虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

1 21/08/04(水)02:41:16 No.830923702

「じゃあそれで」 そうしてトレーナーさんと夏祭りを回ったが、意外にもトレーナーさんが夢中になったのは射的だった。 「……まだやるんですか？」 「ここでやめたら負けな気がする」 既にトレーナーさんが狙っている物の値段よりもつぎ込んでそうなので、代わりに私が撮ろうかと尋ねたが断られた。 「確かにグラスに任せたら取れるかもしれないけどさ、私にも射的において重要な能力を持ってるんだよ」 「何ですか？」 「経済力」 「射的でそれを使用したら負けだと思います」

2 21/08/04(水)02:41:31 No.830923729

そうして経済力を駆使してよく分からないぬいぐるみを手に入れたトレーナーさんは満足気な表情をした後、直ぐにこのぬいぐるみの扱いに困っていた。 「……合宿でのトレーニング頑張ってるよね」 「はいはい、私が貰いますよ」 「ごめんねー、これ以上家に物増やすとまた怒られちゃうからさ」 誰にですか？と聞いてもどうせただの友人だよという返答しか返ってこないのは分かっているので、出掛けた言葉は胸の奥に押し込んでおいた。 「っと、そろそろ花火の時間だけど、また去年と同じ場所でいい？」 「はい、大丈夫ですよ」 そうして去年と同じ神社へ向かったが、やはり人がおらず喧騒から離れ、さっき居た所とは別の世界に来たような奇妙な感覚を覚える。

3 21/08/04(水)02:41:43 No.830923761

そしてその現実離れした空間に呑まれて、つい口から漏れ出てしまった。 「トレーナーさん……ありがとうございます」 「え？」 何に対して？と言いたげな表情で私を見てくるが、自分でも思いもしない内に口に出ていたので、上手な返答が出来ず言葉に詰まっていると、表情を柔らかくしてトレーナーさんが言葉を返してくれた。 「グラスもありがと」 「……何に対してですか？」 「んー……私の担当になってくれたことかな？」 トレーナーさんの言葉が簡単に言葉の詰まりを解いて、胸にすとんと落ちる。

4 21/08/04(水)02:41:53 No.830923790

「こちらこそありがとうございます、私のトレーナーになってくださって」 「……何か変な空気になっちゃったね」 花火が打ち上がる。視界全てが夏の風物詩で埋まり、お互いに言葉を届けるために声を少し張り上げなければいけなくなる。 「あの……何年経っても、また一緒に花火を見てくれますか」 空気に呑まれて酔っている、そう言われても否定できないという事は理解している。それでも聞きたくなってしまったんだ。 「んー、グラスが私の担当で居てくれる内は大丈夫だと思うけど、そっから先はちょっと厳しいんじゃないかなあ」

5 21/08/04(水)02:42:05 No.830923816

「……トレーナーさんってそこで素直にはい、って言わない人ですよね」 「無責任な約束をしちゃうと後々恥ずかしいことになったりするからね」 「じゃあ、私が引退するまでは毎年一緒に花火を見てくれますか？」 「はい……これでいい？」 「はいはい、それで大丈夫ですよ……しかし引退するまでと言いましたけど、自分が引退するところなんて全く想像がつきませんね」 「学生時代なんてそんなもんだよ」 自分の引退後、その時私がどうなっているのかは分からないけれど、きっとその時までトレーナーさんは隣に居てくれるのだろうと、確証のない自信が胸の奥底に生まれていた。

6 21/08/04(水)02:43:21 [s] No.830923997

一旦おしまい これまでの sa81125.txt これまでのふたなりif sa81126.txt

7 21/08/04(水)02:56:32 No.830925560

これからもフタナリifは続いてくれるんだろうか

8 21/08/04(水)03:06:05 No.830926539

久しぶりだと思ったら前回とふたなりif見逃してたなぁ

9 21/08/04(水)03:19:25 [s] No.830927674

>これからもフタナリifは続いてくれるんだろうか グラスだけじゃなくてたづなさんでも書く予定

10 21/08/04(水)03:33:02 No.830928800

ふたなり継続ありがたい…