虹裏img歴史資料館

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21/08/30(月)01:54:28 ナイス... のスレッド詳細

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画像ファイル名:1630256068200.png 21/08/30(月)01:54:28 No.840694533

ナイスネイチャとゴールドシチーと聞いて共通点を思い浮かべることができる者はそういないだろう。 かたやトレセン学園一を争う現役モデルの美人ウマ娘、かたや学園一の親しみやすさを持つ商店街の愛されウマ娘。そういう二人が面と向かって話しかける機会ができたのは、あるお昼時の事だった。 「ここ、いいですか?」 そんな言葉で、ゴールドシチーがナイスネイチャに話しかけたのは、多くのウマ娘で混雑したカフェテリアだった。 ネイチャが座っているのは隅っこの二人用の小さなテーブルで、近くには植木鉢の中に入った背の高い植物たちが並んで置かれているので、人の目に付きにくい。だから混みあったカフェでも、ポツンと席が空いていたのをシチーは知っていた。 今日はネイチャが先に見つけたようだが、もしかしたら二人して交互に使っていたのかもしれない。 「あ、どうぞ」 と、ネイチャは少しうどんのどんぶりが乗ったトレイを下げた。

1 21/08/30(月)01:54:59 No.840694647

「ありがとうございます、もう彷徨ちゃって。ここが空いてなかったらどうしようと思ってて」 「あーここ穴場ですもんね」 それから二人、顔を見合わせてくすりと小さく笑った。元々面倒見が良い二人である、お互いが趣味趣向が合うかはともかく、そういう所で気が合ったのだろう。かしこまって話す自分達がなんだか可笑しくて、後は友人を相手にする様に喋った。 「マヤノから結構ネイチャのこと聞いてるんだ。よく騙されたーって」 「ははは、いやぁそういう所が可愛くて……あっ」 共通の友人の話と共に箸を進めていると、ふと何を思ったのかネイチャが両サイドの髪の毛と共にテーブルに頭を突っ伏した。 何事かと、シチーがサファイア色の美しい瞳を丸くすると、自分の後ろから聞き覚えがある声がして振り向いた。 歩いていたのは、シチーとネイチャのトレーナー二人であった。親しげに話しながら、こちらに気づくことなく少し離れた席へと座った。 しばらくしてネイチャはちらりと顔を上げて、周りを確認すると胸をなでおろしながら椅子に座り直した。

2 21/08/30(月)01:55:25 No.840694739

「いきなりまりもみたいになるからビビったわ。なに、喧嘩でもしたの?」 「いやーあはは、そういうことじゃあないんですけどね……もう行った?」 「近くには座ってるけど、まぁ此処って目立たないしバレないんじゃない」 「そっかー……」 シチーの言葉にネイチャは一つ目を空にやると、耳をピコピコと動かし始めた。音を探っているのである。 ウマ娘の耳は大きく自由が利く、アンテナのように動かせば、がやがやとしたカフェの中でもなじみの声を探り当てることができた。 言ってしまえば今ネイチャは盗み聞きをしているのであろうが、どうにもゴールドシチーはそれが邪というより純情な理由な気がして釣られるように耳を向けた。それに、自分のトレーナーが普段同僚とどんな話をしているのかが気になった。 「驚いた、眼鏡止めたんですね」 そんな声が聞こえてきた、ネイチャのトレーナーである。ウマ娘に対しては真面目であるが、意外にも同僚には気さくな喋り方をする。

3 21/08/30(月)01:56:22 No.840694978

「シチーからコンタクトにしてみたらと言われてみてね。まぁ、新しいことに挑戦してもいいだろうと思って。ははは、少し恥ずかしいな」 そう返したのは、シチーのトレーナーだった。こちらは頼れる兄さん方のような喋り方はウマ娘でも人でも変わらないらしい。 「いや、お似合いですよ。シチーさんの影響でしょうかね、服装もほんのりオシャレになってきてるし。流石は現役モデルウマ娘」 「まぁ確かにこの頃大体シチーのコーデになってきてる気がするけど……羨ましいなら頼んでみようか」 「いやいや、お二人の邪魔をしちゃ悪い」 「なんだそれは、へんな遠慮なんかしなくていい」 男は苦笑したが、尾花栗毛のウマ娘は不機嫌そうに「バーカ」と言ったのがネイチャの耳に入った。 「遠慮も何も、シチーは誰か人のコーディネートをしたいわけじゃないでしょう。アンタだから選んであげたいんですよ」 「なんで」 「にぶちんですね。愛ですよ」 「アンタがいうか」 と、ネイチャは思わず言葉に出してしまった。どんな人間も他人の事はよく分かるらしい。

4 21/08/30(月)01:57:02 No.840695139

一方のシチーの方は、美しい肌白の頬をほんのりと赤で染めて、皿の中のサバの煮込みを箸でボロボロにするとおもむろに一口放り込んだ。照れ隠しだった。 「そう赤くならなくてもいいでしょう。好きじゃなきゃ、その人の服装を整えたりしませんよ。別にそれが恋愛だとか親愛だとかは知りませんがね」 「ばか、あんまりからかわないでくれ。これでも結構情けなくドキドキする時があるんだから、君のせいで妙な感情が湧いたらどうする」 ぎゅっとサバの身が哀れにもウマ娘の力が込められた箸によってぶっつりと勢いよく斬れて、衝撃を殺し切れなかった半身が音を立ててネイチャのうどんの中に入った。 「あっ、ごめ……」 尾花栗毛のウマ娘は謝ろうとして、自分がいかに顔を赤くなったかネイチャの顔を見て悟ったのだろう、ついに俯いた勢いのまま机に突っ伏した。腕の隙間からバーーーカと聞こえてくる。それでも耳はトレーナー達の方に向いていた。 「そういえば、お前いつから自炊するようになったんだ?」 話を変えるように、男は目の前の後輩が持っている弁当箱を見た。二段弁当で、下は白飯にふりかけ、上にはいろんな総菜が入っていて中々に凝っている。

5 21/08/30(月)01:57:32 No.840695258

「いえ、作ってもらったんですよナイスネイチャに」 ネイチャの肩がびくっと震えて、少し机を揺らした。その様子を少し顔を上げて見ていたシチーは、先ほどのネイチャの下手な隠れ身の訳を悟った。 「なんだ、贅沢な奴だなぁ。担当ウマ娘に弁当作ってもらうなんて」 「いやね、ネイチャも時々お弁当作るらしいんですよ。自分のコンビニ食を見かねたあの子が、手間はそんなに変わらないからって、お弁当を作る日だけ自分の分も持ってきてもらうんです。これが美味しくて」 シチーの視線がうどんとネイチャの間を行ったり来たりするのに気づいた面倒見の良いウマ娘は恥ずかし気に顔を逸らした。美味しいというのが聞こえたのだろう、握りこぶしを作っていた。 「それに、嬉しいのがこのきんぴらごぼうで。前に好物と言ってくれたのを覚えてくれたのか、よく入れてくれるんです。これがまた美味しい」 「気立てが良い子だな。優しい子だ」 「それが、この頃このきんぴらごぼうが不思議でね」 そっとトレーナーがきんぴらごぼうを掴むと、まじまじとそれを見た。

6 21/08/30(月)01:59:14 No.840695621

「俺がこれを好きだったのは、母親が良く作ってくれたからなんです。そして、ネイチャが作ってくれたきんぴらごぼうが好きなのも、母の味によく似ているから。そう思っていたんですが」 そして口に放り込みながら続けた。 「が、何だろうか。この前実家の母からきんぴらごぼうが送られてきたから食べてみたら、味が違う。そりゃ年季が違うから母親の方が味はしっかりついてて俺好みの味だ、でも何だろうネイチャの方が俺は好きなんです、こっちの方を毎日食べていたい。不思議でしょう?」 「それは君、それこそ愛だ!」 シチーのトレーナーがそんな大声を上げたので、思わずネイチャはサバの味噌煮入りうどんを喉に詰まらせるところだった。シチーの方はやれやれと言いたげにため息をついている。 「それはネイチャの愛が詰まってるからだ! 子供を見る母親とは違う、好きな人に美味しといってほしいという真心が詰まってる! だからだよ、君がネイチャに折り紙のトロフィーを折るのと一緒だ!」 「パイセンは時々キザッたらしいことを大声で言いますね! ……でもまぁ、ネイチャの愛か。親愛でも、なんだか嬉しいですね。この愛を彼女にどれくらい返せるだろうか」

7 21/08/30(月)01:59:43 No.840695730

「気づいていないだろうが君も時々キザだぞ」 次はネイチャが顔から蒸気を吹き上げそうな顔色をしながら机に突っ伏す番だった。にゃああああといううめき声が聞こえてくる。こいつらは愛という意味を分かっているのかと言いたげだ。 「ははは、先輩には負けます。ってなんですか、なんで箸をこっちに伸ばすんです」 「いや、そこまで君がいうものだから少しどんな味が気になって」 にゅっと伸ばされた箸を、行儀悪くネイチャのトレーナーの箸が叩いた。 「嫌ですよ、好物って言ったでしょう。人にあげる余裕なんかありませんよ、ハンバーグ定食食ってくださいよ」 「そうケチケチをするな、また愛は貰えるだろう」 「図々しいですよ! あっ、こら箸を伸ばすな! 離れろこの元地味眼鏡! ネイチャの愛は俺のもんだ! アンタはシチーさんがいるでしょうが、シチーさんに頼めよ!」 「一つまみぐらいいだろう!」 「ネイチャのは俺んのです! 誰にも渡すもんか! 俺の愛ーー!」 大の大人が何やらネイチャは俺のなどいいだろうなど言い合いをしている。さてこれは大変なことであった、主に担当バ達が大変であった。

8 21/08/30(月)02:00:09 No.840695833

「ぎゃあああー! 何言ってんだあの人らーー!」 「あーー、いやホントバカだなアタシらの担当」 思わず二人の愛バが立ち上がる。二人の所までいってげんこつを振り下ろすまで数秒もかからないだろう。 そのあと色んな話し合いをすることになるまで数分もかからない。許されるまでは数時間かかる。 なんやかんやあって、ネイチャがトレーナーと服選びに行く約束をするのは数日もかからないだろう、シチーがひっそりと料理を勉強してある日弁当をトレーナーに渡すまでは数か月かかるかもしれない。 鈍い二人が他人から言われなくても愛を自覚できるかはいつになるかわからない。でも意外と早いかもしれない。 それまでに色んな愛が積もっているのだし。 テーブルに残されたうどんの中で、サバの味噌煮がぷかぷかと一人寂しく浮いていた。

9 <a href="mailto:s">21/08/30(月)02:00:53</a> [s] No.840695979

自分のいない所で自分の事を話すトレーナーを見たウマ娘学会の者でしたが長くなりすぎてちょっとビビっています

10 21/08/30(月)02:01:40 No.840696124

こいつら常に惚気てるんだ!

11 21/08/30(月)02:02:19 No.840696268

盗み聞き怪文書いい…

12 21/08/30(月)02:02:32 No.840696294

トレーナーがいちゃついてどうする…

13 21/08/30(月)02:03:49 No.840696542

オイオイオイ興奮して寝れなくなったわ

14 21/08/30(月)02:04:00 No.840696588

いいねえ… トレーナーのキャラがいいよねこのシリーズ

15 21/08/30(月)02:04:01 No.840696589

あざといトレーナー共め!

16 21/08/30(月)02:04:26 No.840696660

盗み聞き怪文書流行れ

17 21/08/30(月)02:05:13 No.840696829

タイプの違う子同士がお互いに得意なこと教え合うみたいなのすき!この二人もっとみたいな

18 21/08/30(月)02:06:16 No.840697039

この路線が違う朴念仁どもめ…

19 21/08/30(月)02:06:43 No.840697131

続き物なの?前の話もめっちゃ読みてえ

20 <a href="mailto:鯖の煮込みinうどん">21/08/30(月)02:07:25</a> [鯖の煮込みinうどん] No.840697275

だけーっ!だけーーっ!!

21 21/08/30(月)02:07:57 No.840697369

>続き物なの?前の話もめっちゃ読みてえ 別キャラの別のトレーナーの話だよ フラッシュとファル子が並んでるスレ絵のはず

22 21/08/30(月)02:08:34 No.840697497

これがきっかけでシチーとネイチャに付き合いができたりしないかな

23 21/08/30(月)02:08:56 No.840697555

>続き物なの?前の話もめっちゃ読みてえ 前のはフラッシュとスマートファルコンだったよ凄い色男とファル子にぞっこんの堅物トレーナーだった

24 21/08/30(月)02:11:09 No.840698018

あの色男はちょっと強すぎた…

25 21/08/30(月)02:15:44 No.840698888

(学園のトレーナー達で流行るそれは愛だよの言葉)

26 21/08/30(月)02:16:15 No.840698976

削除依頼によって隔離されました なにこれ気持ち悪い

27 21/08/30(月)02:16:25 No.840699011

素晴らしい この学会にはもっと助成金を出すべき

28 21/08/30(月)02:17:59 No.840699295

自分の惚気を他人に聞かれるのいいね

29 21/08/30(月)02:19:50 No.840699582

こんなやりとりが日常的に至る所で行われてるんだろうな…

30 21/08/30(月)02:21:27 No.840699832

ウマ娘たちの間でかなり進んでる娘扱いになるネイチャか…

31 21/08/30(月)02:22:57 No.840700035

>ウマ娘たちの間でかなり進んでる娘扱いになるネイチャか… テイオーとマヤノとカレンチャンとかと恋愛トークしたら関係進みすぎててボロが出まくるんだよね…

32 21/08/30(月)02:27:38 No.840700728

普段組まないような二人いいね…

33 21/08/30(月)02:28:29 No.840700853

そのうちネイチャに料理教わってくれ

34 21/08/30(月)02:30:03 No.840701067

ねぇ知ってるナイスネイチャさんって君の作ったきんぴらごぼうを毎日食べたいって言われたらしいわよ… きゃー!それってプロポーズ!?

35 21/08/30(月)02:33:26 No.840701508

シチーさんが照れて潰れてるべ…

36 21/08/30(月)02:35:53 No.840701787

珍しく指に絆創膏巻いてるシチーさんもちょっと小物のセンスがおしゃれになったネイチャもみたい!!

37 21/08/30(月)02:39:01 No.840702183

ネイチャに料理を教わって指を絆創膏だらけにしてトレーナーにお弁当を渡すシチーさんはどこだべ!!!???

38 21/08/30(月)02:46:48 No.840703038

>シチーさんにお洒落を教わって慣れない格好でトレーナーとデートしてるネイチャはとーってもマーベラース☆

39 21/08/30(月)02:48:01 No.840703172

どっちも気ぶり隊がいるの強いな… いやマベはそう言っていいのかわからんが…

40 21/08/30(月)02:51:37 No.840703564

モデル業なのに指をけがして大丈夫かって心配になって少し喧嘩になるけど最後は仲直りしてぐしゃぐしゃのお弁当を食べてもらうんだべな…

41 21/08/30(月)02:52:57 No.840703720

「」キノいつ見てもただの方言のおっさんにしか見えねぇな…

42 21/08/30(月)02:53:15 No.840703752

>モデル業なのに指をけがして大丈夫かって心配になって少し喧嘩になるけど最後は仲直りしてぐしゃぐしゃのお弁当を食べてもらうんだべな… 勇気を出して自分の箸であーんするシチーさんは何よりも美しかったべ…

43 21/08/30(月)02:55:45 No.840704025

2人ともストレートに好意を伝えるのが絶妙に不器用なのがこう…いいね!

44 21/08/30(月)03:19:08 No.840706552

トレーナーたちが愛バについて語るのいいよね...

45 画像ファイル名:1630261535843.png 21/08/30(月)03:25:35 No.840707112

キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!

46 21/08/30(月)03:32:20 No.840707636

>No.840707112 いい

47 21/08/30(月)03:35:14 No.840707882

すごく良かった...

48 21/08/30(月)04:17:26 No.840710754

にぶにぶ

49 21/08/30(月)04:23:50 No.840711088

にぶちんちん…

50 21/08/30(月)04:39:00 No.840711881

君の愛バが!の調子でそれは愛だよって言えるね

51 21/08/30(月)04:40:43 No.840711987

クール系ガールが照れて転げ回るのいいよね…

52 21/08/30(月)05:04:51 No.840713293

寝る前にすげー良いモン読んで目が冴えてしまった……ネイチャかわいい……

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