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21/08/17(火)23:50:13 「鬼面... のスレッド詳細

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21/08/17(火)23:50:13 No.836285439

「鬼面が二体も存在するとは思わなかった!」  イシルはティラントー行進曲で魔導演算機にねじ込まれた命令を解除する。装甲の強化魔法の出力が通常に戻った。黄金の『鬼面』相手に消費した魔力貯蓄量はいくらか回復している。 「隊長、非才の身で申し訳ない!」 「鬼面相手に時間を稼いだ上に生きていたんだ。最高だよっ!」  ザグモが駆る幻晶騎士ラズ・ワルドは既に戦闘不能になっている。それに付き従ったナードナック、鬼面を奇襲したヴォラキーロ部隊も多大な損害を出している。イシルの『臆病者』も万全とは言い難い。だが赤い『鬼面』は大気を揺るがす法撃を幾度か放ち魔力を大量に消費しているだろう。  イシルは拡声器越しに歌いながら、『鬼面』へと踊りかかり棍と鬼面の斧槍が火花を散らす。  ティラントーの棍と斧槍が数度ぶつかり合う。両機体の出力は互角、お互いの攻め手も防御を捨てた苛烈なものだ。斧槍がティラントーの腕関節を狙えば棍は鬼面の頭部へと向かう。斧槍は突き出された肩部装甲に弾かれ、棍は素早く斧槍の柄で受け止められる。

1 21/08/17(火)23:50:25 No.836285528

「今更黒騎士が一機増えたところでどうにかなると?」  『鬼面』に返答することなく、イシルはひたすら旋律を奏で続ける。 「死後の祈りのつもりなら、そろそろ十分でしょう?」  『鬼面』の一撃は装甲の厚い部分を用いれば耐えられないことはない。こちらの攻撃は最大出力を数度浴びせれば、部分的な破壊は可能だろうが魔力貯蓄量が心もとない。 「いや、貴方こそ祈っておいたほうが良いのでは? 私を倒してもヴォラキーロがまだまだいますよ?」  生き残ったヴォラキーロ達が戦列を整え始める。 「なるほど、ではそろそろ終わりにしましょうか!」  鬼面は斧槍をティラントーへと投げつける。ティラントーはやはり肩部装甲で防ぎ、突きを入れる。体重の乗った斧槍がティラントーをわずかに退け、棍は届かない。そして鬼面の背面武装が再び展開する。鬼面の拳につけられたいくつもの結晶触媒が輝き、大気が揺れる。

2 21/08/17(火)23:50:37 No.836285614

 それに応えるかのように、棍に取り付けられた結晶触媒も輝き始める。  長らく歌で魔導演算機にねじ込み続けた命令が実行される。魔導兵装『鈍風』が本来と異なる魔術を構築し大気を振動させる。埋め込まれた結晶触媒全てが互いに干渉し一つの巨大な魔術を構築する。  鬼面の拳が大気を喰らい、陽炎のように大気に溶ける。そして巨大な衝撃波が発せられる。ほぼ同時に届かなかった棍からも指向性を持った巨大な衝撃波が放たれた。  鬼面の外装が次々と砕ける。ティラントーの外装も負った傷がさらに深くなり限界を超えて装甲ごと剥がされる。お互い質量の為に吹き飛びこそしないがそれがかえって傷を深くしていく。 「黒騎士が、そんなっ!?」 「何言ってるの、聞こえない、断末魔ならもっと大きな声で!!」  

3 21/08/17(火)23:56:17 No.836287848

 お互いの幻晶騎士が絶望的な破壊を免れないという状況で二人の騎操士は全く別のことを考えていた。  一方はジャロウデクが鬼面に比肩する幻晶騎士を開発したという事実、そして情報を持ち帰ることの出来ない可能性への絶望。  もう一方はこの状況を音楽として認識し、それが出来の良いものであるということへの満足感。死を想う胸の高鳴りが、絶望的な状況を名曲に変える。そして鬼神に与えられた音楽とは異なることへのわずかな失望。

4 <a href="mailto:s">21/08/17(火)23:56:33</a> [s] No.836287950

めでたしめでたし

5 21/08/18(水)00:09:17 No.836292601

万が一味方になってもティラントーは必殺技がないんだよね アルディラッドあたりも必殺技らしい必殺技ないけど

6 21/08/18(水)00:22:08 No.836297222

>万が一味方になってもティラントーは必殺技がないんだよね >アルディラッドあたりも必殺技らしい必殺技ないけど 最前線構築するための機動盾騎士だからそんなもん必要ないんだ

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