21/10/12(火)23:20:54 「お兄... のスレッド詳細
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21/10/12(火)23:20:54 No.855757026
「お兄さま!……あれ、いない……?」 午後の授業を終えたライスシャワーは、意気揚々とトレーナー室に駆け込んだ。 今日はビデオ研究の予定だが、しかしそこに待ち焦がれたトレーナーの姿はない。 会議などで遅れているのだろう。長机に鞄を下ろし、ふと隣の事務机に置かれた封筒が目に留まる。 「……また、かぁ……」 花柄の透かしの入った手触りのよい紙。封蝋を模った朱色のシール。差出人は書かれてない。 中までは見なくともわかる――ラブレターだ。
1 21/10/12(火)23:21:48 No.855757343
お兄さま、つまり彼女のトレーナーに想いを寄せるウマ娘は少なくない……と、ライスシャワーは自負している。 身内贔屓を差し引いても容姿は魅力的だし、性格は言うまでもないだろう。 まして自分のような――と言うのは複雑な気分だが――自信のないウマ娘たちには劇薬とも言える優しさだ。 だから、こういった手紙を受け取るのは一度や二度ではなく、直接想いを告げられる場面も見た。 そしてその都度、それはそれは丁重にお断りしていたことも。 手紙をそっと元に戻す。几帳面に整頓された机の上で薄桃色の封筒が西日を浴びて輝いている。 「(お兄さまは……きっとちゃんと読むんだ)」 机の抽斗の中には封を切られた封筒が何十通も入っていることを、彼女は知っている。 以前、ふとした拍子に偶然覗いたその光景が脳裏に焼き付いて離れない。 誠実な彼のことだ、きっとその淡い恋文に目を通し、断りの返事を認めるのだろう。 ――彼が断わるのを当然だと思えるのが、彼女の図太さでもあるのだが。
2 21/10/12(火)23:22:51 No.855757696
ふと、部屋の外に耳慣れた足音を感じ、ライスシャワーは我に返る。 「おや、先に来てたんだね。遅くなってごめん、ライス」 「ううん!だいじょうぶ、さっき来たところだから」 「すぐに準備するから、少しだけ待っててくれるかな」 机の前から半歩身を引いて、てきぱきと準備をするトレーナーを目で追いかける。 レース映像を記録したディスク、彼女のトレーニング記録を収めたバインダーを机上に出し、 そこで何かを思い出したように、あの封筒を、机の脇にスッと寄せる。 「よし!じゃあ始めようか。まずはどのレースがいいかな」 「うーん……じゃあライスはね……」 秋の夕日はすっかり傾き、薄桃色の輝きもいつしか陰に溶け込んでいた。
3 21/10/12(火)23:23:35 No.855757919
お兄さま……あの娘たちにとってのお兄さま でもライスのお兄さまは、あの娘たちとは違う 「あのね……と、トレーナーさん」 「うん?どうしたんだい」 「う、ううん!なんでもないの、お兄さま!」 お兄さまはライスだけのトレーナーさん、トレーナーさんはライスだけのお兄さま 彼の隣で咲けるのは、私だけなのだから
4 <a href="mailto:s">21/10/12(火)23:25:47</a> [s] No.855758609
ちょっと図太い独占力を発揮するライスが見たかったので書いた
5 21/10/12(火)23:29:09 No.855759691
いいね…
6 21/10/12(火)23:30:06 No.855760011
ナチュラルな独占欲が凄いんじゃ
7 21/10/12(火)23:35:48 No.855761924
お兄さまにとって大事な存在だろうというのは割と疑ってないよね
8 21/10/12(火)23:43:22 No.855764596
図太いライス良い…
9 21/10/12(火)23:48:31 No.855766412
ハロウィンでは距離を詰めてきたね…
10 21/10/13(水)00:17:15 No.855776548
自負する部分が無ければステイヤーのトップは名乗れないからな…