虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

1 21/09/12(日)02:36:30 No.845119276

今晩はずっと静かだったな…

2 21/09/12(日)02:39:18 No.845119763

さっき怪文書が投げられたくらいか

3 21/09/12(日)02:40:54 No.845120031

えっそれ知らない

4 21/09/12(日)02:43:22 No.845120513

……グリフレットか？見てわからないか？釣りをしている。 何か聞きたいことでもあるのか？ ああ、王の話か。そうだな、古い話になる。 俺が王と出会ったのは、王が武者修行を終え、ブリテン統一の為に挙兵して暫くしての事だ。 当時ブリテンは群雄割拠で各地で領主達が王を名乗っていた俺の父親であるペリノアもその一人だった。 ウーサーの息子を名乗り選定の剣を手にしたアーサー王への反応は様々だ。 アーサーと対面した事で惹かれたもの、剣を交え実力を認めたもの…うちの親父殿だな。渋々従うもの、オークニーのロット王と11人の王達のように即位を認めず反乱を起こしたもの。 俺は親父殿がアーサー王の下に付いた事で、自然とアーサー王の騎士になった。 初対面の印象か。小さくて細い、華奢だとさえ思ったよ。もしかしたら挑めば勝てるのではないとバカな考えが浮かんだ。 親父殿には見透かされて叱責されたがな。実際に戦場で見ればアーサーが如何に強いか分かるとも言われたよ。 次に王の顔を見たのは反乱鎮圧での出陣、俺の初陣だ。 俺は初の実戦で何をして良いのか右往左往、親父殿はいなくなるし面倒を見てくれてた古参の騎士ともはぐれてしまった。

5 21/09/12(日)02:43:36 No.845120542

俺は敵に追い詰められて殺されかけた。安い鎧を身に付けてたから人質にしようとは思わなかったらしい。 相手の剣で首を飛ばされそうになった時にそれは現れた。 アーサー王だ。戦局の不利を見て火消しの為に魔力放出で文字通り飛んで来たんだ。 今でも思い出す。ああ、信じられないくらい強かった。 若い見かけからは想像もつかない卓越した剣技、魔力放出による膂力を圧倒する力強さ、騎士に成り立ての俺に手を差し伸べて大丈夫ですか、と声を掛けてくれた。 呆然として頷いた俺を大丈夫と判断したのか、王は指揮を執りあっという間に前線を建て直したんだ。 それは俺が夢見た前線で剣を振るい、兵を鼓舞し、味方だけではなく敵も気に掛ける騎士の中の騎士の姿だった。 戦いが終わって俺は王に声を掛けられた。初陣で良く生き残りました。ただ一言だ。 だが、それが堪らなく嬉しかった。 俺はこの方に仕える為に生まれて来たのだと。忠誠を尽くそうと誓ったんだ。 ……まぁ最期までは仕えられなかったがな。 昔話が長くなったな。そうだ、スズキが釣れたから持っていくと良い。青年に食わせてやれ。

6 21/09/12(日)02:46:04 No.845120952

円卓の騎士で我が王に対して感情重くない騎士はいないよね… それがあんな磨り減って冷たくなってたらショックだよね…

7 21/09/12(日)03:07:48 No.845124487

ただただ圧倒された。これが騎士の中の王と讃えられるお方か、と心が打ち震えた。 強かった。ただひとりであの方は途方もなく強かったが、そんなことは末端の枝葉に過ぎなかった。 劣勢に心が萎えきり、振るうべき剣に惑いが生まれ、怖気づいた前線の騎士の面々。 それらへ王が飛び交うように赴き、叱咤激励するだけで部隊は見違えるように蘇った。 弱音を零していた兵士は誉を帯びて雄々しく立ち上がり、精彩を欠いていた太刀筋は重く鋭く鍛えられ、怯えた顔には猛々しき笑みが生まれる。 もしかしたら、この方についていけば生き残れるかも知れない。 もしかしたら、この方についていけば負けないかも知れない。 もしかしたら、この方についていけば───勝てるかも知れない。 希望という剣を取り戻した騎士たちはつい先程まで憔悴していたにも関わらず、今や万軍を破らんと意気軒昂。 そういう王だった。遍く騎士たちの理想の体現。右に出る者なき素晴らしき王だった。 だからこそ守らねばならない。 我らがとこしえに誉れありき王よ。御身が彷徨える嵐の暴君として試練を下すならば─── 我ら御身が騎士。その試練、喜びを以て頂戴するまでのことです。

8 21/09/12(日)03:18:23 No.845126046

グリフレットちゃんも激重すぎる…

9 21/09/12(日)03:20:56 No.845126451

王。は行く先々で激重感情を生み出す罪作りなお人…