敵の... のスレッド詳細
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21/11/29(月)00:39:44 No.871366814
敵の新型幻晶騎士を眺めながらイシルは呟く。 「人質の貴女が重要視されていないのか、むしろ貴女が重要だから葬りたいのか――」 イシルの背後で何かが動いた。ナルヤである。彼女は拘束を抜け出し、無防備なイシルの背後に立っていた。 むろんすぐそばで拘束を脱出したのをイシルの耳は聞き逃さない。イシルは既に組みあがっている身体強化の術式を実行に移す。そしてイシルは歌う。 「さぁリンゴを竈に放り投げ、猫の蹄に小麦を詰めて、アップルパイに関税を!」 素っ頓狂な歌詞が、でたらめな音程で、操縦室に響き渡る。強化された喉が、腹筋が、肺が、操縦席を震わせた。逃げ場のない密室で、イシルの歌は反響を繰り返し、たった一人の輪唱が始まった。 ナルヤはたまらず耳を抑える。この世のものとは思えない声量と、音程の不愉快さ、悪夢のような歌詞、終わらない輪唱が、脳を内側から揺さぶる。耳への痛み、強烈な頭痛、演算していたはずの真空斬撃の術式さえ乱れていく程に。 「あっ、あがっ、あぁぁああ!?」 暴力的な歌はついにナルヤの平衡感覚さえ奪う。しかし奇妙な叫びをあげながら、ナルヤはイシルの細い首に掴みかかろうと走り出す。
1 21/11/29(月)00:40:18 No.871367025
イシルがティラントーを動かす、劣悪な操縦性と綱型結晶筋肉を抑えきれない故の振動が、ナルヤを襲う。ふんばりも効かないナルヤはその場に転がり、立つことさえままならなくなる。 「あ、動かないでね。吐くよ。お父さんにコレやられて私は吐いた。狭い場所で吐くとお互い悲惨だよ?」 イシルのティラントーは爆裂したティラントーの元へと向かう。左右の足を動かす度に倒れたナルヤが操縦室の壁にぶつかる。頭痛は和らいでいるが、上下左右の間隔も失せてまともに動くこともままならない。 「昔から思うんだけどね。お父さんは、カルリトス王子を役者にしたいとか、歌わせたいとか言ってたけど、歌は私の方が上手いんだよ。だって王子の声は人一人殺せないんだよ?」 イシルのティラントーが疾走、破裂したティラントーはその図体を用いて敵幻晶騎士に体当たりを試みなんとか逃げるのを妨害している。ティラントーに密着されると敵は巨大なランスを持て余している。
2 21/11/29(月)00:40:44 No.871367183
「いいよ、いいね、ザッキー。感動したっ、そのまま前進っ!!!」 『置いてけぼり』は両腕を失ったティラントーの側面を通り抜けると、急停止する。そして腰をひねり、ティラントーに押される敵幻晶騎士に重棍を叩きつける。重棍と前進するティラントーの圧力に耐えきれず幻晶騎士は動かなくなった。激しい動きに何度かナルヤは壁にぶつかり、完全に意識を失う。 「ナイスガッツだ!」 未だに敵に野営地を包囲されているが、幸いなことにティラントーが敵幻晶騎士が非戦闘員へと向かうのをなんとか押しとどめている。敵の正体不明の魔導兵装に警戒しており慎重な攻防に終始している。野営地目掛けて後方の敵幻晶騎士が法撃をしているようだが、メラニーとの法撃合戦に移行したようだ。 「敵の足止めさえしてくれれば十分だよ!」 ティラントーは足止めは得意な機体である。そして圧倒的な火力を持つ機体である。
3 21/11/29(月)00:41:10 No.871367366
「トドメを刺すのは私がやるっ!!」 足止めされている敵幻晶騎士へと重棍を見舞う。距離を取られ躱されるがもう遅い。逃げた先で足止めをしていた味方の法撃が直撃し、動きが止まる。そこを逃さずイシルが重棍を見舞う。ティラントーどころかレーヴァンティアほどの防御力も持たない敵は、ひしゃげて動かなくなった。 部下の獲物を奪い、3機ほど葬ったがイシルのティラントーはあまり魔力が残っていない。イシル耳はざっと10機程度の敵幻晶騎士の存在を告げる。うち5機はメラニーと法撃に興じているようで問題はない。残り5機がイシルの部下たちと近接戦闘を行っている。 「皆、もう少し足止めお願い!!」 イシルは拡声器で叫ぶ。敵幻晶騎士は、それまでに決着をつけようとより苛烈な攻めに転じる。それは自然と足を止める形となる。 突如無数の竜巻が敵幻晶騎士にぶつかると共に、幾度もの稲妻が走る。雷轟嵐の魔法が、一斉に放たれた。密かに近づいた騎馬隊が一斉に魔法を唱えたのだ。幻晶騎士による法撃と勘違いさせれば十分。守りに徹し隙を狙い続けた黒騎士達は、必殺の牙をむいた。
4 <a href="mailto:s">21/11/29(月)00:42:18</a> [s] No.871367779
めでたしめでたし
5 21/11/29(月)00:56:17 No.871372799
> むろんすぐそばで拘束を脱出したのをイシルの耳は聞き逃さない。イシルは既に組みあがっている身体強化の術式を実行に移す。そしてイシルは歌う。 > ナルヤはたまらず耳を抑える。この世のものとは思えない声量と、音程の不愉快さ、悪夢のような歌詞、終わらない輪唱が、脳を内側から揺さぶる。耳への痛み、強烈な頭痛、演算していたはずの真空斬撃の術式さえ乱れていく程に。 身体強化ってやっぱりすごい…
6 21/11/29(月)01:01:18 No.871374370
カラオケルームでマイクもったジャイアンとか悪夢ではある
7 21/11/29(月)01:12:38 No.871377363
足止めティラントーがナイスガッツすぎる
8 21/11/29(月)01:49:22 No.871384919
マクロス!