21/07/13(火)23:08:54 前回ま... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1626185334788.png 21/07/13(火)23:08:54 No.823240813
前回までです sp92545.txt
1 21/07/13(火)23:09:20 No.823240954
ヒトとウマ娘─この二種の歴史は古く、自らの足りぬ部分を互いで補完し、その結果古代より文明の繁栄に至る。 しかしながら。肉体的に圧倒して劣るヒトがなぜウマ娘に駆逐されず、隷属されず、対等な関係を築き上げることが出来たのか─考古学者による議論の尽きぬ議題である。 そして一説には、どの時代にもヒトが対ウマ娘の兵器を備えていたからではないか、というものがあった。 人間を遥かに上回る膂力、耐毒性能、肉体的・精神的耐久力…一見すれば生物としてヒトを上回る彼女達。なれど、ヒトは技術と科学により彼女達の特長を反転させる事に成功する。 対ウマ娘指向性近接閃光銃─通称「スタン・ライフル」 近距離から特殊な光を高出力で浴びさせることにより、脳を異常興奮させ一時的に行動不能にさせる。 極めて発達したウマ娘の視覚器官を逆手にとった非致死性の兵器であり、本来は暴動を鎮圧させるため警察や自衛隊が使用する。
2 21/07/13(火)23:09:37 No.823241037
そして─その閃光を喰らったトウカイテイオーは今、地面に伏していた。 黒服の男は腕に仕込んだスタン・ライフルを袖内に格納し、トウカイテイオーの前髪を掴んで顔を覗き込んだ。 「う…ぁ…。」 目は虚ろに、身体中がわずか痙攣し涎と涙を垂れ流すトウカイテイオーの顔を見ると、男はにやりと邪悪に笑った。 「ククク…ざまあねえな。いつも見下してきた人間にぶちのめされるのはどんな気分だ?…なんて、聞こえてねえか。」 髪を手放すと、トウカイテイオーの頭部がゴンッと床にぶつかる音が響く。黒服の男がコートの内側をまさぐり、メガネケース程の大きさの箱を取り出した。箱を開き、中からアンプルと注射器を手に取る。 「さあ、ここからがお楽しみってやつだ。クッ、ハハハハハ…!」 ホテルの最上階─その伏魔殿で、帝王が漆黒の悪意に侵されている事はまだ誰も知る由もなかった。
3 21/07/13(火)23:09:58 No.823241167
~~〜 【同刻 通学路】 「…ルドルフ。昨日の今日で恐怖を感じるのはわかる。だが…その…あまりにも抱きつき過ぎじゃないか…?」 学園からの帰り道、困ったように笑うシンボリルドルフのトレーナーの腕に、しっかりと抱きつく、というよりはしがみつくシンボリルドルフ─ハルウララは、ぷうっと頬を膨らませた。 「やだ!こわいもん…!」 「…ルドルフ。昨日はすまなかった。もし私が運営の仕事なんてせず…君の傍にいてやれたらと思うと…。」 自身の責任を感じるようにぽつりぽつりと語るトレーナーを、シンボリルドルフが見上げる。 瞳の見えないはずの糸目の奥に、犯人への怒りの熱をシンボリルドルフは感じた。 「…ううん。えあぐるーぶちゃんも、ぶらいあんちゃんもいてくれたから…。それに、るど…ウララちゃんも。」 「ああ…ルドルフが転けた時に一番最初に来てくれたらしいな。…ありがたい。」
4 21/07/13(火)23:10:18 No.823241272
2人が帰路を進んでいると、前から足音と、酷く息の切れた呼吸音をシンボリルドルフが聞き取った。咄嗟にトレーナーの後ろに隠れる。 「どうしたルドルフ…!?」 「まえから…だれかくるっ…!」 身構えるトレーナーとシンボリルドルフ。しかし、現れたのは予想外の男だった。 「…! こんな時間にどうしたんだ…!?」 「ハッ…ハァ…貴方達ですか…。人影が見えたからもしやと思いましたが…紛らわしい…!」 スーツでピタリと身を固めた長身痩躯の男─トウカイテイオーのトレーナーだった。 普段デスクワーク中心の生活だからか、スーツ中汗まみれであった。膝に手を付き、少しえづきながら息を整える。
5 21/07/13(火)23:10:39 No.823241386
「一体どうしたっていうんだ?」 「…テイオーが、いなくなった。」 「なに…!?」 「同室のマヤノトップガンから連絡がありました…『散歩に行く』と出ていってからもう2時間以上経つのにまだ帰ってこないと…。私の元にも来ていません。」 「…まだ門限まで時間がある。本当に少し遠くまで散歩に行ってるだけなんじゃないか?」 「であれば一番です。しかし、マヤノトップガン曰く様子が少しおかしかったと。 彼女たちもまだまだ幼い…不安や心配を抱えたままふらりと出かければ、良からぬ事も考えるでしょう。」 「俺も手伝う…」 「あなたには関係ない!…あなたには、シンボリルドルフというウマ娘がいるでしょう。 あなたはその子だけを見ていればいい。私のように…目を離してはいけない。」 「……わかった。だが、この話はトレーナー達にメールで回しとくぜ。」 「……好きにしなさい。」
6 21/07/13(火)23:11:05 No.823241518
ようやく息が落ち着くと、トウカイテイオーのトレーナーはまた駆け出して行った。 シンボリルドルフのトレーナーはすぐさまスマートフォンを取り出し、チャットアプリを立ち上げる。つつつ、と指を忙しなく動かすと、程なくして送信ボタンを押下した。 「…何も無ければいいが…。」 そろり、とシンボリルドルフが顔を出し、周りを伺う。トウカイテイオーのトレーナーが近くにいない事を確認すると、自分のトレーナーを見上げた。 「…さっきのひと、とれーなーのこときらいなのかな…?」 「えっ?」 「なんか、すっごくおこってたし…。」 「ルドルフ…いや、そうか…今は記憶がないのか…。」 少しだけぶつぶつと独り言を言った後、トレーナーからははぐらかされてしまった。シンボリルドルフはもう一度ぷう、と頬を膨らまし、思い切り腕に抱きついた。
7 21/07/13(火)23:11:26 No.823241640
〜〜〜 【帰宅後 寮内自室にて】 「…ってことがあったんだけど…るどるふちゃんどーおもう!?」 『どう…と言われてもな。』 電話相手のハルウララ─シンボリルドルフが、トレーナーのように苦笑いをしたのが電話口から聞こえた。 「でもでもっ、ていおーちゃんのとれーな、るどるふちゃんのとれーなにすっごいつめたいんだよ!?アナタはカンケーない!って!」 『うん…まぁ、2人の関係だとそうなるだろうな。』 「あのふたりってどーいうかんけーなの?」 『ああ、まあ…そうだな…。』 ハルウララがスマートフォンから耳を離して、ちらりと同室のウマ娘─キングヘイローを見る。読書していたキングヘイローが視線に気付くと、ぱたんと本を閉じた。
8 21/07/13(火)23:11:43 No.823241735
「…いいわ、私がいると話しづらいことなのよね。少し席を外すわ。」 「済まない…。」 「もうっ、こんな事でいちいち謝らないでちょうだい…!それに、一流の読書には暖かい飲み物が必須なだけよ!」 いつもの高笑い(夜用に若干音量小さめ)をすると、静かに部屋を出ていった。ハルウララがスマートフォンを持ち直し、耳に当て直す。 『…聞こえるか?ウララ。…私もトレーナーが話してくれただけで余り詳しくは知らないんだが…あの2人は兄弟なんだ。』 「きょうだい!どっちがおにーちゃんなの!?」 『トウカイテイオーのトレーナーが兄で、私の…今はウララのトレーナーだが…弟だと言っていたな。どちらもウマ娘トレーナーの名家出身で、その才能に期待されていたらしい。』 「…どっちもすごいってこと?」 『ああ、私のトレーナーは、私を七冠に導いてくれた名トレーナーだ。と言っても、きっと彼は「ルドルフの体調管理をしただけさ」と言うばかりだろうがね。』
9 21/07/13(火)23:11:59 No.823241822
「やっぱりすごいんだ…!それで、ていおーちゃんのとれーなーは?」 『うん…今はテイオーを担当し、去年見事クラシック三冠を達成させた、これまた敏腕のトレーナーだ。それに、テイオーの前に担当していたウマ娘も無敗で皐月賞を勝ったらしい。』 「さつきしょうって、あのつよーいうまむすめばっかりのれーすだよね!?ふええ…」 『ああ、2人とも一流と言っても過言ではない。…だが、テイオーのトレーナーは実家から勘当されていると、私のトレーナーは言ってたな。』 「かんどーって…おやこのえんをきるってこと!?なんで!?」 『…いや、そこまでは教えてくれなかったな。だが、何にせよそのせいで2人の関係は悪くてな…テイオーのトレーナーは私にもろくに口をきかないんだ。だから、前にウララが生徒会室で会ったと言ったときは少し不安だったんだが…。』
10 21/07/13(火)23:12:22 No.823241933
「うーん…あのときのていおーちゃんのとれーなーは、すっごくていねいだったよ?けいごでしゃべってたし、おじぎもしてた。」 『そうなのか…。では、特別私の事が嫌いな訳ではなさそうだが…。』 「うーん、ウララわかんないかも…。」 『いや、気にしないでくれ。それと…この話は私とウララの秘密にしてほしい。トレーナーからも余り他の人には喋らないでくれと言われてるのでね。まあ今のウララには話しても大丈夫だろうとは思ったんだが…。』 「そっか、うん!ないしょにするねっ!」 その日、シンボリルドルフとハルウララの通話はシンボリルドルフが寝落ちするまで続いたのであった。
11 <a href="mailto:s">21/07/13(火)23:12:44</a> [s] No.823242033
次回に続く
12 21/07/13(火)23:18:49 No.823243943
スレ落ち前にこれた…! これからテイオーはどうなるんだ…
13 21/07/13(火)23:21:11 No.823244705
久しぶりに見つけたと思ったらなんか事件に巻き込まれてる…
14 21/07/13(火)23:25:34 No.823246166
思いの外悪いやつがやべーやつだった
15 21/07/13(火)23:30:43 No.823247814
まだ終わってなかったんだこれ
16 21/07/13(火)23:33:09 No.823248565
なんだその謎兵器
17 21/07/13(火)23:39:50 No.823250711
やべーぞレイプだ!
18 21/07/13(火)23:47:56 No.823253276
ダーク・テイオーは会長が八百長しているのではないかと思う心をコントロール出来ない…
19 21/07/14(水)00:11:15 No.823260588
どうなるか・・・