21/07/03(土)19:43:21 少し早... のスレッド詳細
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21/07/03(土)19:43:21 No.819659971
少し早めの朝食。おばちゃんたちから渡されたトマトジュースを少しづつ減らしながら、俺は同僚が置いていった雑誌をめくっていた。 表紙はウェディングドレス姿のマヤノトップガン、トレーナーに抱き上げられて随分とご機嫌なようだ。 「おはよう、トレーナー」 机が軋む。トマトジュースの液面が揺れる。雑誌から目を離して正面に向ければ、我が愛バのオグリキャップがとんでもないサイズのオムレツを置いて……そのままもう一つ同じものを貰って戻ってきた。うん、知ってた。 「おはようオグリキャップ」 見てるだけで胸焼けしそうなサイズのオムレツをあっという間に切り崩していく彼女をよそに、俺の視線は雑誌へと逆戻り。
1 21/07/03(土)19:43:34 No.819660049
……表紙がマヤノトップガン、あと見開きにエアグルーヴが載っているというだけで、中身はいたって普通の専門雑誌だ。地方のレース場グルメだとかオグリキャップの喜びそうなものも載ってるし、桐生院さんのロングインタビューとかトレーニングに活かせそうな感じがしている、のだが。 「そんなにウェディングドレスが気になるのか、トレーナー」 視線の圧がすごい。オグリキャップが食事の手を止めるというだけでも一大事なのに、手元のオムレツには目もくれず俺の方を――正確には俺の手元の雑誌を見据えている。 「そういうわけじゃなくてな」 「わざわざ雑誌を買ってくるくらい気になってるんじゃないのか」 「これ、モルモットのやつの置き土産だよ」 なんだかんだと勉強熱心な俺の同期は、雑誌を買ってきて一通り読み終わるとそれをそのまま置き去りにするという悪癖がある。 『一回読めば覚えちゃうから』とは言ってたが違うそうじゃない、おかげで俺が何回読んでもない雑誌を廃品回収に出す羽目になったと思ってやがる。
2 21/07/03(土)19:43:52 No.819660191
「む、そうだったのか」 安心したように手を再び動かしだすオグリキャップ。 今更君以外に目をやるつもりはない、とは口にしないでおいた。気恥ずかしかったし、いつぞやのように慌てて逃げ出す羽目になるのは避けたかったから。 そう、思っていたのだが。 「少しうらやましいな」 「……それじゃ、来年は撮影モデル勝ち取れるように頑張らないとな」 「撮影モデルじゃなくて」 カチャリ、と食器の鳴る音。見ればあれだけあったオムレツは綺麗サッパリ無くなっていて、オグリキャップの澄んだ瞳がじっとこちらを見つめている。 「私は、君の隣でドレスが着たいんだ」
3 21/07/03(土)19:44:05 No.819660280
結局俺たちは、黄色い声を浴びながら食堂から逃げ出す羽目になったのだった。
4 <a href="mailto:s">21/07/03(土)19:45:09</a> [s] No.819660734
6月中にウェディングネタ出したかったんですが間に合いませんでした 前までのやつ fu132713.txt