虹裏img歴史資料館

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21/08/17(火)00:19:01 6月下旬... のスレッド詳細

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画像ファイル名:1629127141837.png 21/08/17(火)00:19:01 No.835950153

6月下旬、阪神競バ場。 日曜日、第10レース。G1、宝塚記念。芝2200m。 天候は曇、バ場は良。 『マヤノトップガン!!!先頭ゴールイン!!!』 先頭でゴール版を駆け抜けたのはマヤトップガンだった。 『やりましたマヤノトップガン、堂々と!!!春のグランプリを制しました!!!』 満員の観客席に満面の笑顔でマヤノトップガンは手を振る。 しかしその反面、彼女の心に物足りなさがもたげてきていた。しかしそれを自覚しないように、彼女は笑顔を保つ。それは今回の宝塚記念のメンツだった。三冠馬であるナリタブライアンは休養のため不参加。同様にスリゼローレルも回避。つまり有力ウマ娘不在の中での宝塚記念だったのだ。 春のグランプリ。栄光あるその舞台。その栄冠を手にしたにも拘わらず、この阪神競バ場の空のように、彼女の心は重たく沈んだものだった。

1 21/08/17(火)00:19:18 No.835950261

控室にて。 「マヤ、おめでとう」 そう声をかけてきたのはマヤノトップガンのトレーナーだった。切れ長の目に浅黒い肌。ツーブロックの髪に整えられた髭。頭には帽子をかぶり、どこか身持ちが軽そうな印象を与える男性である。 「…うん」 沈んだ声でパイプ椅子に座る彼女を見て、彼は苦笑した。 そして、彼女の目の前に膝をつくと 「うりうりうり~~~」 彼女の頭を抱えて右に左にくしゃくしゃと振り回す。 「あ”~~~~なにするの!!!トレーナーちゃ~~~~ん!!!」 頭をぐらぐらと振り回され悲鳴を上げるマヤノトップガン。 それを見てトレーナーは笑い声を上げた。 「おいおいグランプリウマ娘!なんって顔をしてるんだよ!!!」 「わかった!!わかったからやめてよ~~~~!!!」 その言葉を聞き、その悲鳴を聞き、ようやくトレーナーは手を離した。

2 21/08/17(火)00:19:34 No.835950374

「お前は誰が何と言おうとグランプリウマ娘だ。だから笑え、な!」 そして歯を見せてそう言い、マヤノトップガンと目を合わせる。 「…うん!」 ようやく笑顔になったマヤノトップガン。その態度を見て彼は立ち上がると 「よし!ウイニングライブが待ってるぞ!さっさと行ってこい!」 と胸を張り声をかける。 「わかった!トレーナーちゃん、マヤの最高のライブ、ちゃんと見ててよね!」 というと、パイプ椅子から立ち上がり、気合満点に目を輝かせる。 「おう!」 と言い、彼は控室から出ていく彼女に連れ添い廊下に出る。 廊下を駆けて、会場に走っていくマヤノトップガン。時たま手を振る彼女に手を振り返し、彼女の姿が見えなくなるまで彼は廊下に立っていた。 そして廊下から彼女が見えなくなった途端、彼の顔から笑顔が消える。 真剣な顔をしたその姿は、紛れもなくウマ娘を懸命に導こうとする一人のトレーナーの姿だった。

3 21/08/17(火)00:20:02 No.835950547

6月下旬。トレセン学園にて。 マーベラスサンデーとトレーナーはトレーナー室にていつものようにミーティングを行っていた。 「さて、これから夏合宿ですが」 と声をかけるトレーナー。その顔は笑顔で満ちていた。 「その前に、これからのレースの計画を話したいのですが、いかがでしょう」 「マーベラース☆」 そう声をかける彼女に、マーベラスサンデーは笑顔で両手を振り上げる。 マーベラスサンデーがレースに復帰して4戦3勝。さらにその1勝は初めて挑戦したG3レースでの1勝。絶好調のマーベラスサンデーに2人のテンションも上がっていた。 「では」 と一区切りし 「マベちゃんには秋の天皇賞を目指してもらいます!」 と強い信念を持った目でマーベラスサンデーに提案するトレーナー。 「大賛成☆☆☆」 そしてそれにマーベラスサンデーも笑顔で応えた。 天皇賞(秋)。春の天皇賞ウマ娘であるスリゼローレルも早くも参加表明しているそのレース。それはマーベラスサンデーが彼女と交わした約束の地である。いつか一緒に春秋の天皇賞に出る。その約束が、早くも目の前まで迫っていたのだ。

4 21/08/17(火)00:20:47 No.835950847

「天皇賞に出るにあたってですが、G2レースに2回ほど挑戦してもらいます。マベちゃんの目立った成績は、先日勝ちましたG3のエプソムカップだけです。ですからこのままでは実績が足りません」 トレーナーの言葉に背を正すマーベラスサンデー。その態度を見て、トレーナーは言葉を続ける。 「まずは8月下旬、芝2000m、札幌記念。このレースですが、サマーシーズンの総決算とも言われるレースです。七夕賞・小倉記念をはじめとするG3レースで活躍した上がりウマ娘たちが参加するため、例年実力者だらけとなることが必至になるレースです。そして10月上旬、芝2400m、京都大賞典。このレースですが、秋シニア三冠、つまり天皇賞・ジャパンカップ・有マ記念の前哨戦と言われるレースです。この二つのレースにて好成績を納め、天皇賞の出走権を確実にしましょう」 「うん…☆」

5 21/08/17(火)00:21:04 No.835950957

トレーナーの言葉に深く頷くマーベラスサンデー。 初めて挑戦するG2レース。これでいい成績を残さなければ、天皇賞への道が閉ざされる。そのことを考えると普段はテンションの高い彼女ですら真剣な面持ちとなっていた。それを感じ取ったトレーナーは 「ですからこの夏合宿、私も厳しく行かさせていただきます。一緒に頑張りましょう!」 と、真剣な面持ちで彼女に話しかけた。 「うん!一緒にがんばろー☆」 そしてマーベラスサンデーもそれに応えるように目を輝かせるのだった。

6 21/08/17(火)00:21:24 No.835951073

そしてあっという間に夏は過ぎた。 8月下旬、札幌競バ場。 日曜日、第11レース。G2、札幌記念。芝2000m。 天候は曇、バ場は稍重。 最後のホームストレッチ。 『さぁ直線を向いて、抜け出したのはマーベラスサンデー!!!』 先行策を取ったマーベラスサンデー。バ群の中からあっさり抜け出し直線を向いた。 「マーベラァァァァス☆」 そしてお得意の直線巧者の構え。三番手から先頭に立ち、他のウマ娘を離しにかかる。 『後ろから迫るのはメイヨジョーヌ!そしてタイタクシャージャン!』 それに追いすがる2人のウマ娘。だが距離が縮まりそうで縮まらない。

7 21/08/17(火)00:21:40 No.835951182

そんな中 「こんのぉぉぉおおお!!!」 ド根性の末脚でメイヨジョーヌがマーベラスサンデーの背中に迫る。 『残り200を切った!!!逃げるマーベラス!!!差を詰めるメイヨジョーヌ!!!逃げ切るのか!?差し切るのか!?』 そのプレッシャーを背中で感じながらもマーベラスサンデーのテンションが上がる。 (もっと近づいて!もっと足色を輝かせて!!!) 追い詰められているにも拘わらずマーベラスサンデーの心が躍る。 そして 「マーベラァァァァァス☆」 マーベラスサンデーは、初めてのG2レースを1着で終えた。二着のメイヨジョーヌとの差はクビ差だった。

8 21/08/17(火)00:22:23 No.835951452

時は過ぎ、10月上旬、京都競バ場。 日曜日、第11レース。G2、京都大賞典。芝2400m。 天候は良、バ場は良。 第四コーナー。 『さぁ、下り坂を抜けて!これからは最後の直線!!!ウマ娘たち横いっぱいに広がる構えです!!!』 マーベラスサンデーは六番手。しかし左右両方にも肩を並べてウマ娘が走っている。コーナーを出て殺到するウマ娘たちを見て、マーベラスサンデーは心をときめかせていた。 (すごい!すごい!!!みんな輝いてる!!!みんなマーベラスだよ!!!) 興奮した心を抱え走るマーベラスサンデー。しかしハイテンションな心を抱えても、そのレースに向かう頭は冷静だった。 「マーベラァァァス☆☆☆」 得意の位置取り、前にはウマ娘の影はいない。そして繰り出す抜け出し準備。しかし他のウマ娘も負けてはいない。内から外から同様に直線を向き加速し始める。 『直線を向いて!抜け出してきたのはマーベラスサンデー!!!タイラジュビロ!!!カミノマジシャン!!!ダンツパートナーも続いているぞ!!!』

9 21/08/17(火)00:22:57 No.835951637

マーベラスサンデーと2人のウマ娘が肩を並べてホームストレッチを駆けていく。左右のウマ娘の顔を見て、マーベラスサンデーは胸をときめかせる。 彼女の悪癖、物見のクセ。他のウマ娘を見すぎるクセがもろに出ていた。しかし、心にともるは天皇賞。スリゼローレルとの約束のレース。 『残り200!!!200を切った!!!まだ並ぶ3人!!!マーベラス!!!タイラ!!!カミノマジシャン!!!』 200mを切ったマーベラスサンデーの心に甦ったもの。それは天皇賞(春)でのスリゼローレルの姿。その時、優勝した彼女は、一瞬手を振るのを止めた。そしてマーベラスサンデーを見た。その時の思い出が心に現れる。その時の彼女のメッセージが彼女の心に光を灯す。 (今度は、マベちゃんの番だよ) その時、覚えた想いが再び彼女の心に蘇りそして 「マァァァアアベラァァァス☆☆☆」 それが直線巧者の姿勢となって彼女の脚にときめきをもたらす。

10 21/08/17(火)00:23:14 No.835951728

「くっそぉぉぉぉお!!!」 「負けるかぁぁぁあ!!!」 だが、2人のウマ娘も負けてはいない。末脚を繰り出し彼女に食らいつく。 しかし 『残り100m!!!マーベラス僅かに抜け出した!!!』 先頭に立つはマーベラスサンデー。そして 『マーベラスサンデー!!!一着でゴールイン!!!』  そのまま京都大賞典のゴール板を駆け抜けた。二着のタイラジュビロとの差は1/2差だった。

11 21/08/17(火)00:23:41 No.835951887

翌日、月曜日。 マーベラスサンデーとトレーナーはこれまでのレースの回顧を行っていた。 8月下旬、G2レース、札幌記念で一着。 10月上旬、G2レース、京都大賞典で一着。 さらについでに出た9月上旬、G3レース、朝日チャレンジカップで一着。 「はい、十分すぎる成績です!」 そう満面の笑顔でトレーナーはマーベラスサンデーに答えた。 「やったね☆」 マーベラスサンデーもその言葉に笑いかけ応える。 天皇賞(秋)に出走するにあたり十分すぎる成績を彼女は納めた。足切りなどあり得ない、最高の成績である。 さらに数字だけ見てみると、ここまでのマーベラスサンデーの成績は9戦8勝。うち掲示板を外したことは一度もないのだ。

12 21/08/17(火)00:24:25 No.835952126

「登録しますね!秋の天皇賞!」 その言葉にマーベラスサンデーは心を躍らせ 「マーベラァァァアアアス☆☆☆」 席を飛び上がって喜んで見せた。 あと2週間後。ついに約束の舞台がマーベラスサンデーの目の前に広がるときが来たのだ。はしゃがずにはいられない彼女である。 その反面、トレーナーは言いようのない不安を抱えていた。確かにG2レースで2勝したものの、両方とも僅差である。全力を出せば、マーベラスサンデーはもっと差を広げられたとトレーナーである彼女は感じている。 物見のクセが治っていないことに、一縷の不安を抱えつつも、マーベラスサンデーに笑顔を見せるトレーナーだった。 こんな話を私は読みたい 文章の距離適性があってないのでこれにて失礼する fu255347.txt

13 21/08/17(火)00:25:33 No.835952516

今のところクセはいい方向に作用してるけども…

14 21/08/17(火)00:28:33 No.835953565

「いいレース」だけ考えてては勝てない相手がGIにはひしめいてるからな…

15 21/08/17(火)00:33:06 No.835955121

おい待てェ マーベラス本気で頑張ってくれェ

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