない?

    32 22/01/29(土)22:39:58 No.891847080

    ちなみに柳川だと串に刺さずに網に乗せて焼くとか