虹裏img歴史資料館

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21/07/19(月)12:01:21 緑あふ... のスレッド詳細

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画像ファイル名:1626663681304.jpg 21/07/19(月)12:01:21 No.825087538

緑あふれる里山の夏の山 セミの鳴き声響くその麓には古民家が佇んでいる 内装は純和風となっており、縁側がある部屋には蚊帳が設置されて扇風機が定期的に首を振りながら風をまき散らしている まき散らされる風は蚊帳の中で寝ているウマ娘に心地よさを与え、ウマ娘は仰向けになりへそを出しながらだらしがなく惰眠を貪る ウマ娘はダジャレが書かれたTシャツにホットパンツという非常にラフな格好であり、今日がオフの日であることを示す と・・・そこに 「ルナー、お昼ご飯できたぞー」と彼女の耳に声が届き耳がぴくぴく動き始める ルナと呼ばれ普段ではありえないような油断しきった寝姿をしているウマ娘…シンボリルドルフそれが彼女の名前である

1 21/07/19(月)12:02:01 No.825087713

声をかけられ彼女は惰眠を貪るのをやめ体を起こす 「あれ…ここは…?」と寝ぼけまなこであたりを見渡す 「お、起きて来たなルナ、田舎だからといって油断しすぎだぞー」 (田舎…そうか私は休暇に来ていたんだったな) 休暇…URAファイナルで活躍した彼女はその後、取材・生徒会・レース・トレーニング・広報活動などなど休む暇もなく働き続け、気が付けば残暑が残る夏の終わり ようやく様々なことがひと段落した彼女とトレーナーはとある里山の古民家を借り長めの休養を取ることにしたのだ トレーナーが「ルナ」と二人きりの時にだけ使う名前を呼んでいるのも今日はここにいるのは二人きりだからだった

2 21/07/19(月)12:02:42 No.825087883

蚊帳の外にようやく出てきた彼女は縁側より外を見る ーーー庭には地面に植えられたひまわりと夏の終わりを告げるツクツクボウシの声、そして遠くには入道雲が沸き立っていた (山紫水明とはまさにこのことかもしれないな…) 「おーい、ルナーお昼ご飯できてるぞー」 「わかった、今行く」 晩夏の光景に浸る彼女だったが、トレーナーの声がする茶の間に向かうのだった…

3 21/07/19(月)12:02:57 No.825087955

畳の床・古い壁掛け時計・真ん中には年季の入ったちゃぶ台、茶の間に入った彼女を待ってていたのは昭和の時代を切り取ったかのような古い家具たちだった 「すまないトレーナー君、遅くなった」 「ん」 彼女はちゃぶ台にある大き目のうつわに入っている麺を見て言う 「ふむ、素麺か…」 「ルナは嫌いか?」 「いや、実は始めて食べるんだ…なんせ実家は厳格な両親がいるから啜るというものは食べさせてもらえなかったんだよ」 「なるほど」 「これを食べられるだけでも、ここに来たかいがあるかもしれない…さてトレーナ君、ぬるくなる前に食べてしまおう」 「んじゃ、食べますか」 「「いただきます」」彼女とトレーナーの声が重なる

4 21/07/19(月)12:03:37 No.825088145

彼女とトレーナーの二人の空間に暫く素麺を啜る音だけがしばし響き… 「「ごちそうさまでした」」茶の間に二人の声がする 「まさに、清風明月のような心地よさだ、皆が夏場はコレといって食べる気持ちがわかるよ、トレーナー君もしよければだが、また作ってほしい」 「もちろん、お安い御用…だけど」 「だけど?」 「色付きの麺はもう少し増やさないとな?ルナちゃん」そう言いながらトレーナーはニヤリと笑う 食事中、色付きの麺はことごとく彼女が食べてしまったからだ 「ははは、トレーナー君すまなかった、だがテイオーがいつも真っ先に取ってしまうって言っていた理由は少しわかったような気がするよ」 そして二人は笑い合う

5 21/07/19(月)12:03:54 No.825088242

「ではそろそろ片付けるよ、ルナはここに来たばっかりだしもう少しゆっくりしているといいよ」 「いや、トレーナー君ばかりにやってもらっても…いや、では今日は思いっきり甘えさせてもらおう」 彼女は聡い、今日トレーナーは彼女に羽を伸ばしてもらおうとしているのを彼女自身気づいている…ゆえに 「ではトレーナー君後はよろしく頼むよ…そうだな、私は縁側で扇風機でもあたりながら食後の昼寝でもさせてもらうよ」 彼女はここでしかできないことをすると決めたのだった

6 21/07/19(月)12:04:16 No.825088335

里山がある田舎のそれも晩夏、残暑は残るものの直射日光さえ浴びなければ扇風機でも十分に涼が取れる 扇風機の風にあたりながら、横になりながら縁側から見えるその風景を眺める (そういえば、テイオーはカブト虫を取ったり川で遊んだりと良くいっていたものだな… ふむ、ならばテイオーに対抗してクワガタ虫を取ったりするのも良いかもしれないな…いやいやトレーナー君と川で遊ぶのもよいかもしれない) 縁側から見えるまさに夏模様の景色でまるで「遊び羽を伸ばせ」と言っているようで彼女の脳内にはこの里山でやりたいと思うことが次々と湧いて出てくる とそこに… 「ルナー、ここの村に食品を売っている個人商店があるらしいから一緒に行かないか?」 トレーナーの呼ぶ声が聞こえてくる、そして彼女は 「もちろん、支度するから少し待っててほしい」そう言い、外出する支度をするのだった

7 21/07/19(月)12:04:41 No.825088434

少し時間がたち空は黄金色になる夕刻 二人は、レジ袋を手に個人商店からの帰り道を歩いていた 「トレーナー君、今日は全部君にお任せしたけど、明日からは私が…いや私も一緒に作るよ」 「ああ」 そんな会話をしながら歩いていると、遠くに見える夕日に照らされて黄色く輝く入道雲が彼女の目に入る 晩夏の夕暮れ、虫の鳴き声しか聞こえないこの場所で一際印象深く目に残る入道雲 彼女は何かにとりつかれたかのように入道雲を見入る

8 21/07/19(月)12:05:06 No.825088562

その時である 「……」 何かが聞こえたような気がする 彼女は耳をそばたてる 「……チョー」 入道雲の方から声が聞こえてくる 「…キテ…チョー」 虫の鳴き声がだんだん強くなり… 「オキテカイチョー」 そして入道雲が一段と輝きを増したその瞬間 「起きて!会長!」 あの晩夏の里山は消え、彼女はその声とともに夢から目を覚ますのだった

9 21/07/19(月)12:05:31 No.825088655

「うーん…えーとここは…」 「あっ!会長やっと起きた!」 「ああ、テイオーか…そうか、少し居眠りをしてしまったようだ…起こしてくれてありがとうテイオー」 「へへっ!」 彼女が目覚めたのは学園の合宿所にある生徒会にあてがわれた作業部屋、そこで彼女は連日の疲れからか居眠りをしていたのだった 「それで、テイオーはどうしてここに来たのかい?」 「あのね、もう少しで合宿も終わりそうだから、みんなで花火で楽しもうってなって、それで会長を誘いに来たんだ!」 そう言い、トウカイテイオーは楽し気に花火を取り出す 「ふむ…だが…いや、私も参加させてもらおうかな」 「やったー!会長ー大好き!」 彼女は「だが仕事がまだ残っているから」と言いかけてやめた、目の前にいるトウカイテイオーにあの夢の残滓が残っている…そんな気がしたからだ

10 21/07/19(月)12:06:01 No.825088785

「そうだ、テイオー?バケツとゴミ袋の準備は出来てるかい?」 「うん!もちろん!」 「それと、トレーナー君やほかの子たちにも声をかけて、たくさんの人でやろうじゃないか」 「それじゃ、ボクもっといろんな人に声をかけてくるねー」 そんなやり取りをしながら二人は部屋を出る 誰もいなくなった部屋、窓の外には入道雲が夢と同じように黄金色に輝いていた…

11 21/07/19(月)12:06:14 No.825088847

どこからか飛んできた吹き矢に塗られていた毒によってこんな感じのウマ娘の夏の一日が見たくてたまらない欲求が噴き出してしまった 何とか解毒できたのでこれにて失礼する

12 21/07/19(月)12:15:44 No.825091633

ルナちゃんとトレーナーの夏の日が見たいだけの一生だった

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