虹裏img歴史資料館

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21/07/18(日)23:58:05 甘奈 P... のスレッド詳細

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画像ファイル名:1626620285147.jpg 21/07/18(日)23:58:05 No.824982658

甘奈 Pドル 花火 -R-18

1 21/07/19(月)00:01:41 No.824984032

ちゆ…

2 21/07/19(月)00:06:36 No.824985858

花言葉のない儚い灯りがぱちぱちと咲いて、そして、ぽとり。 「プロデューサーさん、落とすの早いよ~」 線香花火のゆらめきのように、ランタンに照らされた甘奈の髪も艶めいていた。浴衣はいつかに見せてもらった時のもので、奇妙な懐かしさ。 「そうか?きっと、甘奈が上手なんだよ」 シェイクスピアの言葉ではないが、咲いたと思えば散る仮初の花弁は人生そのもののようにも思える。そんな感傷を抱くのはきっと、火薬の匂いと夜の闇の静けさのせいだろうか。 「そう、かな……?うん、そうかも」 二人が、二人だけで会うにはいつも理由が必要だった。例えば今日は花火をしよう、なんて。甜花は残念ながら寝るので不参加だった。或いは気を利かせてくれたのかもしれない。 河川敷を吹く風は柔らかく、小さな灯り達を揺らす。こんな弱い風でも揺れて、花弁は落ちてしまう。 「……プロデューサーさん、もうちょっとだけ、いいかな……?」 「ん?花火はまだあるぞ?」 「そっか~、良かった☆[ 甘奈の線香花火はもう少し粘っていた。夜に飲まれそうな小さな光が震えている。 「……ああ、そうだな」 もう少しだけ、二人きりでいる理由が欲しい。

3 21/07/19(月)00:18:32 No.824990255

ほんの数分の抵抗でも、永遠程に価値がある。あと五本。二人で同時に火をつける。お互いの花火を見つめる。小さく弾けて、弾けて、そしていずれ無言になるまで。 「……あー、また甘奈より先に落ちた……。やっぱり上手いよ、甘奈」 「えへへ、持ち方にコツがあるんだよー☆角度をちょっとつけて……」 あと三本。やはり甘奈の方が後まで残る。 「おっ、本当だ!さっきより長持ちしたな!」 「プロデューサーさん、飲み込み早いよ~」 「ははっ、甘奈の教え方が上手だからだよ」 10秒長く一緒にいる為に、こんなにも。愛おしさの魔法は時々、不可能を可能にする。 「……あっ、同時だ」 最後の一本。偶数のものを買ったのだが、どこかで落としてしまったのだろうか。 「ねえ、プロデューサーさん。よかったらこれ、二人で持たない?」 「ああ、もちろん。……二人の花だもんな」 「確かに。えへへ、じゃあお手を拝借……」 弱々しい光が、闇に飲まれようとしている。重なった手のひらがしじまに飲み込まれないように硬く握る。最後が来るまでの数十秒、硬く硬く。 「……あっ──落ちちゃった……えへへ、でも、新記録かな?」

4 21/07/19(月)00:20:56 No.824991115

ちゆ~

5 21/07/19(月)00:23:55 No.824992211

>ちゆ… はじまりはじまり >ちゆ~ めでたしめでたし

6 21/07/19(月)00:29:13 No.824994179

ランタンと星と街のそれぞれの明かり。花火はもうそれらのどこにもなくなっていた。 「最後に、一番長く出来たな。甘奈のおかげだよ」 「ううん、違うよ。二人の、だから」 プロデューサーさんが初めて甘奈の気持ちをキャッチしてくれた時から始まったみたいに、二人で手を取り合って火をつけたから終わったの。 「ああ、そうだな。……よし、片付けだけ先にやっちゃおう。荷物持ったか?」 「甘奈はばっちりだよっ☆」 急に、風の音が大きくなった。遠くの車の音も、何かの虫の鳴く声も。二人だけの世界のバリアから放り出せれていた。 「意外とすぐだったね……一時間も経ってない」 閉じ込めてくれた花火はもうないんだ。ランタンのスイッチを消すと、目の前の大好きな人の顔すら曖昧になる。 「……甘奈」 「んっ……はい」 夜の中で、プロデューサーさんの声だけが急に鮮明に戻った。他の音の全部が遠くに行っちゃって。 「好きだよ、甘奈が大好きだ」 「うん、甘奈も、です……えへへ、改めていうの、ちょっと恥ずかしいね」 暗い暗いここは、星の明かりも届かない。火薬の匂いだけがここに咲いていた明るい花のことを知っていて、それを忘れないために息を大きく吸う。

7 21/07/19(月)00:38:12 No.824997367

唇と唇が、重なった。背の高い草や、夜の帷の中できっと、誰にも見えないから。 「甘奈っ、好きだよ、大好きだら甘奈が好きだ」 「プロデューサーさん、甘奈もっ……甘奈も、大好き……」 頼りない灯りの中で見つめあったり、揺るぎなくそこにいるお互いの手を握ってみたり。喉がカラカラになるまでってくらいに何度も何度も気持ちを伝えあいながら。 いつの間にかぎゅってしてもらっていたり、頭を撫でてくれたり、スーツじゃないプロデューサーさんの胸はなんだかいつもより厚く感じたり。やがてここにあった花火のことを忘れてしまうまで、気持ちを確かめあった。 「……ってもうこんな時間だ!送るよ、甘奈。車に行こう」 当然のように手を引いてくれたのはきっと、夜に甘奈が飲まれないためなのかな?もう少しだけ、もう少しだけこのまま、なんて考えると終わらないから。 「うん☆楽しい時間ってあっという間だよね~」 「そうだなぁ。……いつも、甘奈といる時間はすぐに終わっちゃう気がするな」 「それ、甘奈も!」 でも、また会えるから、またこんな時間があるんだって思うと、寂しくはないんだ。 二人を閉じ込める魔法は当分解けそうにはなかった。

8 21/07/19(月)00:46:04 No.824999844

誰か足りないと思うちゆ

9 21/07/19(月)00:55:34 No.825002637

幸福論誕生☆

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