21/07/22(木)00:39:43 以前…... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1626881983677.png 21/07/22(木)00:39:43 No.826003846
以前……軽く15年は前の事だったろうか?初めての受験で進路に迷っていた俺は授業の一環でトレセン学園のトレーナーの話を聞く機会に恵まれた。 『えー……多分、お…あ、違うか、私の事を知っている人はここには居ないと思います。』 教室の沈黙が何よりも雄弁に肯定を返す中、黒板の前に立った彼は教育実習生の様に見えた。それくらい若く見えた。 『でも、私が担当しているウマ娘の名前は……知っている、と思います。』 カリカリ、と彼が黒板に書いた名前に教室がざわめく。それくらいその当時の世間を騒がせたウマ娘の名前だったから。 そうして話し始めた内容は主にトレセン学園での出来事が主だった。……今にして思うとトレーナーの半生やなんでトレーナーになろうとしたのか、といった事を話しても昼寝の時間になるだけだろう、なんて彼なりの気遣いだったのだろう。 まあ、そんなこんなでゴシップ誌などを買うという発想を持たない10代中頃の少年には初耳な裏情報を数十分間の間質問を織り交ぜながら話す彼の姿は無知な学生に親近感を覚えさせるのに十分だった。
1 21/07/22(木)00:40:23 No.826004056
そしてあと数分でチャイムが鳴る、という時間になって初めてプリントを配り出す。 『上手く話せるか分からなかったからトレーナーを目指すに当たっての進路はそこに纏めてみました。……何か聞きたい事とかあるかな?』 そう、おそらくは自分自身に苦笑しながら最後の質疑応答の時間を設ける彼。思わず手を上げてしまう。聞きたい事があったから。 『おっ?えっと……そこの君!えっと右の!』 なにかな?……そう指名された──隣のクラスのイケメン。 『──トレーナーって恋人とかって居るんですか?』 『そうきたか~……うーん、夢を壊す様だけど…居ないかな?』 笑いに包まれる教室とスピーカーから流れるチャイム。隣の君は?と促す彼に精一杯の作り笑いでいえ、大丈夫です。と返す俺。 『そう?……ならこれで終わるよ。…今日はお話聞いてくれてありがとう。トレーナー業についてはあんまり話せなかったけど……興味を持ってくれると嬉しいです』 そう締めて教室を出る彼とそれに続いて各々のクラスへ戻る生徒達。廊下に小さくなっていく背中が見えて──駆け出していた。やっぱり聞きたい事があったから。
2 21/07/22(木)00:40:52 No.826004208
『……やっぱり来たね?』 階段の踊り場で立っていた彼はこうなる事を見越してたみたいで── 『何が聞きたいかな?特別に何でも教えるよ』 震えそうになる声をなんとか律しながら質問した。 ──トレーナー業って楽しいんですか? ……言葉にしたらなんとも単純で幼稚で一周回って不可思議な質問。それを聞くか?と発言したあとすぐに考えてしまったのも覚えている。 でも 『楽しいよ。……担当ウマ娘──いや、彼女がレースで、ライブで……輝いている姿をとても間近で見られるから。なによりも……そんな彼女を支えられるのが……とても楽しい。きつい事もあったけど……それ以上に楽しいし……愛おしい』 そう言いきった彼の姿はウマ娘にも負けず輝いて見えた。そしてそれは── 『俺……あ、僕もトレーナー、目指してみます!』 こんな宣言をするに足るものだった。
3 21/07/22(木)00:41:10 No.826004291
つんつん、と頬を突かれる感覚で夢から覚める。 なんだか懐かしい夢だった。 「およ?おはようこざいます?」 セイちゃんの指定席で珍しく寝てるので驚きましたよ☆と言ってくるもうすぐ5年目の付き合いに突入する担当ウマ娘。まだはっきりとしない意識で見渡すと釣り竿やら何やらで5年前より物が増えて手狭になったトレーナー室。 つい言葉に出た 「おはよう……なんか新鮮だな」 普段とは逆に起こしてもらって目覚めるのは。 それにスカイは照れた様な素振りを見せながら 「トレーナーさんに起こされるの好きなんですよ☆きゃはっ☆」 なんて返してくる。
4 21/07/22(木)00:41:25 No.826004370
なら、仕方ないか、と寝ていた手前そう答えると 「だからこれからも起こしてくださいね?」 なんて言ってくるのだ。 「それは昼寝以外も起こしていいのか?」 例えば……休日の朝とか昨日みたいに、そう聞くと露骨に目を逸らす。 「……お願いします。朝も……昼も……」 セイちゃんを起こしてください。 赤く頬を染めて請われる。 「うん、任された」 そう答えるのに迷いは無かった。数ヶ月前に渡したアレに嘘は無いから。
5 21/07/22(木)00:41:38 No.826004433
──15年前階段の踊り場で彼と別れる前の最後のやり取りを何故か思い出す。 『あ、せっかくだし……ここから先はオフレコでお願いね?』 周りの目を気にしながら小声で耳打ちしてくる彼。思春期故に気になってしまう現金な自分。 『偉そうにトレーナーについて説明したんだけどさ……実は今度引退して結婚するんだ。……驚いた?』 コクンコクン、と頷く俺になら教えたかいがあったよ、って笑う彼。 ……結婚相手については結局聞くことができなかったが今なら解る。彼の愛バなのだろう、と。 ……同じ立場になれたから解ったのはなんだか皮肉に感じたが。
6 <a href="mailto:s">21/07/22(木)00:42:07</a> [s] No.826004579
セイちゃんについて書きたいのかトレーナーについて書きたいのかよくわからなくなった
7 21/07/22(木)00:43:25 No.826004979
珍しく強めのセイちゃんだ
8 21/07/22(木)00:44:08 No.826005199
いい気分で寝れる
9 21/07/22(木)00:53:30 No.826007808
やっぱりトレーナーっていう職業の寿引退率って…
10 21/07/22(木)01:13:30 No.826012863
>珍しく強めのセイちゃんだ > 「……お願いします。朝も……昼も……」 >セイちゃんを起こしてください。 >赤く頬を染めて請われる。
11 21/07/22(木)01:22:31 No.826015046
>やっぱりトレーナーっていう職業の寿引退率って… 少なくとも一人引き込んだからセーフ! …セイトレさんも勧誘頑張ってください
12 21/07/22(木)01:24:02 No.826015351
>やっぱりトレーナーっていう職業の寿引退率って… だからこうして未来ある若者を引きずり込む
13 21/07/22(木)01:30:25 No.826016827
お互いに染めあってる感じで…いいですね