マヤノ... のスレッド詳細
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21/06/22(火)00:17:50 No.815728039
マヤノトップガンの朝は目覚めのキスから始まる。自分が大人になるまで待っていたのだから、トレーナーちゃんにはご褒美が必要だ。毎日あっても足りないくらい。それで、こうしている。 「おはようございます、あーなーた❤️」 「おはよう、マヤノ。…いつもありがとう」 あくびをしながらあなたが目覚める。今日のあなたはなんだか眠そう。とってもとっても大好きなトレーナーちゃん。寝ぼけ眼も可愛らしい。飽きっぽい私でも、あなたのことなら永遠に見ていられる。そんな気がした。 朝食を食べ終え、あなたの服を用意する。出来るオンナはいつ何処でどうするかというのを、結婚を決めてからずっとずっと勉強してきた。あなたはきっと、私に夢中になる。そう思っていたのだけど。
1 21/06/22(火)00:18:16 No.815728201
「…む~ん」 「どうした、マヤノ」 なんか違う。けど、それを口にすると心配させてしまうだろう。ここは我慢だ。 「…なんでもないよ!それより、今日はどうしよっか」 そうしてあなたに向き直ると、あなたは少し悩んでみせる。不安。フアン。自分の抱えているものがわかった。不安だ。けれど、不安の原因はわからない。 「今日はそうだな…ゆっくりするか」 ゆっくり。家で二人きり、仲睦まじく。とってもいいと思った。 「…アイ・コピー!」 マヤノトップガンの休日は、抜かりなく。あなたのために私はある。 「トレーナーちゃん」 「なんだ、マヤノ」 「呼んでみただけー♪」 「ああ、安心した。今日はゆっくりする日だからな。何事もない方がいい」 太陽は真ん中を超えて、私とあなたはお昼ご飯を作り始めていた。私の背丈は残念ながらあまり変わらなかったので、家事は二人で分担するのが似合っている。一心同体。以心伝心。私たちは二人で幸福を積み上げていく。
2 21/06/22(火)00:18:40 No.815728338
「はい、トレーナーちゃんが先に座って!サンドイッチはー、お互いがお互いの作ったのを食べたらラブラブだと思うの!」 「そうだな、それはいい。…うん、いただきます。…美味しい。美味しいよ、マヤノ」 「やった!じゃあマヤもいただきまーす!」 夢中になってあなたのサンドイッチを食べる。…ほおにマヨネーズが付いてしまった。拭き取らなければ。 「あっマヤノ、俺が」 「いいのいいの!マヤがこれくらい自分で拭けるから!」 トレーナーちゃんを制止して私はティッシュを取る。これくらい、そう、これくらいだ。これくらいのことで頼っていてはいけない。私はもう、大人のオンナなのだから。 ぽつり。不安が少し大きくなる。自分を追い立てるなにかが、迫り来る。不安を振り払うため、私はあなたのそばへゆく。 「トレーナーちゃん、抱きしめてもいい?」 「ああ、もちろん」 言い終わるのを待たずに、私はあなたの胸へ飛び込む。きっときっと、今はとても幸せだ。あなたがいて、それだけで満たされているから。なのに、何故か胸が痛くなる。いやいやきっと、これはあなたのことを考えすぎたから。
3 21/06/22(火)00:19:05 No.815728491
でも。どうしても、どうしても。不安は大きく広くなってゆく。それで私の口は、言ってはいけないことを口走る。 「ねえ、トレーナーちゃん」 「どうした?マヤノ」 「…マヤ、今幸せだよね?」 あなたの返事はなくて。私の口は、私の結論へ突き進む。 「どうしてかな、トレーナーちゃん。マヤ、立派な大人になれて、あなたと結婚できて。絶対幸せなはずなのに、何故かとっても不安なの。これから先が怖いの。…なんで、かな」 暗闇が目の前にある錯覚。暗雲だけが身を纏う幻覚。なにも、わからない。こんなのは初めてだった。 「えっ…くっ…トレーナー、ちゃん…」 こわくて、こわくて。涙さえも出てきてしまう。もう私はダメなのかもしれない。何もかもを失くしてしまったのかもしれない。大人になったはずなのに、何もわからないようになってしまったのかもしれない。滴る涙を拭うこともできず、ずっと泣き続けてしまう。幻滅されただろうか。そう思った時だった。 「…頑張った。マヤノはひとりでそこまで考えていたんだ。それは、すごいことだ。成長の証だ」
4 21/06/22(火)00:19:27 No.815728610
あなたの腕が私を包んだ。私は言葉の意味を理解できなかったけれど、心が晴れていくのがわかった。あなたは、言葉を続けた。 「不安になる。見えないものは見えないと、わかる。どうしようもないもので、心がいっぱいになる。それは間違いなく、マヤノが大人になった証なんだよ」 「…おと、な?」 大人は、泣くのだろうか。大人は、わからないことがあるのだろうか。大人は、不安だらけなのだろうか。次々に、疑問をぶつける。あなたはそれに、そうだよと返す。 「わからないことが、わかる。初めての経験だとしたら、それが成長の証だ。…君は、立派な大人だ」 「…これで、いいの?」 「いいとも。…やっとマヤノの顔を全部見れた気がする。君と結婚して良かった」 よしよしと、頭を撫でられる。子供扱いされた気分だけど、その後に抱きしめられたので。私は今度こそ、幸せになれた。 「夫婦はね、辛いことも分け合える存在なんだ。どんな時でも、むしろ幸せであればそれだけ。辛いことや怖いことが表に出てくる。大人はそういうものがないわけじゃない。見せないようにしてるだけなんだ。…こうして、大事な人の前でだけ、見せてもいい」
5 21/06/22(火)00:19:41 No.815728691
頬を伝う涙は、溢れて、溢れて。 「なあ、マヤノ。きっと君の不安は、簡単には取り除けない。考えてもわからない、未来の話。大人にとっての未来は子供にとっての未来と違って、冷たくて、近い」 「不安は、なくならないの…?」 「…だけど、分け合うことはできる」 やっと、わかる。不安があなたに吸い込まれていくのが、わかる。抱え込んでいたものは、小さくなっていった。 「…落ち着いたか?」 「…うん」 涙が乾くまで、トレーナーちゃんは私を抱きしめていてくれた。愛するあなた。あなたを振り向かせた後のミライ。それが今で、そのマヤノトップガンは生まれたばかりなのだ。 「…良かったな…って、うわっ!」 だから、これからもあなたを飽きさせない。奇想天外変幻自在、段取りなんて捨ててしまおう。 「…トレーナーちゃん、かーくご❤️」
6 21/06/22(火)00:19:53 No.815728770
新婚怪文書杯のものです
7 21/06/22(火)00:20:23 No.815728953
良いねぇ!
8 21/06/22(火)00:20:47 No.815729130
大人の女性になれたんだな…
9 21/06/22(火)00:20:52 No.815729159
マジで書いてくれたか ありがたい…
10 21/06/22(火)00:25:13 No.815730744
>マジで書いてくれたか >ありがたい… スピードが命だと思ったけど寝る前に見てもらえたならありがたい…
11 21/06/22(火)00:43:23 No.815736695
むっ…これは良バ場快晴…絶好のフライト日和… いいものを見させて頂いた…
12 21/06/22(火)00:44:16 No.815736971
なんか知らんレース開かれとる……
13 21/06/22(火)00:45:52 No.815737440
>なんか知らんレース開かれとる…… ルームマッチが来たから成功スレで新婚怪文書杯を開いたらありがたいことにいっぱい来たのでそのまま書きました… またネタ変えてやるかも