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    21/06/21(月)22:55:15 No.815696859

    「カレンが…負けた…?」 状況を理解できないのかカレンは呟く。 「お兄ちゃん…一回整理しよ?」 「分かった。」 「事前練習は問題なかったよね?」 「ああ、良い仕上がりだった。」 「調子も問題なかった。走りの方はどうだった?」 「スタートは問題なし、コース取りも完璧、スパートも理想的だった。」 「それじゃ…原因はなに…?」 今日のカレンにはミスはなかった。そうなると考えざるを得ない原因は一つになる。 「実力不足ってこと…?」 カレンも認めたくはない結論に帰結したようだ。 「もう少しレースを見直そう。」 「ううんいいよ…カレンも薄々気づいてたし…。」 明らかにいつものカレンとは様子が違う。これまでも何度かレースに負けたことはあるがここまで落ち込んでるのを見るのは初めてだ。

    1 21/06/21(月)22:56:14 No.815697291

    「カレンね、このままずっとトップを走って引退までいけるのかなってちょっと思ってたの。でもまさかこんなに早く実力で負けちゃうとはなぁ…。」 平静を保とうとしているがカレンの声は震えている。 「まだ実力だけと決まった訳じゃないし、またトレーニングをして次のレースに臨もう。」 「ううん、良いよ気を使わなくて。走ったカレンが一番状況を理解してるし。」 だからと言ってこの状態のカレンをそのままにしておくことはできない。 「取り敢えず相手の研究をしてみないか?そうすれば付け入る隙があるかもしれない。勝利インタビューが始まるから見てみよう」 「見ても見なくてももっとあの子は伸びるの分かるよ…」 嫌がるカレンをモニターの前に座らせ、勝者インタビューを見る。 『今回のレースは女王カレンチャンを下しての優勝ですがいかがでしたか?』 『正直まだ信じられません…私があのカレンチャンさんに勝ったなんて…』 彼女の顔には勝利の喜びよりも戸惑いが感じ取れる。 『この勝利を誰に届けたいと考えていますか?』 『この勝利をですか…。勝つ事だけを考えていてそんなことを考えた事はありませんでした。ですが…』

    2 21/06/21(月)22:56:39 No.815697465

    彼女は一度黙り、押し出すように答えた。 『カレンチャンさんに届けたいです』 「え?」 インタビューを聞いていたカレンは驚きの表情を浮かべた。 『私、カレンチャンさんに言われたんです。これから短距離をさらに盛り上げるには私一人では出来ない。だからあなたにも手伝って欲しいと。』 インタビューを答えているうち彼女の声は震えてきている。 『結局そう言われてもどうすれば良いのか分からなかったのですが、今わかりました…。カレンチャンさんと並び立つ選手となって盛り上げて行けば良いんだと!』 彼女の目からは涙が溢れている。それを見つめるカレンも涙を浮かべていた。 「カレンってばバカだなぁ…」 涙を浮かべつつカレンは笑みを浮かべる。 「漫然と勝つだけで何のためにレースをしてるかなんて忘れちゃってた…。こんなの全然カワイくないよ…。」

    3 21/06/21(月)22:57:41 No.815697885

    カレンは涙を拭いこちらを向いた。 「今のカレン、お兄ちゃんから見てもカワイくないよね?」 「そんな事はない、今でもカレンはカワイイよ。」 心の底からそう思っている、だがカレンが求めている答えと違うことも分かっている。 「ふふっお兄ちゃんってば本当に優しいね…。ううん、お兄ちゃんは本心からカワイイと思ってるもんね。でも今のカレンが宇宙一カワイイと思える?」 「…。」 答えに詰まってしまった。 「そうだよね…今のカレンは宇宙一どころか世界一カワイイなんて口が裂けても言えない。だからカレンはしなくちゃいけないの…!」 カレンの瞳が今まで見たことのない様相を表した。いつもはどこか達観をしており遠くを見据えていた澄んだ瞳が、今は目の前の出来事にのみ執着したまるで煮えたぎるような瞳をしている。 この瞳は何度も見たことがある。多くのウマ娘が見せた勝利だけを求める飢えたる獣の瞳だ。 カレンは何でもでき、大きな挫折をしたことがなかった。それが彼女の良さでもあったが一方で闘争心を駆り立てることもなかった。しかしここにきてカレンにも闘争心が芽生えたのだ。 「お兄ちゃん、またレースに出たい!そして…彼女に勝ちたい!」

    4 21/06/21(月)22:57:54 No.815697982

    その顔はカワイイカレンチャンとは言えないものだった。 「カレンは…カッコいいな。」 「え?」 カレンは言われた言葉を理解できずキョトンとしている。 「ああ、カッコいい。前に一度だけ言ったことがあるけど、今はもっとカッコいい。」 「そっか…カッコいいか…。」 意外にもカレンはその言葉を受け入れているようだ。 「良いかもね、カッコいい!カワイイだけじゃなくカッコいいも極めたい!だからお兄ちゃんも手伝って!」 力強くカレンはこちらに手を伸ばした。 「元からそのつもりだよ。」 その手を取り力強く握りしめた。 「今度のレースは何が何でも勝つ!それが彼女の思いへの礼儀だと思うの!そしてこれからの短距離の未来に繋がるはず!」 「ああ!一緒に頑張ろうな!」 「それじゃライブの準備してくるね!」 足早に立ち去る彼女の背中にはトップを取った者の面影はなく、頂点を目指す挑戦者のものになっていた。

    5 21/06/21(月)23:02:50 No.815700143

    凹んでるカレンチャンも素敵だけどやっぱり常に上を見るカレンチャンはもっとカワイイですね

    6 21/06/21(月)23:02:55 No.815700190

    カレンチャンは基本的に苦戦する描写がないので泥臭くなってもらいました

    7 21/06/21(月)23:04:42 No.815700979

    もしや彼女は龍王……

    8 21/06/21(月)23:09:11 No.815702862

    貪欲なカレンチャンいいよね……

    9 21/06/21(月)23:17:11 No.815706463

    カッコイイカレンチャンカワイイ!

    10 21/06/21(月)23:19:39 No.815707430

    生まれる時代が違えば武人の素質あるよカレンチャン カワイイ!

    11 21/06/21(月)23:36:10 No.815713485

    カレンチャンをもっとドロドロの戦闘狂にしたい!