虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

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    21/07/07(水)22:17:54 No.821111248

    前回までです sp92413.txt

    1 21/07/07(水)22:18:16 No.821111418

    ある一人のウマ娘による自白から、事態は急速に動き出した。 犯人をそのままにしておけるわけもなく、またナリタブライアンの予想が最悪にも的中したことで事件は明るみになった。当然、事件性の高いこの一件─シンボリルドルフのレース靴のすり替え─に関しては警察の介入するところとなり、ウマ娘は警察に引き取られていった。 【翌日】 平日の朝、生徒会室の中で相も変わらずエアグルーヴとハルウララ─シンボリルドルフが机に向かっていた。 ただいつもと違うのは、2人の手に握られていたのが経費や陳述書と言った書類ではなく、今朝の朝刊であったことだった。 「…まずいな…。」 ハルウララが苦々しく一面を見ると、そこには昨日のトレセン学園で行われた感謝祭の件について書かれていた。最も、それは盛り上がったイベントの事などではなく、模擬レースで起こった事件の事に関してだった。

    2 21/07/07(水)22:18:30 No.821111529

    トレセン学園 感謝祭で衝撃的事件!』 『悪辣 靴のすり替え!問われるトゥインクル・シリーズの倫理観!』 悪し様に書かれていた事件は、そのままトゥインクル・シリーズへの批判に繋がれていた。この記事をよく知らない人が見れば、まず間違いなくトゥインクル・シリーズへの良いイメージはつかないであろう書き方だった。エアグルーヴが席を立ちあがり拳を握り締める。 「くっ…!なんだこの記事は!私から苦情を…!」 「待てエアグルーヴ!…トレセン学園で事件が起こった事、それ自体は事実だ。今の状態では恐らく、何を言ってもは正しく聞き入れてくれはしないだろう。」 「しかし会長!」 「落ち着くんだエアグルーヴ。君の心遣い、痛み入る。しかし今私たちがすべきことは二度とこのような事が起きないようにすることだ。…違うか?」 「…ッ!」 エアグルーヴがはっとした顔になり、席に座りなおした。

    3 21/07/07(水)22:18:58 No.821111743

    「…申し訳ありません。」 「…済まないな、エアグルーヴ。もし私が元の身体なら…。」 「会長、それこそ今考えるべきことではありません。とにかく今は一刻も早くこの事件の原因を突き止めるべきです。…しかし…。」 エアグルーヴが自分のスマートフォンに目を落とす。通知が来ていないことを確認するとため息をついた。 「…まだ連絡がない。何があったというのか…。」 ~~~ 【警察署内】 重苦しい空気が満たされる部屋の中で、2人の刑事が煙草を吸っていた。ふわり、と口から噴き出る煙が目に染みて涙が少し出る。 「…しかし、なんだな…。あの子随分と粘るじゃないか…。」 「ええ、結局昨日の取り調べでは『自分が靴をすり替えた』ってこと以外何にも喋らんですからねぇ…。」 渦中のウマ娘─靴をすり替えたと自白したウマ娘は、素直に取り調べには応じたものの、一貫して自身が犯人であることだけを主張し、その他に関しては黙秘をし続けていた。

    4 21/07/07(水)22:19:16 No.821111906

    「まぁ確かにすり替えそのものはあの子がやったんかもしれん。けど、あんな靴をまだ子供のあの子が作れる訳も手に入れられる訳もない。誰かしら裏で関わっているはずだ。」 「しかし肝心要のその部分が聞き出せなければどうしようもないですなぁ…。」 片方の刑事が煙草を灰皿に擦り付け火をもみ消すと、大きなあくびをした。 「うむむ…このままだと暫く拘留せざるを得んなぁ…。トレセン学園の子に『何か聞き出せたら連絡してほしい』とは言われたが…困ったもんだ。」 ちら、とマジックミラー越しに取り調べ室の中にいるウマ娘を見る。変わらぬ様子で俯きながら沈黙するウマ娘の脳内には、トレーナーからの指示が反響していた。

    5 21/07/07(水)22:19:57 No.821112275

    ~~~ 【模擬レース後 靴回収時点】 千切れたシンボリルドルフの靴を見ながら、ウマ娘のトレーナー─黒服のトレーナーの笑い声が通路に響く。満足するとトレーナーの目線がゆっくりとウマ娘へと向けられた。 「それじゃあ、お前にも残った”仕事”をやってもらおうか。」 「えっ…?」 「その靴を持って自首してこい。『私がやりました』ってな。」 事もなげに言い放ったその言葉を、ウマ娘はまたしても上手く飲み込むことができなかった。 「え、じ、は…?な、なんで…」 「なんで?おいおい、悪いことをしたら謝るってのは、学校で習わなかったのか?…そういやお前は学校なんて上等なものには通ってなかったな。」

    6 21/07/07(水)22:20:14 No.821112413

    「うっ、そ、それなら…あなただって…!」 「お前が入れ替え、お前が回収した靴を、今お前が持っている。全てやったのは”お前”なんだよ。それに、何もお前をずっと牢屋にぶち込んでおくつもりもない。機を見て出してやる。ただ、刑事共にちょっとした仕込みをしてもらうぞ。」 いつも通りの血すら通わぬ冷酷な声で命令されると、身体がまるで氷の鎖で縛られたかのように動けなくなった。 「クク…安心しろよ、なぁ?お前が俺の指示通りに動く限りは”母親”の事は心配しなくてもいい。自白は早い方が温情判決も出やすいらしいぞ?」 悪魔のような笑みをこれ以上見るのは限界だった。ウマ娘は紙袋を抱きしめ、震えを抑えて答えた。 「…わ、わかり…ました…。」

    7 21/07/07(水)22:20:34 No.821112577

    ~~~ 「はあ…お前をわざわざ出してやる訳ないだろうになあ。」 真っ暗な部屋の中で、パチッとわずかな点火音の後に、小さな火柱が現れる。ライターから噴き出した炎を、黒服のトレーナーが担当するウマ娘の写真に近づけた。 「救いようのない阿呆だな。ま、母親が阿呆なら子も阿呆か。」 写真が黒焦げながらインク臭を漂わせ、一気に写真全体が燃え上がる。ぱっと手を離し、既に写されたものの正体も分からない程に焼けた写真が灰皿に舞い落ちた。 「さて、これでパートナー解約ってことだ。ククク…。それじゃあ今度は新しいウマ娘でも探しに行くとするかね。」 真っ黒なコートを羽織り帽子を目深に被る。机の引き出しの中にある数十種類の名刺から一つを掴むと、そのまま部屋を出ていった。

    8 21/07/07(水)22:20:55 [s] No.821112751

    次回に続く

    9 21/07/07(水)22:21:41 No.821113129

    早くスカッとさせてくれ…

    10 21/07/07(水)22:28:28 No.821116388

    初めて読んだけどめっちゃ長編の力作だな!

    11 21/07/07(水)22:32:01 No.821117952

    次はいつぐらいなの?

    12 21/07/07(水)22:32:15 No.821118063

    >初めて読んだけどめっちゃ長編の力作だな! 嫌な予感がして調べてみたんですけど、大体普通の小説一冊で10万字らしくて、今の累計文字数カウントしたら96000字で自分って本当にバカだなと思いました。

    13 21/07/07(水)22:33:12 No.821118573

    >次はいつぐらいなの? 今週の金・土の夜辺りになりそうです

    14 21/07/07(水)22:36:14 No.821120001

    >嫌な予感がして調べてみたんですけど、大体普通の小説一冊で10万字らしくて、今の累計文字数カウントしたら96000字で自分って本当にバカだなと思いました。 なそ にん

    15 21/07/07(水)23:08:38 No.821134409

    面白い 応援している

    16 21/07/07(水)23:14:19 No.821136773

    そんなに