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21/07/03(土)11:27:51 「セイ... のスレッド詳細

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21/07/03(土)11:27:51 No.819514183

「セイちゃんのトレーナーさんにそれとなくセイちゃんのことを聞いてほしい?」 「いや、その…要約するとそういうことになる…かも?」 「あらあら~セイちゃんも女の子ですねぇ」 「いやいやいや、そういうのじゃないし!ただ、ほら?担当としてやっぱり評価というか?そういうのが気になるじゃないですか?」 「スカイは照れ屋デース!」 「やめなさいエルさん!せっかくスカイさんが勇気を出してるのよ!」 やっぱ言うんじゃなかったかな…という思いが過るが、もはや言ってしまったのだからしょうがない。私が彼の評価が気になるのは事実なのだし。 「はいはい、そうですよ、私は照れ屋ですよーっだ。恥ずかしいのでお昼寝してきまーす」 「わわッ!待ってくだサーイ!エルが悪かったデース!」 「エル、腹を」 「ケ?!」 「グラスちゃんやりすぎだよ!?」 女三人揃えば姦しいというけど、私達はそんな程度じゃ言い表せないほど、騒がしくて楽しい。思わず緩んだ口元からほほえみがこぼれてしまう。

1 21/07/03(土)11:28:50 No.819514427

「スカイさん、貴女が望むなら私達はきちんと協力するわ。なんたって一流のキングとその友人だもの!」 「うん、ありがとね…キング。みんな、その、お願いできるかな?恩は返すからさ」 私の問いかけに友達たちは快く承諾してくれた。 いい友達を持ったな、本当に。 ……なんて考えていた一時間前の私を殴るべきだろうか。 「スカイのトレーナーさん!スカイについてどう思ってますカー!?」 「エルちゃん、そんなはっきり聞いたら駄目だよ!もっとさりげなく……」 「スペシャルウィークさん、それも聞こえているわよ……」 「ごめんなさい、騒がしくて~」 「いや、気にしてないよ。スカイのことだったよな、話しても減るもんじゃないし別にいいけど、何が聞きたいんだ?」 彼が心の広い人で助かった、どうにか友人たちには軌道修正してほしい。茂みの中に隠れている私は切にそう願う。

2 21/07/03(土)11:29:14 No.819514533

「スカイのこと好きですカ!?」 エル。 「エル。」 「えっ?…はは、うん。好きだよ」 ……。ま、まあ担当としてでしょうね?うん、セイちゃんはそんな簡単に勘違いするほどチョロくないですよ?あっグラスちゃんがエルを連れ出した。 「そ、そうなの?もしよろしかったらどんな種類の好きなのか言う権利を上げてもいいわよ!」 どんな権利だそれは。駄目だキングがあの調子じゃあの場に制御役がいない。早いところエルを始末してグラスちゃんが戻ってきてくれたらいいのに! 「うーん、そうだなぁ。例えばみんなはそれぞれの担当トレーナーのことは好きかい?」 「はい!もちろんです!あの人がトレーナーで本当に良かったと思ってます!」 「ええ、この一流のキングに相応しいトレーナーよ!」 「きっと、俺がスカイが好きな気持ちも、みんなと同じだよ。掛け替えのない、大切な娘だ。もしこの先、彼女と生きる道が違っても片時も忘れることはない」 ……そっか、やっぱり。

3 21/07/03(土)11:30:09 No.819514745

トレーナーさんが仕事に戻って、私もみんなと合流した。あとグラスちゃんも戻ってきて、エルも顔を蒼くして戻ってきた。南無。 「……はあ、ありがとね、みん「やったねセイちゃん!」はい?」 「そうよ!あの人、貴女に対して「私達が担当トレーナーを想ってる気持ちと同じくらい好き」って言ったわよ!」 うん、だから私は落ち込んでるんだけど。 「あら~、つまりそれは遠回しにセイちゃんのことが大好きで大好きでたまらないってことになりますね~」 「あの、エルもそう思うな…デース」 いやそれは解釈が違くない?いや、でも、それでも片時も忘れないっていうのは通るし……。 「そうなのかなぁ…」 私が自身を持てずにそう言うと、みんなはもちろんとうなずいてくれた。うん、なら少し頑張ってみよう。 「あとセイちゃん、たぶんセイちゃんが隠れているの、トレーナーさんは知っていましたよ~」 「……嘘だよね?」 「いえ、セイちゃんのしっぽが茂みから少し見えていたので」」 「……に”ゃ”あ”あ”あああああああ!!!!!!」 「セイちゃん!?セイちゃーん!!!」 そこからは走り去って、私の記憶はしばらく途絶えた。

4 21/07/03(土)11:31:08 No.819514983

「……雲になってしまいたい」 釣具も持たず、私は海に来ていた。ボー―っと沈み行く夕日を眺める。ああ、今日もきれいな夕日だと現実逃避をしてみても、やってしまった過去は変えられない。 「スカイが雲になったら、俺は空になるよ」 「……トレーナーさん」 「ほら、釣具忘れてたぞ?」 重たい釣具を、わざわざ私の分も一緒に持ってきてくれた彼。一番会いたくて、会いたくない、彼。 「知ってますよ、セイちゃん釣りをしに来たわけではないので」 「そっか、じゃあ釣りはしない?」 「…………する」 「じゃあ、一緒にしよう」 それからまた、二人揃って押し黙って、ボウズのまま夜を迎えようとしている。彼はいまなにを考えているのかな、何を思っているのかな。 「スカイ」 「はい?」

5 21/07/03(土)11:31:48 No.819515127

呼びかけに応えて、彼の方を振り向けば、彼は神妙な顔つきで私を見ていた。 「スカイ、俺は君が俺の前からいなくなってしまったら一生暗くなる」 「へ?は?」 そんなの、私もだ。私の後ろからトレーナーさんがいなくなったら、なんて考えるだけでお腹が冷え込む。 「本当なら、大人から子どもに、師から教え子にこんなこと言うなんて、なかなかモラルに反していることなんだけど」 「……うん」 モラルというなら、私だって子どもから大人へ、教え子から師に、抱いちゃいけない気持ちを抱いている。 「でも、言わせてくれ。俺は、君が、好きだ」 私も。私も私も私も私も――ー 「……はいっ!セイもあなたのことが…大好きです!」 私のことを一番に考えてくれる貴方が。私が逃げても追ってきてくれる貴方が。私が、私のペースで歩むのを、一緒の歩幅で歩んでくれる貴方のことが。 胸が痛くなるくらいに、愛が溢れてしまうほどに、狂おしく逃げ出したくなるくらいに、どこまでも空に漂っていたくなる雲のように。 大好きです。

6 21/07/03(土)11:33:26 No.819515492

なんとなくセイちゃんに一人称を「セイちゃん」ではなく「セイ」と言ってほしかった あと先日のセイちゃんスレで尻尾見えて自分の評価を聞くというアイデアをお借りしました

7 21/07/03(土)11:33:50 No.819515576

甘酸っぱい…いい…

8 21/07/03(土)11:38:11 No.819516637

セイちゃん可愛い…

9 21/07/03(土)11:53:00 No.819520381

いい…

10 21/07/03(土)11:58:02 No.819521628

トレーナーからセイちゃんへの感情重

11 21/07/03(土)12:35:02 No.819531947

いい…青春だぁ…

12 21/07/03(土)12:38:11 No.819532879

二人で躓いたり時には傷付いたりしても最後は笑顔で結ばれるんだ

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