虹裏img歴史資料館

ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。新しいログはこちらにあります

21/07/13(火)22:27:24 トレー... のスレッド詳細

削除依頼やバグ報告は メールフォーム にお願いします。個人情報、名誉毀損、侵害等については積極的に削除しますので、 メールフォーム より該当URLをご連絡いただけると助かります。

画像ファイル名:1626182844292.jpg 21/07/13(火)22:27:24 No.823226203

トレーナー君は身体的接触を好まない。 トレーニングメニューを見ながら自然と距離が近くなってしまったときも不自然な避け方をしないし、ボクが走っていて危ういと思った瞬間があれば触って調子を確かめてはくれる。もちろんレースのあともよく褒めてくれるが、軽く肩や背中をぽんと叩くくらい。 ただボクはこれが普通だと思っていた。レース直後は他のウマ娘たちと交流があるわけでもないし、ライブが終わってからもさっさと控え室を出て行ってしまっているから他の子たちがどんな風にトレーナーと交流しているのか知らなかった。 そんな中、ボクは見てしまったのだ。 ライブのあと、トレーナー君がなかなか控え室に来ないから仕方なしにボクから出向こうと扉を開けて廊下に目をやったとき。 曲がり角の影でドトウが彼女のトレーナー君に頭を撫でられているのを! ボクはそれがひどく衝撃的だった。思わず扉を閉めて脳内で先程の光景を再生するくらいには。

1 21/07/13(火)22:28:06 No.823226457

それから少しして足音が聞こえ始め、ついにトレーナー君が来たのかとこっそり扉を開けてみるとさらに衝撃の光景が目に入った。ドトウが肩を抱かれていたのだ! なんてことだ…ウマ娘とトレーナーはこれほどまでにも距離が近い関係だったのか?気軽に肩を抱かれ、その、寄り添うように歩くような距離感が普通だというのか!? 「あいたっ!」 「おわっ!」 ぐるぐると考えていると不意に額に鈍い痛みと廊下の外から驚いた声がした。額を擦りながら数歩下がるとトレーナー君が怪訝そうな顔をして入室してくる。 「だ、大丈夫か?」 「扉を開ける時は気を付けたまえ…」 「んな無茶な。なにしとったんそんなとこで」 「……君が遅いからボク自ら迎えに行こうと思ってね…」 「あー…」

2 21/07/13(火)22:28:20 No.823226550

「どうして遅くなったんだい?」 「いや、まあその…すまんかった」 視線を逸らしながら歯切れ悪くいうものだから、先程の光景を見た自分自身の反応を思い出してなにも言えなくなってしまう。君も見たのかい?なんて聞けるはずもなく「まあいいけど」なんて言いながら勝負服の入ったカバンを手に取る。 「ところでトレーナー君」 自然な流れでボクの手からカバンを受け取るトレーナー君の方を向くと思いのほか顔が近付いていたことに内心驚きながらも普段の笑みを意識して口元に浮かべてみせた。 「ボクになにかすることはないかな?」 腰に手を当てて僅かに顎を引いてみせる。彼は目をぱちくりとさせてから腕を組んでたっぷり数十秒唸り、首を傾げながら口を開いた。 「……どっか調子悪くしてないか念のために保健室…?」 このお人好し!!!!!!!!!

3 21/07/13(火)22:28:49 No.823226726

ゆっくりと窓の方へ顔を向けると、背凭れになにやら見覚えのあるジャケットが掛けられていた。思わず手にとって広げる。 「……トレーナー君のものじゃないか。まったく、着ていたものをどうして忘れてしまうんだか」 ふふ、と小さく笑って抱き締める。鼻先を擽る匂いに安心するような、胸が甘く疼くような感覚がした。 彼女――ドトウが彼女のトレーナーに頭を撫でられているのを見たときに抱いた感情が羨望の一種だったのだと気が付いたのはつい最近。トレーニング中だけでなくその後、他のウマ娘たちが彼女たちのトレーナーとどのようにコミュニケーションを取っているのかをさり気なく観察するようになってからだ。 案外男性トレーナーとも接触が多いのを眺めながら――クリークとそのトレーナーとは別として――オペラオーから彼の頭を撫でてやることも吝かではなかった。彼も同じように褒められてしかるべき存在だからだ。

4 21/07/13(火)22:29:06 No.823226841

ああでも、ボクもトレーナー君に撫でて欲しいな。 ぱたぱたとしっぽでソファーを叩きながら横たわって膝を曲げ、ジャケットに頬を擦り寄せて瞼を閉じる。聞いた話によるとタイシンやスカイだってトレーナー室で寝ているときもあるようだし、見たところ彼の荷物はもうない。そんな中で自分がちょっとうたた寝するくらい問題ないだろう。 ほんの少し覇王の顔を休めるべく、大好きな香りとともにオペラオーは目を閉じた。

5 21/07/13(火)22:29:24 No.823226965

柔い風が髪を撫でる。艶のある手触りの良い髪がふわりと浮き、時折髪の流れに沿って優しいぬくもりが動いていく心地よさにオペラオーは表情を緩め、あたたかなものに擦り寄りながらその夢の中で小さく名を呼んだ。 「ん……とれーなーくん…」 「お、起きたんか?」 夢の中にしてはあまりにも鮮明な声にオペラオーの意識が覚醒する。 ぱちりと目を開いた先には眠る直前に見たテーブルの上に置いたままの王冠。これは問題ない。が、なんだか目線の高さが寝入る前よりも高いのではないだろうか。 次に頭の下。記憶が正しければジャケットを敷いて、もとい抱き寄せていたが少しはソファーのつるりとした感触があった気がする。それがまったく感じられない。今触れているのはジャケットと同じ素材だろうか。ほんの僅かに視線を下げると色が黒い。ソファーの色は茶色だったのに! 混乱している頭をぽんぽんと優しく撫でられる。この感触は知っている。先程夢で丁寧に、慈しむように撫でてくれていた動きと同じだ。 恐る恐る首を動かして上を向くと、よく見知った顔が見下ろして目尻を緩めた。 「おはようさん。夕方やけど」

6 21/07/13(火)22:29:46 No.823227098

そう言っている最中にも髪を撫でる手が動いている。 本人の荷物がないことにトレーナー室で、そのトレーナーの忘れ物を抱きしめて眠っていたらあろうことかトレーナーが訪ねてきており膝枕をされていた。未だぼんやりとしていたオペラオーの頭がその結論に達したとき、燃えるように頬が熱くなる。 「わあああああっ!!!!」 「わお」 羞恥から声を上げ勢いよく起き上がった背中から何かが落ちたのを気にも留めずソファーの反対側まで後退って行ったオペラオーとは対照的に、半笑いを浮かべながら軽い音を立てて右手に持っていた本が閉じられる。どんな内容のものだろうか、見たことのない表紙だった。 「ボっ、ボクの美しい髪を、そっそそそそんな本の片手間に撫でないでくれたまえ!!!!!」 「あ、そっちなんや」 テーブルに本を置きながらゆったりとした仕草で足を組んで意地悪く笑う彼の顔を初めて見るような気がしてますます顔に熱が集まっているのがわかる。なんだか不利になり始めている状況に頬を片手で頬を抑えながら指をさす。

7 21/07/13(火)22:30:01 No.823227194

「そっ、それよりどうして君がいるんだい!」 「オペラオーがよく知っとるやろ」 ほれ、と指さされた背後を振り返る。先程落ちたのであろうジャケットが目に入って再び上げそうになる声を手で抑えた。 確かに普段であれば眠っている覇王に対してジャケットを掛けるというのは模範的な行動であろう。しかし状況が状況である。自分のジャケットを抱えて眠っていた教え子にすることがそのジャケットを掛けてやりを膝を貸して寝かしつけるように撫でることだろうか?断じて否ではないだろうか!……多分。 わなわなと震えながらソファーを叩くしっぽに何やら思うところがあるのか、トレーナーが隣を軽く叩いて呼ぶ。 「急に触ったのはすまん、謝る」 「……そんなにボクの髪を触りたかったと」 「そうやなあ」

8 21/07/13(火)22:30:13 No.823227286

あっさりとした肯定の言葉にオペラオーは閉じた唇をむぐむぐと動かしてなにか言いたげにしている。 「ほら、いつも綺麗にしとるやんか。綺麗にしとるのに触られるの嫌やろうなあと思ってて」 「…そんなこと言ったこともない」 「それに俺も一応男やからね、嫌悪感とか」 「…その気になればボクの方が強いよ」 「はは、ごもっとも」 おいで、と言葉の代わりにもう一度座面が叩かれる。 オペラオーが物言いたげな視線を向けを向けていることに気付くと、トレーナーは足を崩してようやく普段と同じ人のいい柔らかな笑顔を浮かべた。それに絆され、恐る恐る近付いて隣に座り直す。 「……ほんまは勝っても負けても、ずっとこうやって撫でてやりたかった」 伏せられた両耳の間に手のひらが乗り、短い距離を何度か往復してからそっと耳を乗り越えて撫で付けるように毛先へと下りていく。 「まだまだ経験の足らん俺の指導であれだけ走れるのは、オペラオーの才能のおかげや」 暗さを含んだ声にそっと表情を窺うと思い詰めた瞳がテーブルの上の王冠を見つめている。

9 21/07/13(火)22:30:25 No.823227365

オペラオーは両膝を抱え、膝に頬を付けながら横顔に向き直った。 「なにを言うんだい、そのボクの才能を発揮させているのは君じゃないか」 ほんの僅かに瞳が揺れる。トレーナーはまだ信じきれていないのだ、彼だからこそオペラオーは自由気ままにターフを走り、勝利を飾っているのだと。 「……つまり、ボクはこれまで受けるべき称賛を受けそこねていたということかな?」 ぴんと耳を立て丸めていた背筋を伸ばすと驚いた手が止まり、ようやくトレーナーの瞳がオペラオーを映す。 「え?あ、あー……そうかもしれんなー…」 「そうかも、ではないだろう?あるまじき事態だよトレーナー君!ボクという強く美しい存在への称賛が控えめなものであったなんて…これからはきちんと!覇王たるボクの勝利に相応しい賞嘆をしてくれなければ!」

10 21/07/13(火)22:30:37 No.823227456

書き込みをした人によって削除されました

11 21/07/13(火)22:31:09 No.823227632

薄暗い気配を振り払うように手を上げ大仰に訴えてみせると戸惑ったような顔をしていたトレーナーが小さく肩を揺らした。 そうとも、君が君であるからこそ、ボクは覇王たる走りができるのだ。 トレーナーの瞳から黒い影はすでに消え失せている。オペラオーは口角を上げると肩に頭を凭れさせた。 「まずはこれまで出来なかった分、存分に褒め称えてくれたまえ」 「仰せのままに」 笑い声とともに伝わってくる振動が心地良い。 次のレースでも変わらず1番にゴール板を駆け抜けるだろう。そうしたら今度はボクからもトレーナー君を称えて頭を撫でてあげようではないか! 大きな手のひらによく手入れされている髪を撫でられながら満足気に目を閉じたオペラオーは、テーブルの上に置いてある本の表紙が上下逆さまになっていることなど知る由もなかった。

12 21/07/13(火)22:34:00 No.823228644

私このトレーナー知ってる

13 21/07/13(火)22:34:02 No.823228663

このトレーナーの口調は…

14 21/07/13(火)22:34:14 No.823228744

このギャグが面白そうなトレーナーさんとイチャイチャの合わせ技は危険な香りがする!

15 21/07/13(火)22:38:18 No.823230286

>このギャグが面白そうなトレーナーさんとイチャイチャの合わせ技は危険な香りがする! >ギャグが面白そうなトレーナーさん だったら大丈夫だね

↑Top