虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

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21/07/03(土)03:43:18 「もう... のスレッド詳細

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21/07/03(土)03:43:18 No.819460419

「もう! ゴールドシップさんはどうしてそう意地悪するんですか!」 「いじわるじゃねえってマックちゃんをほめてんだ、甘味我慢の道をストイックに突き進むスタミナは大したもんだろ」 「そうやって煽てても何も出ませんからね!」 「しかしまあ動画投稿かー、マックちゃんは甘味バカ食い放送なんだから下手すると逆ぴょい報告でも裏垢でしてる奴いそうだな!」 「シップ!! ここは食堂です! そんなはしたないことを大声で言うのやめなさい!」 (逆ぴょいって言っただけでビクビクしてるウマ娘結構いるなぁ……やることやってんだな、こえー……。ネイチャーやらドトウは態度変えてねえところが怪しいな……くそっ! ジョーダンの奴、いつも通りの顔しやがって! ありゃヤってねえ顔だ)  学食、大声でゴールドシップが喋っている。  その後に彼女が鋭い目配せをして周りのウマ娘たちの顔を見ていた。  振り返ってみればああして不純な交際を調べ上げようとしていたのだろうな、だがあの時のそして今の私もそんなことには興味がない。 「あの、すまない。食べ放題が動画投稿とどうつながるか教えてほしいんだが」

1 21/07/03(土)03:43:36 No.819460448

(つまりよ、パイセンが求めるものは動画でバズるとか可愛い自分を見てもらいたいとかじゃないんだろ? だったら他のことしなきゃな!)  さすが、学園から重用されて同世代でも素行的な意味で破格の対応を受けるウマだ。  目の付け所が全く違う、これはかなり私の人生に影響を与えるものだ。  休日。人手が多く監視の目も緩く、かつ人の目も多い。自撮り棒と集音マイクを合体させたゴルシちゃん撮影セットを手にして私は書を捨てて街に出た。  財布の中にはデビットカード、そしてカバンには一張羅へこぼさないようにナプキンが入っている。  オグリキャップ禁止と張り紙のある店の前に立つと私は通行する人の邪魔にならないように気持ち斜め上へ自撮り棒を構えた。  そして緊張する自分を鼓舞しつつスイッチを入れた。 「パクパクちゃんねる特別編~! オグリの突撃オ禁の料理店!」  決まった……練習をいっぱいしたからよどみなく喋れた……。 「えー、この特別編は私が一回も食べ放題に訪れていない店なのになぜ私を禁止するのかを訪ねつつ、できれば有償で食事をさせてもらう動画配信番組をお送りします」

2 21/07/03(土)03:43:57 No.819460477

「それではさっそく失礼して、お邪魔しまーす! タマモクr……オグリキャップなんだが」  抽象的にした私の顔をデカデカと印刷し、その上に大きくバツ印を描いてるチラシ。それが張られたガラスの引き戸を開ける。  カラカラと独特の、昭和という雰囲気を凝縮したかのような音と同時に店内へ入る。  そして私は出て行けと言われないうちにカウンター席へ腰掛けた。店主と対面、ヒシアマゾンが言うところのタイマンだ。  「ええと……お姉ちゃん、そこのドアに貼ってあるのわからない?」  キッチンに立つ店主兼調理人はトンでもないバカか言葉が通じるかどうかわからない猛獣を見るような顔を私に向けている。 『オ 禁』と書かれてバツ印をつけられた私の顔が裏から透けて見える引き戸に私はゴル(略)トを向けてから、私の横顔を移すように構えなおした。 「店主、府中といえば何があるか、そこのお客さん答えてくれ」  店主の首から上が映らないようにゴ(略)を構える。 「あ……トレセン、中央だ」  再び私の顔だけが移るようにしてわざとらしい首肯を撮影し、横顔だけ見せるようにする。

3 21/07/03(土)03:44:19 No.819460518

「そうトレセンがある。トレセンあっての府中、府中あってのトレセンなのは言うまでもない  うんうんと大げさに私は頭を振って頷く。 「だというのに入ったこともなければ食べたこともない、そんな特定のウマ娘の入店を禁ずるとはどういうことだろうか? ウマ娘を差別する敵愾心が育ってないだろうか? ウマ娘活動範囲内で食べ放題サービスをするような死地へ向かう、いわば経営が迷走する店舗の嘆きを真に受けすぎてはいないだろうか? ウマ娘の消費あっての市場ではないのだろうか?」  うぐぐ…と店主は面倒くさそうでいて、投げやりになりそうな、苦しげな顔を私にだけ晒した。  押せば行けるな? 確信した私は一気に差す。 「さぁ……!」  ゴ(略)をカウンターに置くと私は卓上のメニューを手に取ってその一つ、日替わり定食を指さす。  店主が少し後ろへ下がる。 「さぁさぁ……!」  私は大判のメニューを手に取ってニンジンジュースピッチャーを指さす。  店主がたじろいで下がる。 「さぁさぁさぁ……金は払う、だから観念して食事を作ってほしいんだが?」

4 21/07/03(土)03:44:35 No.819460548

 まいりました、料理を作らせていただきます。  この言葉と同時にオグリキャップのグルメが始まる。  私が確信した、その時――! 「何をやっとんじゃオグリィィィィん!」  引き戸が乱暴に開けられるとタマが蹴りを私に入れてきた。 「ぐほっ!」  痛みをこらえた声が口から吐息とともに出でて、椅子から蹴りだされた私は店の壁へと叩きつけられる。  開かれた入り口にはタマモクロス、スーパークリーク、そしてイナリワンが配信向けのおしゃれな格好で立っていた。 「いやほんとすまねえな、こいつも行く先々で禁止禁止で傷ついていたんだ」  しゅん……と肩を落として俯く私の背中をさすりながらイナリワンが店主へと陳謝する。 「本当にごめんなさい、私たち四人で出かけるといつも足を引っ張ると落ち込みがちだったんです」  クリークがイナリワンを差して店主へ追い込みをかけていく。  そしてタマモが……。 「オグリんは方々で禁止禁止いわれててな……ホンマ外に食べに行くときは悲しい思いしてるねん……ごめんなおっちゃん」  先行からの追い上げで店主を抜いていく。

5 21/07/03(土)03:44:52 No.819460579

 店主はカウンター越しでも見える位置に置かれたゴ略を見ながら脂汗をにじませ――。 「ごめんなさい、私もみんなと一緒にご飯を食べたかったからこういうことをしてたんだ、許してほしいんだが……?」  椅子から立ち上がって私は児童のように素直に謝罪をして許しを請う。  滝のように汗を流して店主は……。 「わ、わかった! 俺も男だ! 料理屋だ! 金さえ払うし食ってくれるんなら料理すっから! 好きなだけ頼め!」  食事の許可を出した。 「え~~~! いいんですか~~~~!」 「うわああああ! すげえ! こんな良い店初めて見たぜぇ! 江戸っ子じゃねえか、あんた!」 「ええん! ええのん! やった~~!」 「ありがとうございます! ありがとうございます! こんなにうれしいことはない……府中に来てよかった」  四者四様のキャピキャピした黄色い声を上げて喜びを表し、四人そろって店主へ最敬礼をする。  だがその顔には歓喜ではなく共謀と企みの達成感であふれていた。  黙示録の四騎士が人々を屠るかのような、そんな饗宴がこれから始まるのだ。

6 <a href="mailto:s">21/07/03(土)03:45:49</a> [s] No.819460651

オワリ 高解像度版 fu131070.txt

7 <a href="mailto:s">21/07/03(土)03:48:21</a> [s] No.819460835

あ、修正忘れたところあるがどうでもいいだろう

8 21/07/03(土)04:02:28 No.819461899

オグリが学園外できちんと飯を食えてるの初めてみた

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