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信じら... のスレッド詳細

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21/08/12(木)14:15:13 No.834064230

信じられない。と昼時のカフェテリア、とある席を通り過ぎた者達の口々からそんな声が聞こえてきた。 だがそれほど衝撃的なのである。あのオグリキャップが、昼食を前に箸を止めているというのは。 「体調不良かしら」「医者を呼んだ方が…」「いやオグリ先輩なら体調が悪くてもアタシたちの数倍は食べるはずよ」 誰一人として満腹なんだろうという考えは起こさずに噂を立てながら通り過ぎていくが、渦中のウマ娘としてはただ何となく、目の前の人間を見つめていただけである。 「オグリ? どうしたんだ、俺に何かついているか?」 テーブルを挟んだ向かいの人間、自分のトレーナーから声をかけられて、オグリキャップはやっと自分の箸が止まっているように気づいたようだった。それが自身でも意外だったのか、箸を数度カチカチと開いたり閉じたり、山盛りの白米だけを口に運んだりして不思議そうにトレーナーをまた眼に収める。 「いや…君の食べ方を見ていたんだ。たぶん」それは自分でもよく分かっていないような言い方だった。 「食べ方?」

1 21/08/12(木)14:15:42 No.834064367

「君の食べ方は私と違って、ゆっくりで、綺麗だから。思わず見とれていた…のだと思う」 「ははは、それは嬉しいけど、ただ箸の進みが遅いだけだよ。それよりも俺はオグリの食べ方が好きだな」 「好き…?」 軽やかに微笑むトレーナーになぜだか頬が暖かくなるのを感じながら、葦毛の健啖家はすでに米粒一つもなくなっているどんぶりを覗き込む。 故郷のトメさんなどには、お米一つでも大事に食べる子と褒められていたが、好きだと言われたことはなかった。それが何だか胸がくすぐったくて、へその所がムズムズともどかしい。 「そうか…それじゃあ安心してくれていい、君にはもっと私が食べる姿を見せてあげられる」 「えっ、もうそれおかわり三回目じゃ…」

2 21/08/12(木)14:16:13 No.834064511

席を立って厨房の方へお代わりの声をかけに行くオグリを見送りながら、トレーナーは自分の手に握られているおにぎりに目を移した。 「俺のおにぎりの食べ方って綺麗なのかな…」 「ちょい、アンタらウチが隣にいること忘れてへんやろな」 それからというものの、二人は良く食事を共にするようになった。オグリキャップはやはりトレーナーを時折口を止めて見つめていて、トレーナーの方は食べるところを見られるのが好きになっていたオグリのために、箸を休めてその口に運ばれていく料理たちをお見送りしていた。 だからだろうか、二人に見つめ合う時間ができた。 「…食べないのか?」 「え? あ、あぁ…」 今日もまた、カフェテリアで天を衝くように盛られたカツ丼を前に箸を止めていたオグリキャップは、トレーナーから声をかけられるまでその瞳と瞳を合わせていた。

3 21/08/12(木)14:16:48 No.834064666

「す、すまない。またトレーナーの食べ方を見てしまっていた。のだと思う」 「もうおにぎり食べてしまったから、あとはオグリを見てるだけにするっていったじゃないか、ついさっき」 「え? そう…だったな…うん」 カツを一枚口に含んで、咀嚼しながら葦毛の腹ペコ娘はかぁっと頬がテーブルに備え付けてある紅ショウガのように赤くなるのを感じた。 今までトレーナーを見つめていたのは、食べ方が綺麗だからじゃなかったのか。じゃあどうして私は彼を見つめてしまっているのだろう。そう考えると何故だかどんどん頬に朱が染まるのを止められない。 「大丈夫かオグリ、この頃なんだか変だぞ?」 「それは、たぶん…君のせいだ」 その言葉にへ?とトレーナーは口に出した。そして数秒もすると自分のせいで担当が不調になってしまったのかと不安になって、記憶の中に原因を探り始める。 昨日の昼食で交換した自分が握ったおにぎりに何か不備があったのだろうか、それとも前に夕食でちょっとお高めのレストランに連れて行って二か月分の給料をパーにしてしまったことがバレたか。いやいやそれとも…。

4 21/08/12(木)14:17:58 No.834064994

「げ、原因を教えてくれ! 不満でもなんでも次までには必ず治すから!」 ついにたまらずほぼパニックになりながらいきなりそんな言葉を口から飛び出させたトレーナーに、オグリは驚きながらも微笑んだ。 「君に不満なんてあるわけない。本当だ」 「じゃ、じゃあどうして…」 その言葉に、葦毛の乙女は恥じらいで少しだけ俯きながらトレーナーを上目遣いで見た。 「それが私にも解らないんだ。君とこうやって向き合うと、生まれつき心臓は丈夫なのに胸がどきどきしてなんだか苦しい。瞳を見るとなんだか頬が熱くなる、唇を見るとなんだかきゅうとお腹が鳴ってしまう。トレーナー、これは一体何なのだろう…君なら教えてくれるだろうか」 ピタリとカフェテリアの賑やかさが時が止まったかのように失われた。誰もがそのオグリキャップの言葉に固まっていたので、実質時が止まったと言えるかもしれない。 そして周りのウマ娘の目だけがぐりっと、トレーナーの方に向いていて返しの言葉に期待していた。下手なことを言うとお前を切り刻んでカラっと上げるぞというような圧も含まれている。

5 21/08/12(木)14:18:39 No.834065210

「そ、れは…なんでだろうな…うん…」 ヘタレが、と周りの数人が心の中で毒づいた。基本みんなトレーナーと担当の恋愛はご法度だということなんて知ったこっちゃない。 「でも、俺もオグリを見てると…そうなるよ。うん。だから、まぁ変なことじゃない、ゆっくり答えを探していこう」 「そうか…! トレーナーも同じだったんだな、それなら安心だ。だったらこの気持ちはきっと、素晴らしいものなんだろう。ありがとうトレーナー、私と同じ気持ちで」 瞬間、限界まで空気を入れられた風船が破裂したように、カフェテリアは黄色い声とひょえええという叫び声とどんちゃん騒ぎによって喧騒に包まれた。 「これは…何かイベントでも始まったのだろうか」 「あー…うん、それよりもお代わりはいいのか?」

6 21/08/12(木)14:18:52 No.834065271

「そうだった、お願いしてくる。まだまだ君に見せたいからな」 その中でオグリキャップだけがいつものように平らげたどんぶりを持って厨房へと歩いて行った。 「なぁ、今度からトレーナーがいるならウチを誘うなって、オグリに伝えてくれへんか?」 それは穏やかな昼下がりの事だった。

7 <a href="mailto:s">21/08/12(木)14:20:53</a> [s] No.834065791

乙女オグリ推進委員会の者ですもっとオグリがイチャイチャするものが増えることを強く望みます

8 21/08/12(木)14:21:18 No.834065888

延々と惚気を見せつけられるタマかわいそ…

9 21/08/12(木)14:21:38 No.834065971

惚気やんけ…

10 21/08/12(木)14:21:56 No.834066067

なんやねんこの飯が甘くなる空間は…

11 21/08/12(木)14:21:57 No.834066077

うちは絶対ああはならんで

12 21/08/12(木)14:22:05 No.834066118

NRKやんけ~

13 21/08/12(木)14:22:34 No.834066260

なんやこいつら…

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